秋に広いお庭のお宅や公園などで背丈の高いピンク色の花をご覧になった事はありませんか?
3~5m以上にも成長する皇帝ダリアは、落葉時期の寂しい風景を華やかにしてくれます。
皇帝という名の通り威風堂々と咲き誇る皇帝ダリア、どのような品種があるのでしょうか?
その名の由来や花言葉、そして開花時期など、皇帝ダリアについて色々ご紹介したいと思います。
剪定することや、ハイブリッド皇帝ダリアなど品種改良されたものを植えるなどで鉢植え、地植えなど両方でも楽しめます。そんな皇帝ダリアについてのあれこれ、まとめてみました。
目次
皇帝ダリアとは?
皇帝ダリアとは?
皇帝ダリアはキク科テンジクボタン(ダリア)属で中米からメキシコに分布している多年草です。
学名をDalhilia Imperialis といい、和訳でも「皇帝ダリア」と呼ばれています。
ダリアと聞くと、細い枝に豪華な花が咲くダリアをイメージする方も多いことでしょう。
皇帝ダリアは別名「ツリーダリア」「木立ダリア」といいます。
その名の通り、茎が木質化(木のように)成長するダリアです。
ダリアの中には27種の自生種のダリアがあり、木質化する3種がツリーダリアと呼ばれています。
その中で最も大きく成長するのが『皇帝ダリア』です。
環境が合えば、なんと6mにも成長することもあります。
こうなると草花ではなく、もはや木ですね。(*^^)v
花の色はピンクが一番多いですが、紫や白もあり、径20~30㎝もの頭状花を数輪から数十輪咲かせます。
八重もありますが、基本種では舌状花8個でピンク色の花を、11月下旬~12月上旬の花期の間、次々と開花させます。
皇帝ダリアは「短日植物」です。
日照が短くなると花芽を付け開花する花です。
街灯や家の明かり、ガーデンライトなどの影響も受けやすく、明かりが当たる場所に植えると咲きません。
皇帝ダリアを植えたものの、咲かないという人もいますが、特徴を知って適切な場所に植えると、支柱や寒さ対策程度の管理で綺麗な花を咲かせてくれます。
周囲は落葉したり、花が少なくなったりの寂しい風景を、空に向かって茎を伸ばす雄大な姿、堂々とした大輪の花、その存在感たるや、まさに皇帝ダリアと呼ぶにふさわしいです。
皇帝ダリア人気の理由
この皇帝ダリア、なぜこんなに人気になったのでしょう?
元々、メキシコ南部やグアテマラ、エルサルバドル、コスタリカ、コロンビア北部などの標高700m~2800mの岩場の斜面などに自生していました。
その後19世紀にヨーロッパに渡り、その雄大な姿と美しい花から、本場ヨーロッパのガーデナーの心をつかみ、現在では日本までその人気が伝わるまでに至りました。
秋の寂しい風景に、豪華な花を咲かせてくれる
寒さに弱いが放任でもよく育つ
虫や病気に強く管理が楽である
挿し木で増やすことができる
があげられます。
広いスペースを緑の葉と豪華な花で埋めてくれますし、管理も楽なので庭や公園などの広いスペースにぴったりの品種なのです。
皇帝ダリアの品種
「皇帝ダリア」というと原種のツリーダリアを挿しますが、園芸店では改良された品種も皇帝ダリアとして販売されています。
八重のものや草丈を2mほどに抑えたものなどがあります。
最近ではハイブリッド皇帝ダリアも、背丈や花色、早い開花期などから人気が急上昇しています。
インペリアリ・スダリア
皇帝ダリアの原種で、皇帝ダリアといえばこの品種をいいます。
ツリーダリアともいい、茎が木質化し、丈のような節があるのが特徴です。
頭状花は中心部の筒状花と花弁のように見える周囲の八枚の舌状花から形成され、径20~30㎝以上のピンク色の大輪を咲かせます。
草丈も環境が合えば6mにも成長する、まさに皇帝ダリアという名にふさわしい草花です。
ダリア・エクセルサ
八重咲のものは一重咲きよりも背丈が低く2~4m、豪華な花びらに管理のしやすい背丈なので人気の品種です。
ただ、開花期が遅く、霜が下りる地域では枯れることもあるので、関東以北では見かけないかもしれません。
ツリーダリアですが、インペリアリスではないと考えられています。
ピンナタ
園芸品種に改良された皇帝ダリアで、和名を「テンジクボタン~天竺牡丹」といいます。
背丈、咲き方、色など品種改良され、バリエーションが豊富です。
様々な咲き方があり、ポンポン咲き、ファンシー咲き、ショー咲きとあります。
色もオフホワイト、深紅、紫、赤、など様々で、観賞用、生花用としても人気です。
一重咲き、八重咲きと咲き方も様々な品種があるのも人気の理由となっています。
メルキー
草丈が2m位、藤色の花を咲かせます。
その花色から和名を「フジイロテンジクボタン~藤色天竺牡丹」といいます。
薄い藤色はとても美しく、園芸品種の「シングルカクタス咲き」という咲き方の原点の種類と考えられています。
ガッツァリア
皇帝ダリアと園芸品種ダリアを掛け合わせた「ハイブリッド皇帝ダリア」です。
うどん粉病などの耐病性に優れ、背丈も150~200㎝程度、一ヶ月程度開花期が早いので比較的寒い地域でも育てやすい品種です。
花色もアプリコットやクリーム色、赤やローズ色と豊富で、八重咲、一重咲きとバリエーション豊富で花付きも良い品種です。
コンパクトなので鉢植えにも適しています。
最近特に人気の品種で、皇帝ダリアというとこの品種と思っている人も多いようです。
皇帝ダリア 名前の由来
ダリア(dalhlia)という属名はスウェーデンの植物学の権威リンネの弟子である植物分類学者アンドレアス・ダールに名前に由来しています。
皇帝と聞くとナポレオンを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
「皇帝のように威厳、貫禄がある草丈の高さ」が名前の由来です。
まさに、皇帝のように、人を見下ろすように成長する、空に向かって伸ばした堂々とした高い背丈が名前の由来だそうです。
また、学名のインペリアル=皇帝から名づけられたという説もあります。
背が高い=皇帝(インペリアル)というのはコウテイペンギンと同じですね。
晩秋の空に、威風堂々とそびえたつ草丈、大輪の花を咲かせて見下ろす様は、まさに「皇帝」である、イメージぴったりではないでしょうか。
皇帝ダリアは、15世紀に現在のメキシコで栄えたアステカ帝国では「聖なる花」とされていました。
宗教儀礼に使われる「神聖な花」として用いられていたという説もあります。
一大帝国を築いたアステカ帝国はスペインの侵略により滅ぼされました。
このように、皇帝ダリアはアステカ帝国の聖なる花として、帝国の繁栄と滅亡を空に向かってそびえたつその姿から見下ろしていたのかもしれませんね。
一方、ピンク色の愛らしい花色は「皇帝」とはイメージが違うと思うのは私だけでしょうか?
園芸品種の皇帝ダリアでは深紅で一重、八重の皇帝ダリアがありますので、そちらのほうが皇帝に近い色のイメージと思います。
つまり、あくまでも背丈から「皇帝」という名を付けられたのでしょう。
皇帝ダリアの花言葉
皇帝ダリアの花言葉は二つあります。
「乙女の純潔」
「乙女の真心」
済んだピンク色の花からイメージされた花言葉だそう。
大輪で豪華ですが、清楚なピンク色の花にぴったりの花言葉ですね。
「純潔」は清らかで穢れのない事。
「真心」とは真実の心や偽りのない心。
どちらも宗教的な意味合いを持ちます。
アステカ帝国では聖なる花とされていたことにも由来しているのでしょう。
背丈が「皇帝」、花色が「乙女」、一つの花に、二つの顔(イメージ)、面白いと思いませんか?
この二つのイメージ(顔)、実は皇帝ダリア以外の「ダリア」の花言葉にもあるので驚きです。
皇帝ダリアではありませんが、面白い逸話なのでご紹介したいと思います。
感謝
華麗
優雅
移り気
裏切り
不安定など
ダリアの花言葉は3つが良い意味、3つが悪い意味ですね。
面白いことに悪い意味の花言葉は「皇帝ナポレオン」の妻ジョゼフィーヌの逸話からついたそうです。
ダリア好きだったジョゼフィーヌはダリアを咲かせてそれをパーティーで貴婦人に見せびらしたそう。
それを羨ましがった貴婦人にゆずって欲しいと頼まれても、決してダリアをゆずらなかったそうです。
そこで、貴婦人たちは庭師を買収してダリアを手に入れたことから「裏切り」という花言葉になったそうです。
また、自分だけが美しくダリアを咲かせることが出来ると思っていたジョゼフィーヌ。しかし彼女の侍女がダリアを綺麗に咲かせたことで、ジョゼフィーヌのダリアへの関心が薄れた事から「移り気」という花言葉に。
そして、フランス革命後の不安定な政局、情勢にも関わらず、ダリアが貴婦人の間で大流行していたことから「不安定」という花言葉になったそうです。
ちなみに、「感謝」は、フランス革命という大変な世にも関わらずダリアを咲かせることが流行っていたそう。
フランス革命が困難な時期を乗り越えて成功したことから、その時は流行っていたダリアの花言葉が「感謝」と名付けられたそうです。
皇帝ダリア 開花時期
11月下旬から12月上旬が開花時期です。
落葉した晩秋から寒く乾燥した初冬が開花時期になります。
日が短くなる10月になると花芽を付けますが、寒さに弱く霜がおりると枯れてしまいます。
最近では園芸品種との交配品種「ハイブリッド皇帝ダリア」が人気なのは、開花期が一月ほど早いので、霜で凍って枯れる心配がないことや、寒冷地でも植えられるということからでしょう。
皇帝ダリアは支柱などで支えることと、霜などの寒さや凍結で枯らさない事以外には管理しやすく比較的育てやすい品種です。
秋や冬の澄んだ空気の青空に雄大にそびえ、大輪を咲かせる姿は、まさに皇帝をイメージをすると思います。
皇帝ダリア 品種、花言葉、開花時期まとめ
皇帝ダリアはその名の通り、晩秋から初冬の澄んだ空気の時期の青空に、二階よりも高くそびえたつ多年草植物です。
雄大で堂々とした姿からインペリアル、背丈が5m以上にもなるということから「皇帝」という名前の由来となりました。
その茎は木質化することから「ツリーダリア」とも呼ばれ、最近では背丈が抑えられた「ガッツァリア」など、園芸品種との交配のハイブリッド皇帝ダリアもガーデニングの愛好者の間で人気です。
そんな人気の皇帝ダリアは皇帝という名からはイメージしない愛らしい澄んだピンクの大輪を咲かせます。
その澄んだピンク色から「乙女の純潔」「乙女の真心」という花言葉を持っています。
そんな二面性を持った皇帝ダリアをぜひ、ガーデニングで楽しんでみてはいかがでしょうか?