イングリッシュローズの害虫と病気対策 無農薬で予防できる!

イングリッシュローズ 害虫

イングリッシュローズは病害虫に強く、花付きも良いので育ててみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

でも、強健なイングリッシュローズとはいえやはりバラ、害虫や病気への予防対策が必要不可欠です。

そこで、まずは「敵を知る!」ために病気や害虫について無農薬を中心とした予防対策をご紹介したいと思います。

バラの鉢植え苗のラベルやバラの栽培に関する本では、化学系農薬による殺菌や殺虫を中心に紹介されていると思いますが、ここでは、なるべく化学系農薬に頼らないような方法、そして使うならどの薬かなどをご紹介したいと思います。

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目次

イングリッシュローズの害虫と予防対策

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病虫害対策の前に大切なこと

イングリッシュローズに限らず、バラは病気や害虫に注意が必要な植物です。

イングリッシュローズはデビッド・オースチンの情熱と技術が注ぎ込まれた結果、病虫害に強いバラの品種が多いです。

でも、やはりバラなので、日ごろの管理とケアが必要です。

ここで、まず、病虫害予防対策の前に大切なことを挙げたいと思います。

植え付け時の土は適切なものを使う。
風通し、日当たりなどの環境を良好にする。
水はね防止の「マルチング」と落ち葉の処理はとっても重要。
化学系肥料や薬剤は最小限、必要時のみに留める。

① 植え付け時の土はとても重要です。

良い環境で育った苗は強いのでストレス(病気や害虫に対しての外的要因)に強いです。

適切で良好な土の配合、そして天然成分の活力剤などの混合することは、土に力を与えるのに有効です。

良好な土の条件は「保水、歩肥、通気、排水」の良い土です。

苗を購入したら、いきなり地植えしないで、1、2年は鉢植えをして様子を見ましょう。

根頭癌腫病の発生有無も見極められますし、その品種の特性を知ることができます。

品種の特性を知ることができれば、適切な場所へ地植えすることができるので、結果的にストレス削減となり、株が元気に育ちます。

②風通し、日当たりなどの環境を好条件にしましょう。

風通し、日当たりなどの環境は病気と害虫にとても関係しています。

栽培環境を整え好条件で育てること(日光5時間以上、風通し良好、水分適度)が重要です。

例えば、風通しが悪いとウドンコ病が発生しやすくなります。

③水はね防止の「マルチング」はとても重要です。

鉢植え、地植え共にマルチングをしましょう。

このマルチングも病気予防のためにとても重要です。病気の落ち葉は更に病気を広げるので、落ち葉や花びら、枯れそうな枝の剪定はマメにしましょう。

マルチングは黒点病の予防となります。

国産のピートモスは長繊維なのでマルチングにおすすめです。

バーク堆肥と混ぜるといいですよ。

④化学系肥料や薬剤は極力控える。

日本で販売されているものは、安全性をクリアしているといえ、やはり環境、生物への影響は非化学系もものとは比べ物にならないくらいあります。

また、一度使用すると、その環境を戻すのは長い時間が必要です。

①~③を注意するだけでも、かなりの予防対策となりますし、非化学系のものを、適切なタイミングで使用することで、化学系のものと劣らない効果があると、個人的には考えています。

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敵を知る!害虫編

敵を知らずして対策は練れません。

次はバラの害虫をご紹介しましょう。

敵(害虫)の特性を知ることで、効果的な対策が講じられると思います。

基本的に、虫に対して一番効果的な対策は「捕殺」です。

見つけたらすぐに捕まえて殺す、これに尽きます。

アブラムシ(発生時期 4~7月、9~11月)

春先から現れる薄い緑色をした小さな昆虫。新芽やつぼみの養分を吸います。あっという間に増えていきます。

バラの新芽に着くアブラムシ

バラの新芽に着くアブラムシ

いくつかの品種を植えていると「アブラムシ好み」のバラがあるのに気づきます。

アブラムシ好みは品種と環境によると思うので、観察して発生時期にはその品種を特に注意しましょう。

チェック アブラムシの天敵は「てんとうむし」です。

化学系の薬剤を使うと天敵もいなくなってしまいますので、てんとうむしが好む環境を作ってやることも大切です。

てんとうむし

刷毛などを使って捕殺。
私は軍手ですり潰します。

新芽だけでなく葉の裏側もチェックし、見つけたらすぐに捕殺しましょう。

蓄圧式スプレーノズルや潅水シャワーノズルを調整して、水圧で吹き飛ばすのも有効です。

ハダニ(発生時期 5~10月)

1mmにもみたない程の小さい虫で、根元に集まって越冬し、乾燥機に活動します。葉液を吸って葉を黄色く変色させ、ぼろぼろにします。

見つけたらすぐに捕殺が有効です。
それと、もう一つ有効な方法があります。
それは、水道水で処理する方法です。

チェック 水道水の葉への霧吹きが効果的。

ハダニは水で霧吹きすることで溺死させることができます。
うどん粉病の予防にもなるので一石二鳥ですが、黒点病のリスクを軽減させるためにも30分くらいで乾く位の量を噴霧しましょう。

冬期のハダニの越冬防止にはユーカリオイルが効果的だそうです。

ゴマダラカミキリ(通年)

黒い体に白い斑点をもち、成虫は穴を空けて卵を産みつけます。
このカミキリムシはバラにとって最も恐るべき害虫です。
初夏から夏にかけて根元に穴を開けて卵を産み付けます。

幼虫(テッポウムシ)は蚕のような姿で大きいものでは体長5㎝ほどになり、幹を内側から食い荒らし、3年で成虫になります。

穴から木くずのようなフンをするので、根元におがくずのようなものがあったり、根元の幹に穴が開いていたり、幹がグラグラしていたりしたら要注意です。

チェック 針金などで幹の幼虫を殺しましょう。

薬剤では穴にスポイトを差し込みスミチオンなどのカミキリムシ用薬剤を注入する方法もあります。
マルチングはリスクを下げます。

コガネムシ(発生時期5~10月)

幼虫は土の中で根を食い荒らし、成虫はつぼみや花を食べます。成虫は見つけ次第捕殺。

幼虫は土の中にいないか掘り起こし、見つけ次第捕殺しましょう。
土がふかふかしすぎていたら、幼虫がいるかもと疑って掘ってみましょう。

その時に根を傷つけないようにしてくださいね。

チェック パーライトはコガネムシの幼虫の忌避に効果ありです。

用土に混ぜて使うと有効ですよ。

ゾウムシ(4月下旬~)

長く伸びた口でつぼみや茎に挿し卵を産み付ける昆虫です。
つぼみや花芽が曲がったり痛んだりします。

見つけたらそうっと捕まえて殺します。
静かに手を近づけないと飛び立ってしまいます。

ネットを使ったり、ハンディ掃除機で吸い取ったりする方法も。

カイガラムシ(通年)

4~5月上旬に卵を産み、枝や茎の樹液を吸います。
殻をかぶったり、体が蝋状の物質に覆われていたり、枝や幹にくっついて樹液を吸います。

弱った木につきやすく、更に木を衰弱させるので、まずは木を弱らせない事が大切

チェック ついた場合は歯ブラシでこすり落として駆除します。

成虫は殻に守られているので通常の薬剤散布は効果がありません。

チュウレンジバチ(発生時期5~10月)

成虫は薄く黒い羽根を持ち、腹部はオレンジ色、鉢の一種ですが針は持っていないので人を刺しません。

茎を割って卵を産み付けます。
孵化すると淡緑色のイモムシのような幼虫が一斉に葉を食い荒らします。

チェック 茎に卵を産み付けている状態の成虫を捕殺。

産み付けてしまっていたら(茎に茶色の縦線が入っている)その茎を切り落とす。
枝を置いておきたい時は、卵の孵化状態を毎日チェックし、かえった幼虫を捕殺する。

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イングリッシュローズ病気と予防対策

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病気予防にもやっぱり良い環境が大前提

次はバラに多い病気についてご紹介しましょう。

害虫予防と同じく、やはり日ごろの手入れやケアで「良好な環境で育てる」ことが大前提です。

日ごろから落ちた葉や花びらを除去し、枯れそうな枝を断ち切るなど、バラを「清潔に保つ」ことが重要です。

また根の呼吸も大切です。

根の呼吸にとって堅く固まった土は大敵です。
スコップやくわなどで土を数センチ掘り起こす『中耕』をしましょう。

この時に伸びている根を切ってしまわない様に注意してくださいね。

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敵を知る!病害編

それでは、次はバラの病害についてご紹介します。

バラは歯の枚数に比例して花をつけるので、葉が無くなると花付きが悪くなり、ひどい場合は生育不良を起こします。

害虫と同じく病気に対しても、こまめに見回って早く対処することが重要です。

①黒点病(発生時期4~11月)

葉に黒い斑点が見られだんだんと広がり、やがて黄色くなって葉を落としてしまいます。
耐病性の高い品種では落葉しない場合もあります。

地表などに病原菌がいて、雨水や水やりの跳ね返りで伝染します。
下の葉からしだいに全体の葉に広がり、時には茎にも寄生します。

若いシュートの場合は表面に赤紫の斑点がでることがあるが、これが原因で枯れることはないものの、この部分で病菌が越冬するので剪定しましょう。

病害の出た葉が地面に落ちると菌が伝わるために、見つけたらすぐに摘み取りましょう。

チェック
防除法は、水の跳ね返りを防ぐためにマルチングを施し、土面を露出させないことです。

また、なるべく葉を濡らさないことが重要なので、水やりやハダニ対策の霧吹きでも数時間以内に乾く条件で行うようにしましょう。
夕方や夜間の水やりは黒点病の要因になります。

②ウドンコ病(発生時期4月上旬~7月上旬、9月中旬10月上旬)

風媒伝染病です。

空気感染し、若葉や新しい花首などのやわらかい部分が生育期に灰白色の粉のようなカビに覆われます。

ひどくなると木の成長にも影響を及ぼします。
昼夜の温度差が激しい時期は注意が必要です。

肥料が多すぎるとさらに、被害が広がってしまいます。

チェック 防除法は、普段からの風通しを良くすることです。見つけたら早急に処置しましょう。

ウドンコ病は液体の水には弱く、葉面が水で濡れると胞子が発芽困難になります。

よって、葉面への水道水散布がとても有効です。(水道水は効果なしですよ)。

この時、勢いよく放水すればハダニ予防にもなるので一石二鳥です。

ただし、黒点病予防の観点から、散水してから数時間以内で乾く時間に行うことが大切です。

③べと病(発生時期3~5月、8~10月)

 
新葉の葉脈に赤紫の斑点が出て、葉の裏には白い霜柱のようなカビが出ます。

昼夜の温度差が大きく、葉に切りが付く時期に発生します。
新芽の下の葉につき、緑のまま葉が落ちます。

ダメージの大きい病気です。
表面上治ったように見えても枯れ込む危険があるので注意が必要です。
一度で発症し、株が枯死することもあります。

チェック 株の風通しを良くして、うどんこ病と同じく、長時間葉に水分が残らないようにしましょう。

少しでも兆候が見えたら、被害部分を切り捨てるようにしましょう。

④サビ病(発生時期 5~11月)

ミニバラ系統がかかりやすく、高温多湿の場所に発生しやすい傾向にあります。
葉や枝に橙から橙黄色の斑点ができ、サビのような粉が出て、ひどい場合は落葉します。

チェック 被害部を切り落として捨てましょう。
土壌の殺菌が有効です。

⑤根頭癌腫病(発生時期 通年)

土の中の最近が根に繁殖してコブを作り、栄養が伝わらなくなります。
接ぎ口や根にコブを作ります。

腫瘍の発生により成長不良や花付きに影響が出ますが、腫瘍発生場所によって影響は異なります。

コブを切除、切除したナイフの消毒(医療用消毒薬)が必要で、土壌も捨てる必要があります。

チェック 防除法は、まずは、病気を持っていない株を手に入れることが重要です。

万が一病気を持っていても、鉢植えで様子を見ることで汚染を広げるリスクが無くなります。
手入れの際に土際部を傷つけないことも重要です。

そして、腫瘍を見つけたら腫瘍部を切除、ナイフを消毒、土を取り除きましょう。

⑥日ごろの剪定道具を清潔に保つことも重要です。

植え替えの時は単子葉植物と一緒に植えましょう
この病気は単子葉植物には感染しません。

患部に木酢液原液を塗る。その後は月に三回ほど原液をかける。

植え替え時に発見した時は前述の方法で患部に塗った後、根を洗った後、八倍希釈木酢液に20~30分程度浸けてから植えこみましょう。

イングリッシュローズ無農薬で害虫と病気の予防対策

前述のように、強健なイングリッシュローズといえど、害虫や病気には予防対策、発生時の対処が必要なのはおわかりいただけたと思います。

病虫害ごとに、対策は述べさせていただいたので、この章では、無農薬で害虫と病気の予防対策をさらに詳しくご紹介したいと思います。

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コンパニオンプランツのすすめ

たくさんのコンパニオンプランツがあるようですが、代表的なものをご紹介させていただきます。

コンパニオンプランツは「忌避」としての効果と「自分に虫を誘引」する効果があります。

後者はかえって、虫を台発生させて、バラにも飛んでくる可能性も否定できませんので、私は使っていません。

また、あくまでも「効果があるようだ」ということで万能ではないので、やはり前章でふれたような予防や防除策が必要です。

ポイント 根頭癌腫には単子葉植物を一緒に植えることで予防できます。

ポイント ネギ、ニラ、ニンニク、ギョウジャニンニクは害虫の忌避効果があります。

ポイント チャイブは黒点病、ウドンコ病、アブラムシに効果があると言われています。

ポイント マリーゴールドはアブラムシの忌避効果に加えてセンチュウ予防にも効果的です。

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木酢液は万能?

バラの無農薬栽培というと、まず思い浮かべるのが木酢液でしょう。
そこで木酢液について大切な点をいくつかお話しさせていただきます。

①散布する際の注意点を守りましょう。

木酢液は原料によって含まれる「有害物質」も変わります。
燃やしたものの成分が残る場合もありますし、そもそも、それら以外にも微量ながら有害物質も含まれています。

十分な精製がされていないものは発がん性物質ものこっているものもあります。したがって、直接目やのどに入ることがないようにするほうが賢明です。

マスク、眼鏡の着用、希釈は100倍以上、早朝散布(朝6時以前)、散布前の十分な潅水、コンクリートやアルミサッシにかけないようにしましょう。

②購入時は原液か希釈液かチェックしましょう。

希釈したものをさらに希釈しては効果が薄れます。

同じく、入浴用などは有害成分が除去されていますが、病虫害に対する成分も除去されているので効果がありません。

③葉面散布目的よりも土壌施用がおすすめ

土壌殺菌に効果がとてもあるように感じています。
この場合の希釈は20~30倍でOKです。
植込みの1週間以上前に行っておきましょう。

また、生育がおかしい時に、HB-101などの活性液を使用する時もありますが、木酢液100~200倍希釈液を施す場合もあります。

葉面散布は葉に薬害が出る場合もあるので、注意が必要です。
また、ウドンコ病をかえって誘引してしまう傾向があるように感じたので、私はにんにく木酢液で使用しました。

以上のように、木酢液は成分的に、微量ながら有害な物質も含んでいることもあるので、散布には注意が必要です。
私は肥料や土壌改良で使う方が効果的だと思っているので、主にその用途で使用しています。

病気や害虫予防には

ポイント ニームオイル
ポイント 手作り電解水

この二つを使用しています。

ニームオイルはゾウムシ、アブラムシ、チュウレンジバチ、スリップスに効果があります。
黒点病やうどんこ病にも効果があるようです。

木酢液と同じく、ゴーグルやマスクが必要です。

イングリッシュローズの害虫と病気対策のまとめ

イングリッシュローズは強健なので、他のバラよりも病虫害には強いです。

それでも、やはり病虫害の予防対策は必要で、そのためには、病気や害虫の特徴を知ることが大切です。

また、環境が良いことが、病気や害虫に対して強くなるので、まずは環境を整えてあげましょう。

そして、その上で、事前に予防し、こまめにチェックして発生後すぐに対処することを習慣にすることで、イングリッシュローズを美しく健康に育てることができるのです。

こんな風にご紹介すると、「やっぱりバラって大変」と思われる方もいるかもしれません。

でも、毎朝イングリッシュローズにおはようの挨拶をするついでに、ちょっとしたチェックだと考えると、そんなに特別大変な世話にはならないと思いますよ。

そうして、ケアしたバラが美しく咲き、芳醇な香りを漂わせた時には、日々のお世話の苦労はきっと吹き飛ぶことでしょう。

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