山の辺の道の南コース、おすすめルートとプラン。万葉歌碑(万葉集)もこのコース

山の辺の道 南コース

日本最古の道「山の辺の道」で、三輪山から奈良へと通じる道です。

総距離およそ26㎞ですが、その中でも人気の南コースの16㎞のルートが史跡や神社、万葉集ゆかりのスポットや万葉歌碑を巡る人気のハイキングコースとなっています。

そこで山の辺の道の南コースのおすすめルート、所要時間などをご紹介したいと思います。

道中にある万葉集ゆかりのスポットや万葉歌碑、古墳や神社などたくさんの立ち寄りスポットについてもご紹介しますので、「山の辺の道」南コースをめぐって、いにしえの風景に想いを馳せてみてくださいね。

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山の辺の道の南コースとは? 

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山の辺の道とは?どこからどこまで?

山の辺の道とは、現代においては三輪山の山裾から奈良の平城京へと結ぶ道とされています。

実は奈良盆地が沼沢地だったはるかな昔、都が飛鳥から藤原京、平城京へと移すにつれて、人々が山麓の高みを歩いた名残とされているそうです。

山の辺の道 南コース

 山野辺の道 photoACから引用:https://www.photo-ac.com/

現在の山の辺の道は一部「東海道自然歩道」と重なっていることもあり、地元の歴史に詳しい人などは、三輪山から石上神社への道は、「各名所をめぐる現在のルートは本来の古道ではない、本当はもっとまっすぐに通っていたはず」という人もいます。

また、『日本書紀』に記されていることから元々は三輪山麓の狭い地域の道をさしていた説や、終点が平城京ではなく、京都の山背(京都府南東部 やましろ)へ至る道だという説など諸説あるようです。

山野辺の道

 山野辺の道 photoACから引用:https://www.photo-ac.com/

このように山の辺の道の正確な道がどこなのか未知ではありますが、ここでは、現代人が「山の辺の道」として親しんでいるコースについてご紹介したいと思います。

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日本最古の道「山の辺の道」は特別な道

かつて飛鳥と平城を結んだと言われる重要な道、「山の辺の道」は史書に残る日本最古の道で、三輪山の山麓沿いに北の大和盆地へと道を続けています。

古代の大和では三輪山は特別な山で、人々はこの山を神のように崇めていたとされています。

大和盆地の弥生遺跡の分布を見ても、三輪山が見えない場所に主要な遺跡は無いといえるほど。

弥生前期となるとほとんどが三輪山に近いか、三輪山に昇る朝日を望める地帯に修通しているということです。

(三輪山と大神神社の記事はコチラ)⇒
チェック 大神神社の御神体登山。三輪山登拝とは?参拝方法と服装と注意点

ですから、古事記や日本書紀の物語や古墳と古社が、この山の辺の道沿いにちりばめられているのでしょう。

万葉の人々が歩いたであろう、その道跡を現代の私達が、いにしえを偲びながら歩くことができる、そんな貴重で特別な道が「山の辺の道」なのです。

とは言っても、山の辺の道は距離が長く、古墳、神社、お寺、万葉集ゆかりの地や万葉歌碑など、見どころ、立ち寄りたいスポットが点在しているので、全行程を一日では、とてもじゃ回り切れません。
(踏破目的ならもちろん可能ですが)。

それに、道中は無人販売所などもたくさんあるので、ついつい足を止めてしまいがちです。

そこで、ハイキングとして、歴史探索、万葉集めぐりなどで特に人気の「南コース」についてご紹介したいと思います。

この南コースだけでも、たくさんの見どころがあるので、各スポットに立ち寄ると一日コースとなりますが、それでもいにしえの景色と歴史に思いを馳せながら足を進める経験は、単なるハイキングとは、また違った経験となることでしょう。

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山の辺の道 南コースとは?どこからどこまで?

桜井から天理を結ぶ、約16kmの道のりが山の辺の道の南コースとされています。

山の辺の道というとこの南ルートを思い浮かべる、もしくは、このルートだけだと思っている人も多いようです。

そもそも、前述したように、「山の辺の道」というのは、桜井から北へ進み奈良盆地までの道をさします。

出発地点は大和朝廷が発祥した三輪山の山麓。
この山麓沿いから大和盆地の東の山並みに沿って奈良へ通じていたという「山の辺の道」ですが、天理市の石上神宮を境に「北コース」「南コース」と、現在では知られています。

奈良県在住でも、山の辺の道はこの南コースの事と思っている人がいるほど、南コースはメジャーな道であり、ハイキング道として人気のコースとなっています。

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山の辺の道 南コースの楽しみはハイキングだけじゃない!古墳や歴史、神社や歌碑も

南コースはその大部分が「東海道自然歩道」に指定されている道と重なっていることもあり、道はデコボコ道や細い道があるものの、道標も整備されていて、アウトドア好きの方や親子連れのハイキングとしてとても楽しめる道となっています。

また、古代の国家形成の謎を秘めた大古墳や古社がたくさん点在しているので、古墳好き、パワースポット好き、歴史好きにはたまらない道となっています。

また、新元号「令和」が万葉集の典拠により、万葉集に注目が集まったことから、万葉集ゆかりの地やスポット、また万葉歌碑巡りなどを目的に、古典好き、歌碑が好きな方などの山の辺の道散策も増えているようです。

山の辺の道のおすすめルートと所要時間は?

 
山の辺の道の南コースは桜井駅から天理駅をめぐるコースとなっています。

どちらを出発にするかは悩むところですが、私は特別な山三輪山を眺めたい、三輪山と大和三山を望みながら歩を進めたいと思うので、ここでは出発を天理としてご紹介させていただこうと思います。

三輪山

三輪山 photoACから引用:https://www.photo-ac.com/

山の辺の道 おすすめルートと所要時間 

スタート

石上神宮バス停前
(徒歩5分)~1 石上神宮
(徒歩15分)~2 内山永久寺跡
(徒歩20分)~3 夜都伎神社
(徒歩30分)~4 衾田陵
(徒歩25分)~5 長岳寺
(徒歩15分)~6 崇神天皇陵
(徒歩20分)~7 景行天皇陵
(徒歩20分)~8 穴師坐平主神社
(徒歩20分)~9番 檜原神社
(徒歩5分)~10 玄賽庵
(徒歩15分)~11 狭井神社
(徒歩5分)~12 大神神社
(徒歩10分)~13 平等寺
(徒歩7分)~14 金谷の石仏
(徒歩40分)~桜井駅

アクセス

ポイント 石上神宮バス停まで
天理駅より徒歩30分
JR天理駅より奈良交通バスで7分

ポイント 三輪駅
大神神社より徒歩10分
※大神神社で時間切れの方は三輪駅で終点コースがオススメ。

所要時間

約7時間

走行時間

約5時間

注意
チェック 上記の所要時間は立ち寄ったスポットでの滞在時間によって上下します。
チェック 走行時間についてはゆっくりペースが目安です。早いペースだとスポットに立ち寄っても4時間半で踏破する人もいるようです。
チェック 天理駅出発~桜井駅とするコースもありますが、時短の為、天理は石上神宮出発という風にご紹介させていただいています。ゴールを大神神社にする方も多いですよ。

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山の辺の道 おすすめスポット

1

石上神宮

 

時間:6:00~17:00 
:0743-62-0900  
駐車:無料

石上神宮

石上神宮 photoACから引用:https://www.photo-ac.com/

日本最古の拝殿の一つといわれる拝殿が建っている、大和屈指の古社。三輪神社と並んでパワースポットとしても知られています。

大和政権の軍事を司った物部氏の氏神であり、神武天皇の東征時に霊力を発揮したという伝説の神剣「魂剣」がご神体です。

その当時、神宮は大和政権の武器庫としての役割も果たしていたそうです。

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内山永久寺跡

馬魚(わたか)が生息する鏡池の横から布留の森を抜けて歩くと到着します。

かつては50もの堂塔があった大寺院で「太平記」に後醍醐天皇が一時身を潜めた寺としても有名です。

明治の廃仏毀釈によって廃絶。寺の唯一の名残は池で、松尾芭蕉がこの地の桜を詠んだ句碑が立っています。

現在も桜の名所として知られています。

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夜都伎神社 無料

春日大社と深い関係を持ち、珍しい茅葺の拝殿が建っています。

乙木神社とも呼ばれ、興福寺領乙木荘の中心地だったと考えられています。

ここから進むと無人販売所が道沿いに点在するようになります。
買いすぎると荷物が重くなるのでご注意を。

4

衾田陵

6世紀の継体天皇の皇后、手白香皇女の前方後円墳とされ、宮内庁が管理していますが、実際にはさらに古い4世紀前半の築造とみられているそうです。

大和古墳群最大規模を誇ります。

5

長岳寺

時間:9:00~17:00 
参拝料:350円 
駐車場:30台無料

824年弘法大師空海が創建し「釜の口のお大師さん」として親しまれています。

ご本尊の阿弥陀三尊には我が国最古の玉眼が使われています。

また杮葺きの国内最古の鐘楼門などの多くの文化財を有しています。

1万2000坪の境内では春のツツジをはじめ、四季折々の花が咲き乱れます。

6

崇神天皇陵

大和朝廷の創始者ともいわれる第10代天皇崇神天皇の陵です。

全長242mで古い文献で「山辺道勾丘上陵」として記されています。
土堤沿いに歩くことができます。

7

景行天皇陵

日本武尊の父とされる第12代景行天皇陵です。

全長300mの前方後円墳は国内第7位の規模で、周りには奥の陪墓が点在しています。

渋谷向山古墳」とも呼ばれています。

8

穴師坐平主神社

大神神社、大和神社、石上神社と延喜式内の代謝であるものの、由来は不明な点が多い、ミステリアスな神社です。

参道の鳥居脇には、相撲発祥の地として伝えられている相撲神社があります。
相撲好きの方はぜひ立ち寄ってみて下さいね。

9番

檜原神社

時間:8:45~16:30
拝観料:無料
駐車場:5台無料

大神神社の摂社でご祭神は天照大御神。

三輪山をご神体としているので、本殿や拝殿はなく、三ツ鳥居だけが立っています。

「三輪の檜原」として万葉集などでお詠まれ、山の辺の道の歌枕とされています。

10

玄賓庵

檜原神社からなだらかな山道をたどっていくと、玄賓僧都の隠棲地である玄賓庵が見えてきます。

以前は山岳仏教の寺として栄えた庵のお堂に藤原時代の木造不動明王坐像が鎮座されています。

謡曲『三輪』の舞台である真言宗のお寺です。

11

狭井神社

大神神社の摂社。

延喜式神名帳に記される古社で、本社の荒魂を祀っています。三輪山登拝する入口があります。
また万病に効くと伝わるご神水が湧き出る薬井戸があります

コップが置いてありいただくことが可能ですが、お持ち帰りするにはペットボトルが必要なのでお忘れなく!

12

大神神社

℡: 0744-42-6633 
時間: 8:45~16:30 
駐車場: 450台無料

大神神社

大神神社 photoACから引用:https://www.photo-ac.com/

日本最古の神社のひとつ。
三輪山がご神体のため、本殿がなく拝殿と三ツ鳥居のみが建っています。

農業、厄除けなどの守護神として信仰を集めるほか、酒の神としても厚く崇敬されています。
造り酒屋のシンボルである酒玉は三輪山の杉を集めて作られます。

三輪山への登拝は申しこみが必要です。⇒大神神社記事はコチラ(記事アップ次第リンクします)
 

13

平等寺

℡: 0744-42-6033 
駐車場: 3台無料

聖徳太子によって創建されたと伝えられています。
かつては大神神社の神宮寺で、一時は荒廃したものの、本堂や二重塔が再現されています。

聖徳太子作と伝わる本尊の十一面観世音菩薩や釈迦如来像、熱取り地蔵、聖徳太子像などが祀られています。

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金谷の石仏

大神神社をゴールにしない場合は桜井駅を目指してさらに足を延ばしてみて下さい。

古墳石棺の蓋だった泥板岩を利用して浮彫された釈迦如来像と弥勒如来像が祀られています。

平安時代後期から鎌倉時代の作といわれています。

足を延ばしてぜひ立ち寄りたいスポット

黒塚古墳

長岳寺から西へ少し立ち寄ると黒塚古墳があります。

邪馬台国の女王、卑弥呼が魏から贈られた鏡ではないかと言われる「三角縁神獣鏡」が33面も出土し、話題を集めました。
全長約130mの前方後編糞で四世紀初めに造られたそうです。

黒塚古墳展示館では三角縁神獣鏡のレプリカが展示されています。

箸墓古墳

邪馬台国の女王、卑弥呼の墓という伝説もある、全長約270mの巨大前方後円墳

『日本書紀』によると、この古墳を昼は人が造り、夜は神が造ったと伝えられています。

古墳好き、歴史好きの方は絶対に訪れたいスポットですね。

山の辺の道 万葉歌碑(万葉集)ゆかりのスポット

万葉集は奈良時代後期に成立した日本現存最古の歌集で全20巻、約4700種の歌が収められています。
主な歌人は額田王、柿本人麻呂、大伴家持などです。

大和青垣国定公園景観保存地域内には、武者小路実篤や川花康成の選歌による万葉集の歌碑が約60基建立され、そのうち約半数が山の辺の道に沿っています。

また、万葉集で登場する川や山などもあるので、万葉集を片手に歩くのもオススメです。

また、桜井市の万葉集の歌碑マップがダウンロードできますので、そちらも片手に歩を進めるといいと思いますよ。
桜井市HP 歌碑マップ

また、天理の大和神社周辺でも歌碑があります。
大和神社HPより歌碑マップ

1

石上神宮

 
チェック 「石上 布留の神杉 神さぶる 恋をも我は 更にするかも」  柿本人麻呂
ここで登場する杉の古木が生い茂っている神宮です。

さらにもうひとつ。
チェック 「石上布留の神杉 神びにし われやさらさら恋に逢ひにける」 男 作者不詳
 
現在も残っている布留の高橋の歌
チェック 「石上 布留の高橋 高高に いもがまつらむ よそふけにける」

2

衾田陵

衾田陵東にそびえる標高約586mの竜王山は妻を失った柿本人麻呂が嘆きの歌を詠んだ引手の山とされています。

チェック 「念道を 引手の山に 妹を置きて 山路を行けば 生けりともなし」

3

檜原神社

チェック 「行く川の 過ぎしに人の手折らねば うらぶれ立てり 三輪の桧原は」 柿本人麻呂

4

大神神社

大神神社とその周辺は万葉集で謡われた舞台が多く、歌碑も多く建てられています。

チェック 「三輪山をしかも隠すか 雲だにも 情(こころ)あらなむ 隠さふべしや」 額田王

チェック 「味酒三輪の山 青に良丹におし奈良の山の 山の際(ま)に い隠るまで 道の隅(くま) い積るまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ(さけむ)山を 情(こころ)なく 雲の隠さふべしや」  額田王

チェック 「味酒を(うまざけ)三輪の祝が 斎ふ杉 手触れし罪か 君に逢ひ難き」 丹羽大女娘子

このように一例を挙げるだけでも、万葉集の舞台が山の辺の道にはあります。
ここを歩いて、万葉の人々が感じたであろう情景を感じれば、まほろばの風景が浮かんでくるのではないでしょうか。
  

山の辺の道の南コースのまとめ

日本最古の古道「山の辺の道」についてまとめます。

チェック 山の辺の道のおすすめルートは南コース。
所要時間はゆっくり歩いてめぐって7時間。

チェック 古社や古墳、万葉集ゆかりのスポット、歌碑がたくさんあるので、歴史好き、古典好きにはぴったりのコース。

チェック ハイキング道としても人気なので、家族連れで散策するのもオススメです。

チェック 出発地点は天理の石上神宮、ゴールを桜井の大神神社か桜井や三輪の駅にするのがオススメ。ゴールが近づくにつれ、大和三山や三輪山を目にすることができます。

チェック 歌碑マップなどは事前にHPなどからダウンロードしておくと、めぐりやすいですよ。

以上山の辺の道の南コースのご紹介でした。ご家族と、お友達と一緒に古代の道を散策を楽しんでくださいね。

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