中学受験は親子の受験といわれています。
書籍やブログでも親塾の情報がたくさん溢れているものの、塾では「親は見ないでください!」と言われます。
じゃあ親は何をしたら良いのでしょう?親の関わり方は?中学受験経験者の親はどうしていたのでしょう?
これから中学受験の世界に行く人も、中学受験戦争を現在進行形で頑張っている人も気になりますよね。
そこで、中学受験での親の関わり方についてまとめてみました。
目次
中学受験は親子の受験と思うべし!
中学受験は子供だけのもの?
「下剋上受験」で有名な桜井家、お子さん四人全員を最難関中学から東大理Ⅲへと合格させた佐藤ママをはじめ、本やブログ、メディアなどで活躍する「元受験生の保護者」がいますよね。
彼らは本当にすごい!私には出来ない!
我が子もまかせたい!
きっと誰もが思うことでしょう。
彼らは中学受験という特殊な世界に親としてどう関わったのでしょうか?
気になりますよね?
でもまあ、彼らに対しては同時に批判も起きるわけですよ。
子供の自主性が育たない
親の誘導で入ってもそんなの大人になったら自主性のない人間になるわ
親が勉強を見てやっと入った学校、きっと落ちこぼれるでしょう
などなど。
誤解を恐れずに言わせていただくのなら、
中学受験そんな甘くありません。
皆が皆自立して、子供の力と塾の力だけで合格するわけでないのです。
それはもう、各家庭の涙ぐましい努力の結果なのです。
中には
うちの子は放っておいたら勝手に問題集をやって、気づいたら最難関に行っていたわ
というママや
塾任せでプリント整理だけをしたわ。子どもの自主性に任すのが将来を考えたら一番いいわ。とか
中学受験で失敗したとしても、それは本人にとって長い人生を見れば良い経験。
とい強者ママさんまで、様々な保護者がいることでしょう。
そんな羨ましい優秀児はそのまま頑張りましょう。
この記事を参考にしなくても大丈夫です。
きっとこの記事を読んでいる方はそうでない保護者が圧倒的に多いことでしょう。
それはさながら模試の偏差値分布図のなが~い線と同じかもしれません。
そんな長い線の仲間として、お話しようと思います。
この世にオギャーと生れ落ちてわずか11歳か12歳の小さな子供。
その小さなかわいいわが子が、中学受験というエベレスト(中学受験)に登るのです。
親は単に、下から頑張れよ~と手を振るだけではなく、怪我をしないように、道に迷わないように登る道をライトで照らすサポートスタッフになるのです。
もちろん、中学受験は子が頑張るものです。
でも、親も子供と同じくらい、いえ、子供の年齢の負担を考えると親はそれ以上頑張るのです。
親の頑張りについての記事はコチラ
中学受験 親は勉強を教えなくていいってホント?塾任せで成績は上がる?
ですから、子供が勉強をするのだから全く関係ないわというのは通用しません。
中学受験において親も上手に関わる必要があるのです。
最難関中学から旧帝大医学部現役合格の保護者の共通点
中学受験を子供のものと考えている人の多くは
子供+塾
という構図があるのだと思います。
つまり、子供は塾の指導とカリキュラムの元で勉強したら「自分の能力に相応の」中学に合格するだろうと。
親がせっついたり助けたりしては自主性も育たないし、能力以上のことを求めて、子供にストレスをかけてしまうでしょう!という論理ですね。
これはある意味正解と言えます。
でも、別に中学受験の勉強に限らず、親が無理やりさせていたり、せっついたり、助けてばかりだと伸びないでしょうし、自主性も育たないでしょう。
何も中学受験だけの話ではありません。
東大生に「小学生時代、親に勉強をしろと言われたか?」とインタビューするとほとんどが「言われなかった」と答えるそう。
そんな彼らは
遺伝的に優れているのか?(東大生の親は年収も高く高学歴率が高いです)
はたまた、勉強が好きで、きちんとしていたから言われなかった?
親が「賢い」親だったから?
長時間、勉強をしなくても、普通になんでも頭に入ったから?
そもそも勉強が趣味だったから?
きっとどれかにマッチするでしょうね。
でも、果たして本当に親は、子供の勉強に「無関心」だったのでしょうか?
子供が中学受験という世界で戦っている中、「送迎、弁当、プリント整理」という三大義務以外は何もしなかったのでしょうか?
東大に限らず、国立上位や医学部などは私立や国立の一貫校出身が多いです。
彼らの親は、中学受験の時にどう関わっていたのでしょうか?
塾に丸投げで合格したのかどうか知りたいですよね。
私のせま~い範囲の情報で申し訳ないのですが、皆さん親御さん、かなり「キッチリ」されていました。
「無関心」なんてとんでもない!
塾のカリキュラムの把握から、子供の習熟度、苦手単元の把握、時には勉強をみていました。
詳しくはコチラをどうぞ
中学受験 親は勉強を教えなくていいってホント?塾任せで成績は上がる?
私の知る限り、塾に丸投げという方は一人もいませんでしたね。
そして、面白い共通点が、最難関から旧帝大医学現役合格の保護者にあります。
それは、何よりも、彼らは中学受験という一大プロジェクトにおいてとても「計画性」と「実行性」があったという点。
非常に、冷静に分析し、親として、子供の中学受験に関わっていました。
親は中学受験に関わっていい、いえ、関わらなければいけないのがなんとなく、イメージできませんか?
「親は送迎と弁当作りとプリント整理だけでいいですから」なんて言葉を鵜呑みにする必要はないのです。
中学受験だけ特殊なの?
「夜遅くに重たい塾バッグを背負って歩いている子を見ると可哀そうだと思うわ。」
というのは親戚のつぶやき。
「受験というものは高校から、本当の受験は大学だと思う。」というのはこれまた、教師である従妹のつぶやき。
世間でも
「遊びたい盛りに勉強させて・・・」
というコメントも時々耳にします。
そんな時、いつも感じる違和感。
「なぜ、中学受験だけ特殊に(奇異に)見られるのだろう?」
ということ。
中学や高校で受験勉強を頑張っていたら褒められますよね。
でも小学生なら眉を顰める人もいる現実。
きっとそれは「自分の意思決定ができない年齢なのに、親が誘導しているから」と思われているからでしょう。
実際に、そういう側面(誘導)もありますが、でも、それっておかしいでしょうか?
スポーツをしているお子さんが早朝や夜遅く、土日も一日中それに時間を費やしていたら「頑張っているな~!!えらいな~!!」という応援の声がかかります。
一流アスリートや音楽家にいたっては親と二人三脚。
(卓球の愛ちゃんはじめ多数いますよね)
長距離運転で教室やコーチの元へ通い、学校も早退や欠席して大会に出て、日ごろのトレーニングや練習も毎日ストイックに行って・・・。
彼らが「表彰」や「メダル」という結果を得てはじめて、幼少期は・・・なんてことを紹介されますが、その時に誰も「可哀そう」というコメントはありませんよね。
「やっぱり違いますね~!」
「親御さんと二人三脚ですね~!!」
という大絶賛。
誤解のないように言うと、彼らも凄いのです。本当に凄い!!
能力と努力と才能と運がなければ成し遂げられません。
一流アスリートや音楽家が成功するのは東大に入るよりも難しい狭き門なのですから・・・努力だけでは成し遂げられません。
でも、中学受験の子供たちも同じだと思うのです。
音楽やスポーツでストイックに時間を使って打ち込んでいるのと同じく、勉強をしている。
ただ、それだけだと思うのです。
音楽に打ち込んでいる子は、コンクールに入賞や音楽家を目指しているのでしょう。
スポーツにストイックに打ち込んでいる子は、プロスポーツプレイヤーやオリンピアなどを目指していることでしょう。
勉強に打ち込んで中学受験する子は、将来になりたい職業や入りたい大学の為に勉強しているのでしょう。
どの子たちもすごいと思いませんか?
どの世界も努力が必要ですし、人と比較されます。
結果がものをいう世界ですし、人間関係でも色々とあるでしょう。
もちろん、能力によるヒエラルキーも存在します。
自分の年齢以上の「能力」を期待され、それに向かって努力しているのも同じです。
そして、小学生の間にそれらに取り組んでいる子にとって、親は一番の応援団で、伴走者。
中学受験の世界だけが特殊なのではなく、一生懸命頑張っている世界では同じだと思いませんか?
だから、親戚や学校の先生やご近所さんがなんと言ったって、気にしないでください。
頑張ることがある、それに打ち込んでいる。
そのこと自体が素晴らしいことなのですから。
中学受験での親と中学受験塾の役割の違いは?
中学受験において、多くのご家庭において必須なのが中学受験専門塾へ入塾すること。
中には桜井家のパパさんのように、ご自身でお子さんを導いて受験をするという「親塾」のご家庭もあります。
でも、ほとんどのご家庭が塾を利用することでしょう。
これに最近は

中学受験塾+個別塾
などの万全の体制を敷いているご家庭も多くなりつつあります。
では、塾と親は中学受験においてどう役割が違うのでしょう?
中学受験塾の役割
中学受験塾ってどんな役割があるの?普通の塾とどう違うの?
中学受験の世界を知らない人は、案外普通の塾と中学受験塾との違いがわからない人も多いです。
そんな当たり前のことを!
塾は勉強を教えてくれるところに決まっているでしょう!
中学受験の試験のテクニックや入試関連の情報をくれるところでしょう!
というツッコミが入りそうですね。
もちろん、その通りでしょう。
これらのことを親が親塾でするのは、それはもう大変です。
中学受験塾は









と、塾の先生方には本当に頭が下がる思いです。
小学校の先生方もハードワークだと思いますが、夜遅くまで指導して、授業以外の業務もこなしている塾の先生方もハードワークだなと本当に思います。
何十人、何百人という生徒さんを見てきたノウハウを持ち、
入試問題を研究し、テキストや授業に反映させ、
合格実績という「結果」が求められる
大変な仕事です。
では親の役割はどうなのでしょう?
親の役割
詳しい親の役割は別記事でご紹介しますね。
ここでは、役割の項目ではなく、親との決定的な違いについてお話ししたいと思います。

子供を志望校へ合格させること
これが共通の大きなミッションです。
前述のように、塾は受験科目の指導をしてくれ、子供を志望校へと導いてくれる、そんな重要な役目を担ってくれています。
でも、やっぱり塾は「集団」なのです。
一対集団
そんな図式が成り立ちます。
ですから、偏差値や過去のデータに応じて進路指導をします。

この学校はこの偏差値帯の子にオススメ
この学校の併願校で多いパターンはこの学校
など、過去の事例、つまり経験の蓄積で指導をします。
でも、親にとっては我が子一人を見るだけです。
塾よりも「子供個人」のデータが頭に入っています。
同じ活発で落ち着きのない子供でも、色々なタイプがいます。
苦手なこと、どういう時に声をかけたら調子に乗るか、気を引き締めるかなども、親がわかることもたくさんあることでしょう。
子供が勉強に身が入っていない原因も、親の方が本当の理由が解ることでしょう。
やはり親身になってくれている塾でも、前述のようなハードワークの先生方、限界があります。
やはりデータと比較して指導するのが一番有効なのは当然です。
人数も多く、教室を移動して指導されているなら尚更でしょう。
でも、親にとってみるべき子は我が子一人なのだから、マンツーマンの関係を良好にしておくことが ポイントですね。
塾は活用するもの
中学受験初めての人は右も左もわからないのは当然です。
保護者説明会などで、普段の取り組み方法、親の関わり方、進路について、カリキュラムについてなどの説明を受けることでしょう。
私などは、この説明会で落ち着いたママさん、パパさんを見るたびに
「皆さん余裕があるなあ・・・。順調なのね。」と羨ましくなったり、不安になったりしたものです。
解散後もお目当ての講師に個別に質問に行くと、人気講師は行列が。
前に相談しているママさんの相談のレベルの高い事!
我が家の相談なんて、育児相談?というレベルでした・・・。
でも、めげずに質問に行きましたよ~。
だって、勿体ないじゃないですか。
親が恥をかいても、低レベルの質問をしても関係ありません。
そんなの何百人の迷える保護者を見てきた講師陣には慣れっこでしょうから。
レベルの高い(デキる子ならではの)質問をしたからといって、子のクラスが上がるわけでもありませんし、逆も然り。
ならば、不安に思っていること、疑問点、課題や問題点の解決方法など聞かないと損です。
塾は「活用するもの」です。
親は本当に高い費用を塾に支払っています。子に投資しているのです。
やっぱり親も人間。塾にも子にも「リターン」を求めてしまいます。
ハイリスク・ハイリターンならばいいですが、ハイリスク・ローリターンでは勿体ない。
さらにハイリスク・ノーリターンだったら・・・・
ただし、講師のアドバイスは有難く聞くものの、妄信しないようにしましょう。
合格実績が良いと、どうも我が子もその一員になる錯覚を起こしてしまいます。
どん底の暗闇を迷わぬよう、講師が照らしてくれます。
毎日要領の悪い我が子にイライラ、一向に上がらない成績にやきもきしている親にアドバイスしてくれるのです。
そうなると、アドバイスの全てを素直に受け入れてしまいます。
実践したものの、成績がぱっとしない・・・
これは子の能力が足りないのね。
いや、私のやり方が先生のアドバイス通りじゃなかった。
もっと、先生のアドバイス通りにしなければ。
など、また迷宮へ迷い込む・・・
そして、また先生のお告げ(アドバイス)を聞きに行くということに。
まるで中学受験教の信者のようになってしまいます。
信者になるのは要注意ですよ。冷静に分析しましょう。
つまり、中学受験において、親が上手に塾を活用することが必要です。
客観的データと過去の生徒との比較で子の立ち位置や問題点を指摘してくれますが、時にはその指摘やアドバイスを親が「冷静に」見極め、取捨選択する必要もあります。
例えば、子の学習意欲が高まって、習熟度も上がれば、「特訓クラス」の受講を薦められるでしょう。
「最難関を目指せますよ。その場合はこの講座をみんな取っています」という具合に。
でも、それを全て取って、かえって未消化が多くなり、宿題に追われて・・・ということになるかもしれません。
また、三教科セットの塾が多いですが、聞いてみると一教科ずつ取ることも可能なところも実は多いです。
習熟度が進んでいる子には基礎クラスは取らない方法もあるでしょう。
また、ギリギリ特訓クラス資格を取っても、それで成績が上がる子もいれば下がる子もいます。
この見極めが我が子の様子や躓いた箇所や傾向などを知り尽くしている親の役割なのです。
中学受験での親の関りは、塾との関わり方も含まれているのです。
「塾は活用するもの」
「子をマンツーマンで見ているのは親」
これを常に心に留めておくと、感情的になったりせずに、冷静に関わることができるでしょう。
中学受験での親の関り方の注意点
熱くなりがちな中学受験
親は塾のアドバイスも子の勉強の進捗状況も冷静に見るようにしましょう。
先の章でも触れましたが、冷静に関わることが、合格への道筋。
でも、そうは言っても熱くなっちゃうものなのです。
以前はできた問題なのにできない。
何度やっても暗記できない。
復習テストの点数を上乗せする。
こんなのは「受験あるある」です。(そうじゃない優等生の親御さんはスルーして下さいね)
もし、私がタイムスリップできたなら、自分自身に一番アドバイスしたいこととは
「常に笑顔で子を応援!」
なんだか胡散臭いスローガンのようですね。
でも、本当のところ、これに尽きると思います。
というか、これが親の関わり合い方のベースです。
土台です。
そして、これが一番難しい。
私だけでしょうか?
大人は要領がいいものです。仕事の効率化はワーキングママも主婦も得意とするところ。
要領の悪い子を見てはイライラ。
テストの点数の上乗せを知るや「嘘をつくのは勉強以前の問題だ!!」と怒り心頭。
昨日、暗記にあれだけ付き合ったのに、また忘れていて、本気で子の脳のキャパが心配になってくる。
そんなことありませんか?
でも、大丈夫!
子供は忘れる生き物です。
追い込まれたら嘘をつく生き物です。
要領の悪いのは当たり前。
自分の昔を思い出しましょう。
決して自分の子が劣っているわけではないのです。
みんな(親が)同じ悩みを大なり小なり抱えているのです。
だから、
子のテストが悪くても
要領が悪く、準備が遅い、プリント整理はできない、忘れ物をする、こんな状態でも
一緒に付き合った暗記をいつまでも覚えなくても
三年生のときにできた問題ができなくても
それでも常に笑顔!
厳しい修行のようですが、頑張ってる子のためです。やさしい笑顔でいましょう。
きっとその笑顔が子の自信になるでしょうし、
高学年での伸びが違うと思うので・・・。
超優秀児は精神年齢が高いから、優秀児は素直だから
小学生の間は、まだ成長段階にあるので、体の大きさも差が広がっています。
生まれ月などの影響もまだのこっているかもしれません。
男女に限らず、精神年齢の差があることでしょう。
優秀なお子さんを観察してみると、遺伝などは別として、賢いなと思う理由の一つに
「精神年齢の高さ」があげられると思うのです。
精神年齢が高いと会話も論理的ですし、行動もスマート。
作業も効率的ですし、自己分析もできるので、改善策を自ら実践する。
これぞ「利口」な子なのでしょう。
最難関クラスのお子さんなんかはこういうお子さんが多いですね。
でも、みんながみんなではありません。
もう一つの特徴に
「素直さ」があげられます。
素直だから先生の指示やアドバイスを聞き入れ進歩してきます。
素直だから家での学習も親に反抗せずにするのではかどります。
きっと親子で衝突するのは後者の欠如の瞬間が多いことでしょう。
子が反抗し、素直に聞き入れない。
何度も反抗する。
親子衝突が勉強時間を少なくし、非効率的なものにするという負のループ
まだ11、12才なのだから成長に差が合って当然です。
大人の世界を見回してみると、皆いい具合に成長していませんか?
だから、前述の
「いつも笑顔で子を応援」
を実践してみてください。
中学受験での親の関わり合いは、親自身のアンガーコントロールともいえるかもしれませんね。
中学受験での親の関わり方のまとめ
このように、中学受験は親子の受験といわれています。
送迎や塾費用などだけではなく、様々なフォローをする必要があるので、そういわれていますが、それ以上に、塾では把握しきれない子自身の個性や特徴を親が見極めることといえるでしょう。
塾を上手に活用し、親はイライラせずに、常に笑顔で子を応援していると、長丁場の中学受験勉強はもちろん、きっと最終学年の入試直前期に、子の大きな力となるはずです。
常に笑顔で子を応援していれば、受験勉強で頑張っている過程そのものが、親子の貴重な体験となると思います。