初心者、小さなお子さん連れの家族の登山からトレイルランニング、毎日登山、上級者の岩登りなど、様々なレベルや目的で楽しめる芦屋ロックガーデン。
六甲山登山のメジャールートなので、事故や遭難が実はとても多いのです。
そこで芦屋ロックガーデンをはじめ、六甲山の遭難事故や遭難や事故を防ぐための注意点などをお伝えしようと思います。
楽しく安全に登山を楽しむ、家族連れのトレッキングを楽しむ為にも、一読してみてくださいね。
目次
六甲山で遭難が多いのはなぜ?
低山は安全なようで実はとっても危険!
時々ニュースで流れるアルプスなどの遭難事故の様子を見て
「わ~!!大変だ!!助かるかなあ・・・。費用もかかりそう・・・」
なんて思う人も多いのではないでしょうか?
でも、遭難は別に日本アルプスなどの高山でしか発生しないものではありません。
実は、低山登山のほうがとっても多いのです
そもそも、遭難って何でしょう?
道迷い?
滑落?
体調不良?
捜索隊が出たら遭難?
もちろん全てです。
遭難とは字が表すように「難に遭う」ということ。
つまり、山で難に遭えば全て遭難となるのです。
「難」の理由について、例えば高山では急な天候不良などで身動きできずに下山できず・・・なんて報道がなされていますので、そのイメージが多いかもしれません。
でも山の高さが高い、低いに関わらず、山中で何らかの理由で「自力下山」できない時点で「遭難」となるのです。
その理由が怪我であろうと、道迷いであろうと、天候によって行動不能であろうと関係なく、自力で下山できない状況になった場合や下山予定を過ぎた場合は遭難になるのです。
六甲山系は遭難多発地帯!
関西ではとってもメジャーな山である六甲山。
標高は931m、東西約30kmにわたり、神戸市やその他の兵庫県の都市部に隣接する山です。
ロープウェイで登ることもできますし、芦屋から六甲山最高峰を目指し、有馬温泉へ下るルートは六甲山の王道登山ルートと言えるでしょう。
毎日登山を日課とする「毎日登山」の登山者、
トレイルランニングを趣味とするランナー、
岩登りやアイゼンワークを目的とする上級クライマー、
山岳会の山行、写真を目的とする登山者、
遠足として入山する園児や学生、
家族で登山する人たち、
デートで登山
・・・など目的やレベルは様々。
沢山の人が六甲山登山を楽しんでいます。
そんな身近な六甲山ですが、実は非常に遭難の多い山で、携帯の電波状況が良い近年では更に増加傾向にあるようです。
神戸市のHPによると、神戸市消防局は年間100件もの山岳救助活動をされているとのこと。
六甲山は市街地から近いことから、関西の山の中でも特に入山者がとても多い山なのです。
遭難件数は必然的に入山者に比例して多くなるのは想像に難くないでしょう。
でも、それだけではありません。
六甲山で遭難が多いのには他にも理由があるのです。
六甲山に遭難が多い理由とは?
六甲山はロープウェイがあったり、レジャー施設があったり、関西人にとっては登山を趣味としない人にとっても、とても身近な山です。
身近すぎて、「山」という意識が少し低いのかもしれません。
だから六甲山に登る時も登山と気負うことなく「気軽に」登ってしまう人が多いのかもしれません。
気軽な服装で、下調べや準備すらない状態で入山する人も実際多く、道迷いや滑落という従来の登山にある遭難理由だけでなく、服装の不備などから熱中症や疲労などで行動不能で「遭難」という人も・・・・。
登山初心者や登山を目的と考えずに入る一般ハイカーの遭難もとても多いのです。
また、登山中・上級者の遭難も発生が多いのも六甲山の特徴です。
登山を趣味とする人にとっては、六甲山はまた違う意味でとても特別で親しみのある山で、初心者登山者だけでなく、中・上級者にとっても六甲山はとても身近な山なのです。
ロッククライミング発祥の地と知られる「芦屋ロックガーデン」でのロッククライミングをはじめ、高山登山の歩荷訓練やアイゼンワーク、読図訓練など、登山のスキルを初心者から上級者まで訓練ができ、六甲山に入山されています。
登山上級者の事故は少ないですが、どれだけ万全の装備や行動をしても、「登山」や「クライミング」は危険を伴います。そこで事故や怪我が発生しても「遭難」となってしまいます。
また、岩登りなど上級者の登山者でなくても、長年ずっと六甲山を登っている登山者もいます。
慣れている山域である六甲山で遭難というケースも発生するのが、登山の怖いところなのです。
このように、六甲山は入山者が多い事と、入山者のレベルや目的に幅があることも一因として、遭難がとても多い山なのです。
そして、遭難が多い六甲山系でも特に遭難が多いエリアがあります。
それが「芦屋ロックガーデン」付近の登山道やゲレンデ。
次の章で詳しくご紹介したいと思います。
芦屋ロックガーデンは遭難が多いのはなぜ?!
登山口まで近い!
最寄り駅を芦屋川とし、高座の滝をスタート、通称芦屋ロックガーデンから風吹岩を通過し、六甲山最高峰を目指し、ゴールを有馬温泉とする六甲山の登山コースは初心者でも楽しめる王道ルートとして知られています。
中でも、そのルートの前半部分である「芦屋ロックガーデン」は最寄りの芦屋駅から徒歩30分ほどで登山口に到着するという手軽さ。
他の山のように、都市部から長時間、電車を乗り継いだり、車で移動したりして、登山口まで行く必要はありません。
市街地からすぐの便の良い阪急電車沿線、しかも芦屋川という市街地がスタート地点なのです。
最寄り駅から登山口である滝の茶屋(高座の滝)までは、小さなお子さんを連れて、ゆっくり歩いても40分でしょう。
春には芦屋川の桜が見事ですし、登山口までの街並みは豪邸が立ち並び、目を楽しませてくれます。そんなこともあり、駅から登山口までの40分はあっという間に感じます。
このように、そもそも、登山口の到着までがとっても楽なことから、手軽に登れるという気持ちにさせるのでしょう。
様々なレベルや目的の入山者が多い
六甲山はベテラン登山者にとっても身近な山で、登山を楽しむだけでなく、高山や冬山登山のための訓練場としてもメジャーな山でもあります。
そんな六甲山でも特に人気なのが芦屋ロックガーデン。
実はこの芦屋ロックガーデン、本来はロッククライミングのゲレンデなどを指します。
でも、今では高座の滝をスタートして風吹岩(標高447m)を目指して登るルート途中にあるポイントを指すのが一般的なのかもしれません。
このポイントは一般ルートの途中、ロッククライミングのような体験ができるので、登山が趣味の人以外にも認知され、楽しまれているようです。
登山上級者のロッククライミングは事故もありますし、セルフレスキューできるよう仲間で訓練もされています。
それでもやはり、滑落などの事故も遭難になってしまいます。
岩登りのゲレンデとして人気もあり、遭難が起こってしまいます。
これは、他の低山で、特にクライミングゲレンデなどでは起こり得るケースと言えるでしょう。
でも、そんな上級者の遭難だけでないのが、この芦屋ロックガーデンの特徴。
芦屋ロックガーデンは登山者のレベルの幅がとても広く、それが遭難の多さの理由の一つとなっているのです。
芦屋ロックガーデンは初心者はもちろん、小さなお子さんを連れて登ることもできてしまいます。
ちょっとした「ロッククライミング」気分を味わえることができるので大人気のコースとなっていますので、GWなどは登りの人で「渋滞」が起きるほど!
絶景ポイントである「風吹岩」をゴールとして下山するコースだと、短時間で登って下りられるので、手軽さをさらに拍車をかけているのです。
このことから、初心者や家族連れなどの入山者も多いので必然的に遭難件数も多くなってしまいます。
これに関しては次に詳しくご紹介しますが、以上ように、様々なレベルの登山者、入山者が多いことが、六甲山、特に芦屋ロックガーデンの遭難が多い理由の一つと言えるでしょう。
中・上級者に入り込む初心者が多い!
風吹岩を目指すルートもいくつかあり、高座の滝前の案内板にもありますし、ネットで登山した人の記録を見たりすることができます。
でも、それらの岩場や地獄谷を経由するバリエーションルートは登山上級者しか踏み入れてはいけない場所。
今のようにネットが普及していない時代は登山地図や登山口の案内板などの「アナログ情報」が主流だったので、メインルートから外れるというちょっとした「冒険」はできませんでした。
一般登山道から「外れた世界」がどのような風景か想像もつかなかったからです。
それが、今や、ネットで検索するとルートや所要時間はもちろん、途中の魅力的なポイントなども見ることができるので、魅力的な景色や風景が目に飛び込みます。
「ちょっと寄り道してあの景色を見に行こう」
「こちらのルートで登ってみよう」
と気軽にバリエーションルート、つまり一般登山道以外の中・上級者ルートへ足を運んでしまうのです。
一般登山道ですら、地図やコンパスなどの最低限の登山装備はもちろんのこと、服装すら「え?それで登るの?」という人も見かけます。
足元はタウン用スニーカー、ザックすら持たず、斜めポーチで、ロングキュロット姿の人さえ見かけます。
それで、バリエーションルートへ足を運んでいるのですから、途中にトラブルにならないほうがおかしいです。
その冒険体験をSNSであげて、それを見た初心者がまた「冒険する」という良くない連鎖があるように感じています。
初心者だけでバリエーションルートには足を運ばないようにしましょう。
特に芦屋ロックガーデンでは地獄谷ルートを登る初心者が多いですが特に要注意です。
計画を立てずに登る人が多い!
芦屋ロックガーデンは登山口までも登山口からゴールの風吹岩までも短時間。
高座の滝から登り始めてすぐに傾斜のある岩場が現れるので、ダラダラ登りで退屈することはありません。
登りは小さなお子さんもジャングルジムのように、手足でよじ登ることができます。
風吹岩までの短いルートの中にギュッと楽しみが詰まっているのです。
そんなことから、小さなお子さん連れの家族登山でも人気なのです。
登山道をすれ違いながら、明らかにママやパパが「登山経験者」もたくさんいます。そういうファミリーだと安心して見ていられるのですが、そうでない人たちもたくさんいます。
「ちょっと天気がいいから芦屋ロックガーデンに行ってみる?」という気軽な気持ちにさせてしまうのでしょう。
そしsて、そうした装備や服装だけでなく、計画も不十分な人が多いのが芦屋ロックガーデンの負の特徴かもしれません。
登山は計画がとても大切です。
出発時間、ルート、そこに装備ももちろん含まれます。
でもその計画をしない初心者がとても多い印象なのです。
例えば、人数が多いパーティだと、慣れている山でも「下見山行」にリーダーが行くことも多いです。
登るグループ(パーティ)のスキルや体力、年齢などを考慮して、所要時間やルートをチェック、万が一の際のエスケープルートなども考えます。
ルートチェックはレベルに応じた道かどうかは勿論、六甲山は特に台風の後などは倒木や落石などが多く登山道が崩れたり、以前とは違う様相になっていたりしますので、それらもチェックするのです。
これが、本来の登山の形ですが、そこまで準備しなくても楽しめるのが芦屋ロックガーデンの魅力の一つになっています。
風吹岩までの所要時間が短いので、ハイキングのように気軽に登れることから、ルートや所要時間を考慮しない人が多いのです。
でも、このルートは決して「ハイキング道」ではないのでご注意を。
立派な登山道なのですから。
芦屋ロックガーデンでは、花崗岩がむき出しのもろい急な斜面を登ります。
鎖場や梯子を使う岩もあります。
落石、滑落などの事故もあります。
小さな石でも落石は命取りです。
また、途中は狭いところもあり、そこから落下すればそれこそ命を落としてしまいます。
実際に、休憩中に落下して死亡という痛ましい遭難事例もあるのが芦屋ロックガーデンなのです。
また、滑落や怪我以外にも芦屋ロックガーデンで多いのが熱中症。
むき出しの岩は木々で遮られていないので、直射日光がきついです。
夏場はもちろん、GWなどでも熱中症には要注意です。
速乾性の服装や十分な水分携帯はもちろん、日差しを遮る帽子やサングラスも必要なのですが、そのような服装や装備の無い人の多いことにビックリすることもあります。
下山時刻を考えない入山者
登山で忘れてならないのが「下山時刻」
日帰り登山の下山時刻は通常15時(冬場は14時のことも)を目安とします。
でも、芦屋ロックガーデンでは、その時間に登り始める人にも出くわし驚くことがあります。
先にお話ししたように、ネットで山行記録やインスタなどを見て、「40分で登れるんだ」と気軽に登ってしまうのでしょうか。
でも、待ってください!
その山行記録は登山が趣味の中・上級者のケースが多いのに気づいていますか?
彼らの脚力、読図能力は優れていますし、何よりも六甲山をテリトリーフィールドとしている人は慣れたもの。
ルートはもちろん、ペース配分や危険個所まで熟知したうえでの所要時間なのです。
初心者なら往復で最低2時間以上はかかります。
ロックガーデン付近は急な登りなので、体力を消耗します。
休憩も頻繁に必要な人もいることでしょう。
逆に、急いで登ると体調不良を引き起こします。
実際に、芦屋ロックガーデンでは熱中症などの「体調不良」から遭難しヘリで救助されるという遭難事例も発生しています。
特に下山を同じルートを取るなら、登りよりも下りの方が難しかったり、足に疲労がきたりしていて時間がかかることも。
下山時は特に怪我や滑落に注意が必要です。
この時も登りで無理をしたり、体力や脚力が限界にきていたりしたら、滑落など命の危険にさらされるような遭難となってしまいます。
このように、ネットで山行記録を上げている「中・上級者」の所要時間を参考にしてはいけないのです。
短時間で登れるスキルや体力のある人の所要時間を参考にして「今からでも登って下りられる。」と考えるのはとても危険なのです。
ましてや、ヘッドライトなど、登山に最低限必要な装備がない状態で登り、夕方の薄暗いロックガーデンを下山するのは危険以外のなにものでもありません。
低い、手軽と思わずに「芦屋ロックガーデン」は立派な「登山」と考えて登るようにしましょう。
芦屋ロックガーデンで遭難しないためにはどうすればいい?
芦屋ロックガーデンは色々なレベルの登山者にとって、六甲山の中において、とても人気のポイントです。
そのため、遭難事故もとても多いのが実情です。
では、遭難の当事者とならないためにはどうしたら良いのでしょうか?
前章でもヒントはたくさんあったかと思いますが、ちょっとリストアップしてご紹介したいと思います。
遭難しないために気を付けるべきこと
登山は朝早く出発し、14時までに下山すること
天候が悪い場合は特に早く暮れるので要注意です。
登山計画を必ず立てる事
事前に計画することで、危険個所を「予習」できますし、ペース配分もつけられます。
登山装備を整えて登ること
登山装備は命を守る装備です。
登山計画書の提出や自宅に置いておくこともしましょう。
救急セットにはテーピングを入れておくと、捻挫の時に役立ちます。
体調、脚力、体力を考えて無理をしないこと
無理は怪我だけでなく脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な発作につながります。
仲間たちの登山で、キャンセルするのは・・・って考えて無理をしてしまう。
これはかえって迷惑をかけてしまう結果になります。
服装に注意!
服装は速乾性の登山用の服装、足元は履きなれたトレッキングシューズ
綿素材はNG。
熱中症のリスクを高めます。
足首をサポートするトレッキングシューズがオススメ。
必ず履きなれた状態で登りましょう。
レベルに応じたルートを取ること
岩場では迂回路もあります。
無理せずにルート取りをしましょう。
初心者はバリエーションルートには踏み込まないこと
初心者だけで一般登山道から外れるのは危険です。六甲山は縦横に道がたくさん走っています。
林道、管理道などもたくさんありますし、獣道や上級者が藪漕ぎ(独自に開拓)したルートもあります。
「踏み跡」を頼りにしていると身動き取れない状況になりかねません。
道標も整備されているので、現在地を確認しながら一般登山道を外れないようにしましょう。
単独山行は避ける事
月に何度も登っていてベテランという人も単独山行はオススメしません。
体調不良、特に不測の発作が起きて遭難という事例をたくさん知っています。
救助要請ができればラッキーですが、例えば、トイレのために登山道からちょっと外れた際に発作を起こして・・・というと、とても深刻な事態になってしまいます。
これは滑落、落石などの事故の際にも当てはまります。
レベルに関係なく、単独山行は登山の難易度をとても上げるということを頭に入れておく必要があるでしょう。
危険動物(イノシシ、スズメバチ、ダニなど)には特に気を付ける事
野生のイノシシがとても多く、特に風吹岩をテリトリーにしているイノシシの事故が多発しています。
ザックや上着を地面に置かない事。
また、スズメバチにも気を付けましょう。岩壁に巣を作っている場合もありますし、木のウロや地面に巣を作っている場合もあります。
そして、六甲山系のダニは重篤な感染症を引き起こす病原体を媒介するものが報告されています。素肌を露出しないようにしましょう。
落石に気を付けながら慎重に登ること
六甲山系、特に芦屋ロックガーデンの岩場はもろい花崗岩。
安全に整備されているとはいえ、乱暴な足運びだと落石を引き起こしてしまいます。
自身はもちろん、落石で下にいる人を大怪我させてしまう危険性があります。
休憩や停止場所は安全な場所ですること。山側や谷側に背を向けない事。
山側からは落石の危険性、谷側に背を向けて踏み外すと落下の危険性があります。
どちらの側も視界に入る場所で休憩しましょう。
台風のあとは入山しない
台風のみならず、大雨の後は足元が滑りやすい、地盤が緩んでいるという危険性があります。
そして、案外知られていないのが、登山道が通行できないケースがあるということ。
倒木や土砂崩れで「道がない状態」や、大雨の水の流れの跡が一見ルートに見えてしまうような「道ができてしまう状態」になる場合など。
神戸市のHPなどでは登山道の通行止め情報などもアップされていますが、それ以外にも登山道の支障をきたしている箇所がある可能性もあります。
特に初心者は当日の天候以外にも、登山日前までの天候にも気を付けましょう。
それでも、もしも遭難してしまったら?
準備や装備を万端にしても、山でトラブルが発生し、自力下山できない、つまり遭難してしまこともあるのが登山の怖いところ。
もしも、遭難してしまった場合はどうしたら良いのでしょう?
焦らない事
焦らず、落ち着きましょう。
パニックになっては更に危険性が増してしまいます。
六甲山系は高さも低いですし、麓までの距離はそんなにありません。
じっと、周囲を見渡し、方角を確認しましょう。
来た道を引き返す
もし、道から外れて現在位置がわからなければ、来た道を引き返す。
これが鉄則です。
迷ったら上に登る。
道迷いの遭難事例の原因の多くが「迷って下に下りた」というケース。
下に行けば行くほど裾野が広がるのが山です。
上に引き返した方が迷った箇所からの誤差が少ないのはもちろん、沢筋に入っての滑落などの危険性がありません。
特に、六甲山は急な岩壁や崖が木々や下草に隠れて危険です。
迷った場合は、迷わず来た方向の「上」や「尾根」を目指しましょう。
道標の場所を覚えておく
六甲山の登山道には道標がたくさん整備されています。
特に芦屋ロックガーデンを中心とする遭難の多いルートにはそれらの道標に加えて黄色いプレートに消防車の絵と文字と数字が書かれた「命の道標」と呼ばれる通称「119つうほうプレート」が設置されています。
行動できないような怪我や体調の時は、このプレートがある場所まで移動するか、そこからどの位の位置かを把握して救助要請するようにしましょう。
雨や濃霧、夜間では動かない事。
急な天候変化があるのが山。六甲山も例外ではありません。
視界不良の時に動くと道迷いや滑落の危険があります。
安全確保できる場所で留まるようにしましょう。
携帯の電源は切らない事
救助要請をした後はコールバックがあるかもしれません。
電源節約のために電源を切る人もいるようですが、切らないようにしましょう。
登山中は予備バッテリー持参が一番ですが、ない場合は機内モードにしてバッテリー消耗を防ぎましょう。
万が一遭難した時に、バッテリー不足となっては助けを求めることもできませんし、道迷いの際には捜索隊からGPSで現在地を把握してもらうこともできません。
遭難するということは、人の命も危険にさらしてしまうことも。
近頃は、携帯のアンテナ受信状況が良くなったこともあり、登山中に体調が悪くなったらすぐに救助要請をするケースが増えているようです。
中には、タクシーのように気軽にヘリの救助要請をする登山者もいて、「捜索救助費用を自己負担で」などと問題になっています。
もちろん、それらの救助費用の元をただせば、我々の税金から支払われているという実際もありますが、金銭的なことよりも、まず頭に入れるべき大切なことがあります。
それは遭難において救助してもらうということは、救助する側の命の危険性もあるということなのではないでしょうか。
例えば足を骨折して運ぶとなると、人数が多く、担架で運ぶ場合はかなりの人数が必要になります。
ザイルを張り、救助者の安全を確保する人員も必要となります。
担架を数名で持ち、その担架を持つ救助者を「確保」する人員も必要でしょう。
救助隊は、プロとはいえ、危険と隣り合わせです。
彼らの命も危険にさらしてしまう、決して「自己責任の元、登山をしているから」とは言えないのです。
救助隊からすると「自己責任で登っているから救助しなくてもいいだろう」ということには絶対にならないからです。
また、ヘリに関しても同様です。ヘリで飛ぶこと自体、大きなリスクがありますし、ましてや山においては、気流の影響を大きく受けるので、山の中で風が吹いていないと感じていても、実はヘリは厳しい状況ということもあります。
趣味で登山を楽しむ私達を、命がけで捜索救助してくれる救助隊の命を危険にさらしてしまうのが遭難するということ・・・このことを肝に銘じておくことが必要なのではないでしょうか?
そうすれば、無理な行動や準備不足などをしないでおこうと思いますよね。
芦屋ロックガーデンでも事故や遭難のまとめ
ファミリーや初心者はもちろん、中・上級者にも人気の六甲山は遭難がとても多い山だということはおわかりいただけたかと思います。
特に人気のポイントがある、芦屋ロックガーデンは滑落、怪我、道迷いだけでなく、熱中症などの体調不良による遭難も多いのが特徴です。
また、上級者用のバリエーションルートに気軽に入っての遭難も近頃増えているので、一般登山道から外れないことも大切です。
「山で捨ててはいけないもの、それはゴミと命」これは低山でも同じです。
準備や計画をきちんとして、無理のない安全な登山を楽しんでくださいね。
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