六甲山は登山を初心者から上級者まで楽しめる、魅力ある山。今回は王道コースのロックガーデンから風吹岩ルートをはじめ、六甲山最高峰を目指すルートなど、初心者でも楽しめる六甲山おすすめトレッキングコースをご紹介したいと思います。
体力別にいくつかルートをピックアップしてみましたので、ご自分の体力や時間を考慮して、無理なく安全な登山を楽しんでみて下さいね。
目次
初心者や時間が限られた人に! 芦屋ロックガーデン滝の茶屋(高座の滝)~風吹岩ルート
六甲山の王道ルートといえば芦屋ロックガーデンから風吹岩を通過して六甲最高峰を目指すトレッキングコース。
でも、初心者や体力にまだ自信がないという人には、芦屋ロックガーデンから風吹岩で引き返すルートがオススメです。
芦屋ロックガーデンとは?
この芦屋ロックガーデンは日本のロック・クライミング発祥の地として、登山上級者にとって今なお、ロック・クライミングやアイゼンワークなどの訓練場として人気のゲレンデです。
登山口である滝の茶屋(高座の滝)から標高447m、ビューポイントである風吹岩に向かう一般登山道は初心者でも「岩登り」体験ができるルートとしてとても人気です。
この一般登山道にある「ロックガーデン」は傾斜のある岩場を、ロック・クライミングのように手足を使って登るのです。
え!!ロック・クライミングなんてできない!!
いえいえ、ご安心を。
上級者が使うロック・クライミングの垂直の岩壁とは違い緩い斜面なので、ザイルも特別なスキルも不要です。
入園前の小さなお子さんも登ることができるので、初心者はもちろん、お子さん連れの家族にも人気のコースです。
登山道はとても整備されていて、標識も各ポイントに設置されています。
また、ロックガーデンの岩場も「浮石」や「落石」を防止するために杭を打って固定してあるなど、初心者や家族連れにも安全なように整備してくれています。
ロックガーデンは六甲山を形成する花崗岩がむき出しになっているので、整備されているとはいえ、足元に注意し、落石などしないように、気を付けて登りましょう。
小さなお子さんは特に滑落しないように、下から大人がつくようにしてあげてくださいね。くれぐれも無理なようなら、岩場の側にある迂回ルートを使うようにしましょう。
登山口最寄り駅:阪急電車 神戸線 芦屋川駅
※車の場合は登山口には駐車場がないので駅周辺に停めましょう。
所要時間:芦屋川~滝の茶屋(約40分)~高座の滝(2分)~風吹岩(約40分~1時間)~金烏山(約30分)~保久良神社(約20分)~阪急電車 岡本駅(約20分)
※所要時間は初心者向けに余裕を持たせていますが、個人差があるので目安です。
下山は午後14時、最低でも15時を目安に安全な登山を計画してくださいね。
芦屋川駅から登山口まで
駅前のトイレは綺麗なので、ここでトイレを済ませておくと安心です。
風吹岩までの最終トイレポイントは、登山口の滝の茶屋前のトイレとなります。
こちらのトイレは登山客が多い時は並ぶかもしれません。
コンビニも芦屋川駅横のコンビニが最終です。
滝の茶屋でも飲み物、食べ物は購入可能ですが、早朝だと開いていない場合があります。
芦屋川駅からは右に芦屋川眺める道を山手へと歩きます。
歩いてすぐに分岐点がありますが、そこには「高座の滝」と標識が出ているので、標識通りに、芦屋の高級住宅街を歩きながら山手へと進みましょう。
六甲山 ロックガーデン~風吹岩まで 各ポイントの魅力
◆高座の滝◆
登山口の滝の茶屋すぐ側の高座の滝。落差10mほどの滝で、真夏でもマイナスイオンに包まれ、側の護摩堂は昔に修行も行われていたようで、独特の雰囲気のある風景です。
滝壺まで下りることができるので、小さなお子さんが滝の水に触れることができます。
ベンチが設置されているので、登山準備や休憩ができます。
手前の滝の茶屋近くのトイレが最終トイレ地点となるので、必ずこちらでトイレをすませておきましょう。
滝の左横の岩場には、日本におけるロック・クライミングのパイオニア、藤木九三氏のレリーフが埋め込まれているので、ぜひ、目を凝らしてみて下さいね。
◆ロックガーデン◆
高座の滝を過ぎてしばらくすると、いきなり岩場の登りが始まります。
花崗岩はもろく崩れやすく、滑りやすいのでジャンプしたり、蹴って上がったりしないようにしましょう。
途中、鎖場があったり、梯子が立てかけられている場所があったりするので、ちょっとしたスリルも味わえます。
迂回ルートもあるので、脚力、体力に応じて無理をせず、安全に登るようにしましょう。
途中、小さなビューポイントがあるので、酷使した足を休めたり眼下の風景を楽しんだりすることもできます。
ただ、人気のルートで、登るのに順番待ちをするロックガーデンポイントは、土日は特に混みます。
写真を撮ったりする場合は、渋滞を引き起こさないように注意しましょう。
混んでいる時は、無駄に止まらない。
安全で邪魔にならない山側に避ける、登りの人に道を譲るなどしてくださいね。
◆風吹岩◆
標高447mにある大きな花崗岩の岩があるビューポイント。
このポイントからは遠くは生駒山まで見渡せる絶景です。
風吹岩に登って下から写真を撮ると、どんな高山に登ったの!というショットが撮れます。
また、このポイントに住み着いている猫がお出迎えしてくれるので、登りの疲れを癒してくれるでしょう。
※イノシシに注意!※
六甲山は野生のイノシシがとても出没する山です。遭遇しない日はないくらい。
この風吹岩をテリトリーとしているイノシシは、最近事故が多く報告され、高座の滝前の案内図の下にも注意喚起がされています。
風吹岩のイノシシに限らず、六甲山の野生のイノシシは登山客に慣れていることもあり、人を怖がりません。
よくある、街中で猪突猛進しているイノシシとは違い、人を怖がることもせず、ゆったりと歩いています。
距離を取って、刺激しなければ襲ってくることは、あまりありません。
だからといって安心してはいけません。
一見おとなしそうに見えますが、風吹岩のイノシシに噛まれたり荷物を奪われたりする事故が多発しているとのこと。「おそらく同じ個体だと思われる」と案内図の注意書きにもありました。
実際、私達が登った時も、風吹岩のイノシシに荷物を奪われている登山者がいました。
絶対に地面にザックや上着、スマホなどを置かないようにしましょう。
また、イノシシが見える範囲では、食事を取ることも危険です。
日向ぼっこしているように見えても、食事の臭いにはとっても敏感。
むっくりと起きあがり、悠然と近寄ってきます。
そのゆっくりペースにな~んだ!とナメてはいけません。
イノシシはさすがです。荷物を奪う時はとってもスピーディーですから。
ちなみに、風吹岩の上に上がっていたら大丈夫!と思わないように。
イノシシは風吹岩の上へ登れますので。
イノシシが視界にいる場合は、「荷物を下に置かない、刺激しない、食べない」を!
そして、当たり前ですが、絶対に餌を与えたりしないようにしましょうね。
◆風吹岩からの下山ルート◆
風吹岩の下から魚屋道から金烏山を経て保久良神社から阪急岡本駅をゴールとするルートは風吹岩までの一般道よりなだらかで道幅も広く、金烏山からはベンチなどもあるので、初心者や小さなお子さん連れの家族のトレッキングにはオススメです。
3月中旬~下旬には保久良梅林の梅が見頃なので、疲れて下山しても、また目を楽しませることができますよ。
また、少し時間に余裕がある人は、風吹岩から横池(雄池、雌池)まで(約10分)足を伸ばして、静かな池の風景を楽しむのもいいかもしれません。
土日など、風吹岩はたくさんの人で混雑していますが、こちらの横池は静かです。
特に5月中旬からは池に咲く蓮の花が見ごろ。森の中の静謐な池に咲く、可憐な蓮は神秘的です。
この横池(横ノ池)は雄池、雌池の二つの池を合わせて横池と呼びます。
雌池は枯れ木が湖面からその姿を静かに立たせ、私達を出迎えてくれます。
ここから八幡谷を経由して下山するルートもありますが、台風で崩落した場所もあるので、風吹岩まで戻り、初心者や小さなお子さん連れは先にご紹介した岡本駅までのルートの下山のほうが良いでしょう。
◆ここもイノシシに注意!◆
静かな横池ですが、ここもイノシシ出没ポイントです。
水場ということもありますが、六甲山の人慣れした野生イノシシは、登山者の食べ物を奪うことができると「学習」しているので、人が訪れる場所に出没するのです。
出くわしても、走って逃げたり、無駄に刺激したりしないようにしましょう。
特に蓮の見頃の時期は、ウリ坊を連れたイノシシに遭遇することもあります。
子連れのイノシシは特に注意しましょう。
体力と時間の余裕がある人にオススメ ロックガーデン~六甲最高峰ルート
初心者でも体力と時間がある人にオススメのルートがこれぞ、六甲山王道ルート。
ロックガーデンから風吹岩を経て六甲山最高峰を登るトレッキングコースです。
風吹岩までは前述のルートを参考にしてくださいね。
※下山時刻は14時、遅くとも15時を目安に、逆算して出発時間を設定しましょう。
六甲山とは
標高931.25m、大小の山々が連なる六甲山系の最高峰が六甲山です。
この標高、実は1995年の阪神・淡路大震災の時に隆起し、931.13mから931.25mとなったそう。
実際に立ってみて、この地面が隆起するなんて、あらためて、あの震災のエネルギーは凄いものだったのだなと驚きと恐怖を隠せません。
歩行距離:約12㎞(芦屋川~六甲山最高峰)
所要時間:約4時間
風吹岩から六甲山最高峰を目指す!
風吹岩~雨ヶ峠(約1時間)~七曲~六甲山頂(約1時間)
風吹岩から雨ヶ峠方面へ魚屋道を進みます。雨ヶ峠までは分岐道標が多いですが、メインルートで人通りもあるので、迷うことは少ないと思います。
ただ、過信は禁物。現在位置を確認しながら、雨ヶ峠方面へと進みましょう。
1. 打越山方面分岐
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2. 横池への分岐
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3. 打越山・十文字山方面分岐(案内板あり)を右に進む 湿地帯通過
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4. 荒地山への分岐
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5. 黒五谷・住吉川方面分岐を過ぎると イノシシ避けのフェンスゲートが見える。
扉を開けて芦屋カントリークラブ内通過後、再びゲートを開けて必ず閉めた後、右手にゴルフコースを見ながら樹林帯を通過、急坂をひたすら上ると雨ヶ峠(596.8m)に到着。
風吹岩を出発後、芦屋カントリークラブ出るまでは緩やかな道ですが、ゲートを出ると登山道へと戻り、後はひたすら登ります。
初心者は結構、疲れが出るかもしれません。
雨ヶ峠はベンチがあるので、ここで小休止。
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6. 雨ヶ峠から左のルートを進み本庄橋跡手前に道標。どちらのルートを取っても時間もしんどさも変わりません。
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7. 一番の踏ん張りどころ、七曲をひたすら登ります。
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8. 舗装された道路に出たら「一軒茶屋」の前の道路を渡り六甲最高峰へ到着。
雨ヶ峠からは沢をちょっと渡渉もあるので滑らないように気を付けましょう。
最後の七曲りはひたすら登ります。
もし、ここで体力や時間がない場合はエスケープルートを取りましょう。
雨ヶ峠からのエスケープルート
雨ヶ峠~東おたふく山(697m)(約30分)~東おたふく山バス登山口バス停(約30分)
バス停から芦屋川へと戻ります。
雨ヶ峠からは開けた草原のハイキングルートのため、緩やかで気持ちが良いです。
でも、東おたふく山からの下山は急な場所もあるので、疲れで足腰が弱っている方は要注意。
登山の怪我は下山に多いので、慎重に下りるようにしましょう。
阪急バス
さらに体力と時間に余裕がある人に!六甲最高峰~有馬温泉
六甲山トレッキングの王道ルートを最後の締めくくりには、疲れを温泉で癒してみませんか?
体力と時間に余裕がある人は、六甲最高峰から有馬温泉へ足を伸ばすのがオススメです。
六甲最高峰から有馬温泉へのルート
六甲最高峰~魚屋道を経て有馬温泉(約1時間)
実は、六甲最高峰から有馬温泉までは、魚屋道を通るルートと六甲山全山縦走路を通るルートがあります。
後者は道路沿いからスタートするので楽かも、と思うかもしれませんが、途中で登山道へ入り、熊笹のルートを通るので、前者をオススメします。
1. 一軒茶屋前の道を斜め前に進むと道標があり、その先に案内板があり、さらに先に石畳があります。この石畳の道を下ります。
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2. 吉孝神社を通過
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3. 整備されたくねくね下り坂を下る。
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4. 「稲荷神社への近道」看板あり。疲れている人、家族連れはこのルートではなく舗装された道を進むのがオススメ。近道で、最初は歩きやすいですが、最後は急坂です。
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5. 道なりに下りて行くと温泉街に入ります。
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6. 「銀の湯」道標を左に行くと銀の湯へ。スルーし、温泉街へ更に進むと「金の湯」へ。
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7. 温泉で疲れを癒したらバスで各地へ移動するか、神戸電鉄で帰路に。
六甲山トレッキングの注意点
今回は六甲山を初心者でも楽しめる王道ルートを中心にご紹介させていただきました。
体力や時間の余裕別にコースをご紹介したのですが、最後にどのルートにも共通しての注意点をお伝えしようと思います。
✔装備、服装は万全に
六甲山は気軽に登れることから、実は遭難も実は多い山です。
ネット検索しても「え?この服装で入ったの?」というような、街中で遊ぶ格好で中級車ルート(地獄谷コース)を通る人もいます。
花崗岩は滑りやすいので、足元は滑りにくいトレッキングシューズやトレイルランニング用のシューズが適しています。
六甲山最高峰へ向かうルートは、途中に沢も渡るので、ゴアテックスの靴が適しています。
また、急登もあるので、服装は下着も含めて綿素材は避け、速乾性に優れたものにしましょう。
気軽に登れる六甲山ですが、「登山」の装備をすることが、遭難事故を防ぎます。
✔地図とコンパス、登山アプリは必携
登山用地図は本屋さんで購入可能。ルート所要時間や注意カ所など詳細情報が満載です。
また、コンパスを使える人は、国土地理院の二万五千分の1の地図を。
そして、最近の登山アプリはとっても優秀です。事前にアプリをダウンロードして練習した上で使うと、地図を広げることなく現在位置を確認できます。
写真を撮ったり、通信したり、圏外にいたりするとバッテリー消耗が早いです。
予備バッテリーを持参、山中では機内モードにしてバッテリーを温存しましょう。
✔体力、時間に余裕を
登山に大切なのは装備と準備、計画です。
時間に余裕を持たせて計画するようにしましょう。
土日、GWなどは登山口からロックガーデンは渋滞して、時には停滞します。
出発時間を早めたり、混んでいる時期を外したり、余裕を持たせるようにしましょう。
また、登りの疲労は下山時に現れます。怪我が多いのも下山時。
体力にも余裕を持たせて、風吹岩で引き返したり、エスケープルートを使ったりするなど、無理をしないようにしましょう。
そして、必ず、遅くとも15時まで(冬場は14時を目標)に下山するようにしましょう。
六甲山登山(トレッキング)初心者おすすめコースのまとめ
今回は六甲山登山でおすすめコースである芦屋ロックガーデンから風吹岩、そしてそこから六甲最高峰を目指すルートをご紹介。さらに、体力と時間に余裕がある人向けに有馬温泉への下山ルートもご紹介しました。このコースは六甲山トレッキングコースとしてメジャーなルートで、初心者でも楽しめます。早い時間に出発したら、最後は温泉でゆったりと疲れを癒すことができますよ。