庭だけでなく家の雰囲気を演出する生垣。境界や柵代わりとしての役割だけでなく、圧迫感がないのに視線を、そして日光や熱も遮ってくれるという大きな役割もあります。
そんな生垣を常緑樹6選、低木5選、洋風3選と、種類別にご紹介しようと思います。
生垣にしよう、作ってみようと思いつつも、どんな木を使ったらいいのか迷っている方必見です。
ぜひ、生垣づくりの参考になさってくださいね。
目次
生垣としてオススメの常緑樹6選
お隣や前の道路の境界には目隠し、防犯として何で遮ったり囲ったりします。
壁やブロックなどは防犯性、視線を遮ることには優れていても、風を通す通気性や夏の熱の輻射熱を放出したりすることがデメリット。
そして、フェンスも耐久性に優れていますが、味気なく冷たい雰囲気になってしまうこともあります。
そんな悩みを解決してくれるのが『生垣』です。
生垣は見慣れているとはいえ、いざ我が家の庭に造ってみようと思っても、何の木を使うか悩みますよね。
年中視線を遮ってくれるのはやはり常緑樹がおすすめ。
そこで、まずは生垣に適した常緑樹おすすめを6つご紹介しようと思います。
カシ類(シラカシ、アラカシ、シイ、マテバシイ、ウバメカシ)
一番のオススメはシラカシです。
葉が細長く、木の幹も白みを帯びているので重たい印象になりません。
日陰では枝ぶりが細く、涼し気な樹勢となります。
日当たりの良い場所では生育がよくまっすぐに伸びるので、高い位置の目隠しも可能なので、高さが欲しい時の生垣にも適しています。
遮蔽性は高くないので、刈り込まなくてもあまり問題がありませんが、高木なので上に伸びすぎないように頭頂部の刈り込みは必要です。
透かし剪定で和風建築の生垣にオススメです。
海の近くでは塩害で木が枯れるのが心配・・・という場合には潮風や塩害に強いアラカシ、シイ、マテバシイ、ウバメカシがオススメです。
カシ類は肥料も特別に必要ではなく、素人の刈込にも葉が茶色になったり、枯れたりしないので初心者にもおすすめなのです。
病害虫については、アブラムシがつくことがありますが、水やりで飛ばしたり、剪定して風通しを良くしたりすることで予防することができます。
キンモクセイ(ギンモクセイ)
常緑樹で目隠しとしても良し、花も良し、香りも良しと、大活躍のキンモクセイです。
元々は帯黄状花のウスギモクセイの変種として香りの高い橙色花のキンモクセイが生まれました。
白い花がお好みならギンモクセイを。
香りが強い方がお好みならキンモクセイがオススメです。
樹勢は強く、寒さにはやや弱い性質です。
キンモクセイは秋にとても香りの良い小さな丸い花をつけるので、生垣としてだけでなく観賞用としてもオススメの樹木です。
虫もつきにくく、ついても虫に負けない強さを持っています。
生育も旺盛なほうではないので、伸びすぎて管理が大変!ということにはなりません。
時間がなく、剪定や刈込ができない・・・という方にオススメの樹木です。
病害虫に強く、日陰や大気汚染にも耐えられますが、乾燥には弱いので注意しましょう。
イヌマキ
イヌマキは成長が穏やかで、虫が付きにくく、葉が密に茂りながらも枯れにくいという生垣にぴったりの樹木です。
マキにはコウヤマキやラカンマキなど色々な種類がありますが、オススメはイヌマキ。
和にも洋にも適していて、生垣といえばイヌマキというくらい定番の樹木です。
大気汚染や潮風にも強く、日陰にも耐えるという万能選手。
刈り込みにも強いので、初心者にもオススメの樹木です。
ちなみに、ラカンマキも生垣に使え、イヌマキよりも葉が小さく繊細ですが、刈り込みによって緑の壁のように密度の濃い生垣にできます。
レッドロビン(ベニカナメモチ)
カナメモチは新芽や芽の先端が紅色のモチノキ科の常緑小高木です。
カナメモチと大カナメモチとの交配からアメリカで作出された紅葉が一際美しい品種が『レッドロビン』
暖地性でありながら寒さにも強いので生垣としてとても人気の樹木です。
水や肥料をこまめに与える必要もないので初心者や時間がない人にオススメです。
ただ、萌芽力が強く、成長が早いので定期的な刈り込みは必要です。
刈り込みにも強いと言われているレッドロビンですが、一度に強く刈り込むと枯れる場合もあるので注意しましょう。
きっちりと面を揃えた生垣にしたい場合はレッドロビンではなく、日本原産のカナメモチのほうが適しています。
しかし、耐病性については、レッドロビンのほうが日本原産のベニカナメモチよりも虫がつきにくいので、虫や病気の心配は嫌だ、という人にはレッドロビンがいいでしょう。
トキワマンサク
昔は広い場所に単植して花を茂らせる姿を楽しんでいましたが、今はすっかりと万能の生垣としての地位を築いたトキワマンサク。
手がかからず、上品な色合いの花を咲かせ、日陰にも比較的強く、刈り込んだ時にも見栄えを損ねない、まさに生垣として万能選手の樹木です。寒さには弱い品種と言われています。
五月頃に花をつけ秋には実がはじけます。
剪定は年に一度(秋)に剪定程度で十分なので初心者や時間のない人にオススメの樹木です。
白い花を咲かせるトキワマンサクと紅い花を咲かせるベニバナトキワマンサク、そして普通のトキワマンサクと見分けがつきにくいですが、花弁の付け根が赤みを帯びるニシキマンサクがあります。
ベニバナトキワマンサクは赤い花が見事で洋風の家にオススメの樹木です。
和風建築や、年月に応じて庭のイメージを変えたい人は白い花のトキワマンサクがオススメです。
また、葉の色もベニバナトキワマンサクと白花トキワマンサクは違います。
白花トキワマンサクの葉は黄緑に近い色なので明るい雰囲気を出してくれます。
生垣として扱いやすく、手に入りやすく、花も楽しめるということで、花が咲く生垣の樹木としては一番オススメの樹木です。
マサキ類 (オウゴンマサキ、ギンマサキ キンマサキ)
ニシキギ科の常緑樹です。
カラーリーフのマサキが最近人気で、明るい黄色の斑がはいったものが『キンマサキ』、葉全体が明るいのが『オウゴンマサキ』、白い斑が入ったものが『ギンマサキ』です。その中でも特にキンマサキは生垣として人気の樹木。
上にまっすぐに伸びる性質があるので、剪定もしやすく、初心者にオススメの品種です。
マサキは日陰でも耐えるので、日陰を明るくしてくれる葉の色であるオウゴンマサキはと北向きの生垣にもぴったり。
また、排気ガスや塩害にも強いので、海辺や道路に面した生垣や車道沿い、カーポート前の生垣にもオススメです。
生垣としてオススメの低木常緑樹5選
低い生垣としてオススメの常緑樹を5つご紹介しましょう。
キンメツゲ
日本庭園でお馴染みの「イヌツゲ」と同じく、モチノキ科の樹木です。
イヌツゲと比べると、葉が小さく密度が濃く、枝分かれも細かいので刈込にも耐え、洋風の庭で自由な形に刈り込んで楽しむ人もいます。
生育が緩やかなので生垣に適している低木常緑樹です。
色合いが鮮やかな黄緑で、刈り込むことで新芽が出てきます。
キンメツゲは少しの日陰には耐えますが、本来は日当たりの良い場所を好み、建物や他の木が近い環境を嫌がります。
植える場所には注意がいりますが、暑さにも寒さにも病気にも強いので初心者でも育てやすい樹木です。
ただし、剪定は新芽を出すためにも大切。
葉が小さいながらも、密度があり、和にも洋にもオススメの樹木です。
ボックスウッド
ツゲ科の植物で和名では西洋ツゲといいます。
ツゲほど大きくならないので低い背丈の生垣としてオススメです。
芽を出す力が強いので、初心者が刈り込んでも耐えてくれるでしょう。
日陰にも耐え、丈夫なので手をかけずに育てることができます。
しっかりと刈り込んでもいいし、刈込みをあまりせずに自然な形としての生垣にも仕立てられます。
デメリットは冬期になると葉の色が枯れたような色になる点。
いいように表現すると「ブロンズ色」ですが、枯れたような色になるので、枯れてしまった・・・と思わないようにしてくださいね。
風通しをよくすることで虫の発生を少なくすることができますが、比較的虫がつきやすい樹木かもしれません。
和はもちろん、立体的に刈り込むことでイングリッシュガーデン風の生垣にもぴったりの樹木です。
ツツジ
常緑性のものと落葉性のものもあり、品種がとても豊富なツツジ。
こんもりと茂るので奥行きがある生垣に向いています。
斜面や塀の上の低い生垣に使われているのを見ることが多いです。
また、個人の家だけでなく、公園や道路にも植栽されています。
その理由は大気汚染に強いから。
車がよく通る場所の生垣としても適しています。
石垣やブロックの上の生垣や道路との境界線としてのアクセントとしての生垣としてもオススメです。
暑さや寒さにも強く、土の乾燥だけを気を付けるだけで、初心者にも育てやすい樹木です。
花後に剪定するようにしましょう。
きれいに剪定されて形作られたツツジの生垣に花がびっしりと咲いている様子はとても美しいです。
また、花が終わっても、少し柔らかい葉の緑の生垣も見事です。
ヒメシャリンバイ
バラ科の常緑樹で小ぶりの生垣に適した樹木です。
昔から庭や街路樹で植栽されているシャリンバイとは違い小さい葉のヒメシャリンバイ、潮風に強く、海に近い場所の生垣にもオススメです。
小さな花をたくさんつけるので、花を観賞するのも楽しみな生垣となるでしょう。
生育が穏やかで、刈込は年に1~2度ほどで、初心者にも扱いやすい樹木です。
直射日光にも耐える反面、日陰にも耐えるのでどの方角の生垣にも使えます。
アベリア
スイカズラ科の半常緑低木です。
夏から秋にかけ、長く花が楽しめ、甘く漂うほのかな香りも魅力的な樹木です。
大気汚染などの公害に強いので都市部や車の排気ガスのある場所の生垣にも適しています。
暖地では常緑性ですが、東京以北では落葉するでしょう。
樹勢が強く、地ぎわからたくさんの枝を出すなど萌芽力が強いので、花が終わった直後に樹形を乱す枝を剪定します。
病害虫には強く、水やりもあまり必要でないのですが、成長が早いのでこまめな剪定が必要です。
洋風の生垣としてオススメの樹木3選
先にご紹介したものも、カラーリーフや花をつけるので洋風の生垣にも使えますが、さらに洋風の生垣としてオススメの樹木を3つご紹介したいと思います。
プリペッド
モクセイ科イボタノキ属の半常緑樹です。常緑低木として販売されている場合もあります。
葉の色も美しく、白い小花が可愛らしい半常緑樹です。
丈夫で育てやすく、病害虫にも強く、刈り込みやすいので初心者にもオススメの樹木です。
和名を『セイヨウイボタノキ』というだけあって、イボタノキやネズミモチと同じ性質を持っています。
野性味あり、成長が早くて樹勢が乱れやすいというデメリットもあります。
その樹勢を活かして、自然な樹形でふんわりとした生垣にするのがオススメです。
プリペットは最近、生垣としてとても人気があり、カラーリーフの品種も豊富です。
白色の斑が入る『シルバープリペット』涼しげなカラーで重たい印象にならない生垣がお好みの人にピッタリです。
レイランドサイプレス
ヒノキ科レイランドサヒノキ属、モントレーイトスギとアラスカヒノキの交配種の常緑高木の針葉樹です。
日当たりがよくみずはけのよい土壌を好むものの、半日陰にも耐え、土質を選ばない丈夫な針葉樹です。
ただ、根張りが深くないので、強風が当たる場所に植えると倒木する恐れがあるので気をつけましょう。
枝が良く伸びるので強く刈り込み、枝を出させて、葉を密に茂らせた緑の壁のようにする、イングリッシュガーデン風の生垣にピッタリです。
また、剪定せずに放っておくと細身の円錐形の樹形なので、二種類の樹木を組み合わせる生垣のアクセントや高低をつけるデザインの生垣にも適しています。
ムレにも強く、寒さにも強く、刈り込みにも耐えられるので、生垣としてオススメの針葉樹です。
ローズマリー
シソ科マンネンロウ属の常緑樹で、ハーブとしてお馴染みのローズマリーです。
耐陰性や耐寒性はないので場所を選びますが、花も咲き、触れると良い香りがするので、ペットを飼っている家の生垣としてもオススメです。
病害虫に強く、乾燥や痩せた土でも丈夫に育ちます。
匍匐性や木立性があるので、生垣の場所や好みに応じて品種を選ぶようにしましょう。
『トスカナブルー』や『セイレム』は大きく育つので生垣として適しています。
生垣の種類のまとめ
常緑の生垣、低い生垣、洋風の生垣にと、種類に応じて生垣でオススメの樹木をご紹介させていただきました。
これから生垣を作ろうという方は、ご紹介したように、扱いやすさや環境、目的や好み、ライフスタイルにあった樹木を選んでみてくださいね。
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