看護技術で欠かせない、採血の手順(マニュアル)です。必要物品、前準備、そして実施手順です。
実施手順では、血管を探すことから消毒、針を指す。
そして真空管の場合とシリンジの場合で、手順は異なります。
ハリを抜いてその後処理の仕方、検体提出までを具体的に書いていきます。
採血、必要物品









採血前準備
手洗いをし、手袋をはめる
針の穴が上になるように真空管かシリンジに針をセットする(清潔なトレイの中へ)
患者さんの元へ行き、名前の確認と採血する旨を説明
「3本分取るので少し時間がかかります」というと、患者さんにも分かりやすい
最終の食事はいつごろか確認
血糖などがある場合は正確な値が出ないため、時間をずらすことも
アルコールでかぶれたことはないか確認
アルコール禁の場合はヘキシジンなどの消毒綿を使用
採血する腕を確認
麻痺やリンパ節の手術を受けている、透析シャントがあるなどの場合は患側を避ける
点滴を留置している側も薬剤が混入する可能性があるので避ける
採血実施手順
針を刺す前の手順
駆血帯をし、血管を探す
駆血帯は服の上からの方が跡が残らない
腕の内側や手首付近は神経があるので避ける、なるべく利き手ではない方で探す
目に見える細い血管よりも表面では分かりづらくても、弾力のある血管を探す
点滴留置ではないので、血管の走行が曲がっていても太ければ採血可能
手袋がゆるいとうまく血管が触れないので、ぴったりするものを選ぶ
血管が分かりづらい場合は手をグーパーと動かしてもらう、腕を温めるなどの方法がある
駆血帯を絞めてからグーパーと手を動かしたりすることで、筋肉の収縮によりカリウム値が高めに出ることがあるので注意!
駆血時間が長くなると溶血の原因になるので、2分以内で行う
アルコール綿で消毒
アルコール綿は採血終了時、すぐに止血するために使うので、使用後は近くに置いておく
アルコールが乾いてから針を刺す
針を刺す
手前の皮膚を進展させ血管を固定する
血管が触れた個所から0.5㎜程度手前から刺す
浮き出ている血管や皮膚の薄い人は針の挿入角度は低めにし、皮膚の厚い人の場合には少し角度をつける
しびれがないか確認
神経にあたると激痛が走るので、強い痛みを訴えた場合はすぐに抜針する
真空管の場合
ホルダーにスピッツをはめる
針が動かないようにホルダーをしっかり固定する
スピッツの順番としては、「生化→凝固、血沈→血算、血糖→その他」
最初と最後は凝固しやすい、血算や血糖(抗凝固剤入り)は早めにと覚える。
針を刺した直後は血液が凝固しやすいため、凝固系は2番目。生化は凝固剤が入っているので、1番目でもOK。
スピッツ内の血流が止まったら次のスピッツへ
スピッツを抜くときもホルダーをしっかり固定する
シリンジの場合
ゆっくりシリンジを引く
無理やり強く引くと溶血する可能性がある
空気が一緒にシリンジ内に入ることも多いので、その分少し多めに血液をとる
スピッツに移す順番としては、「凝固・血沈→血算、血糖→生化→その他」
とにかく凝固系(抗凝固剤入り)は早めにと覚える。
シリンジでは血液を規定量採り終えるまで少し時間がかかるため、凝固してはいけないものを先に移すのが鉄則!
施設によってはスピッツ内の薬剤が混ざらないように独自の順番を決めているところや、血算・生化などは既定の量まででなくてもOKな場合があるので、施設のルールに沿って行う。
抗凝固剤入りのスピッツはすぐに混和して薬液を混ぜるようにする。(転倒混和といって、コロコロ転がす方法やゆっくり上下を逆さにする方法などがある)
真空管とシリンジの違いは、高齢者などであまり多い血液量を採れない人に対してはシリンジで最低限の量を採血することが多い。
健康的な人の採血などでは、真空管を使う方がスピッツに入れ替えるときの針刺しの危険がないのでおすすめ。
直針と翼状針の違いは、針を刺したときに固定しやすいのは翼状針。血管に入ったことを確認したら、羽の部分をテープで固定すれば、シリンジを両手で引くことができる。
続いて、抜針、止血
駆血帯を先に外してから抜針、止血
駆血帯を外す前に抜針すると血が噴き出てくる、内出血してしまうので注意!
シリンジの場合は抜針後すぐにスピッツに移さないといけないので、患者さんに穿刺部を抑えてもらい止血する。
気分が悪くないか確認
使用した針はリキャップせずにすぐ針捨てボックスへ
名前のラベルをメモリが隠れないようにして貼る
止血されたことを確認し、テープで一時的に固定か絆創膏に張り替える
抗凝固薬、抗塞栓薬を内服している人は止血に時間がかかる。
すぐに重いものや腕を動かすと再出血する可能性があることや、最低1時間ほどは固定しておくことを伝える。
検体提出
凝固とアンモニアのスピッツは氷冷処置をして提出することが多いが、採用しているスピッツによっては氷冷処置をせずにすぐ提出というところもあるので、施設のルールに沿って行う。