経管栄養管理の手順です。
経管栄養管理の必要物品や、前準備、実施手順を説明していきます。
また、経管栄養管理で、多いトラブルについても書きだしてみますので、参考にしてください。
目次
経管栄養管理の必要物品
経管栄養セット(注入ボトルとチューブ)
黄色シリンジ(残渣確認用と内服・フラッシュ用と分ける)
栄養剤
経腸、腸瘻の場合には専用の注入ポンプ
白湯
経管栄養管理の前準備
栄養剤は常温に戻しておく。(人肌程度まで温めることも)
シリンジに残渣確認用と内服・フラッシュ用とマジックで記載しておくと、間違えない。
経管栄養セットに栄養剤を入れ、チューブ内を満たす。
経管栄養管理の実施手順
患者へ経管栄養を行うことを説明
ベッド上制限がある場合にはベッドアップをし、楽な体勢を取る。(ファーラー位)
制限がない場合には、車いすで食堂へ移動するなど、「食事」という意識づけをすることで消化吸収を促す。
嘔気や下痢などの消化器症状の有無を確認→場合によっては遅らせる、中止。
事前にトイレは済ませておく。
チューブの確認
経鼻からの場合、咳やくしゃみなどで抜けかけてしまうことも多く、チューブ固定位置を確認。
(病院によってやり方は異なるが、固定位置に黒マジックでラインをしておくか、何㎝固定と記載しているところが多い)
経鼻や胃瘻の場合にはシリンジをチューブに接続し、残渣があるか確認。(残渣があれば、胃にチューブが入っているという証拠)
残渣が引けない場合には、シリンジに5~10mlほど空気を入れ、胃の部分に聴診器をあてて空気音を確認。
※チューブの蓋を開けるときは逆流を防ぐため、クランプしながら行う。
胃瘻や腸瘻の場合には、きちんと体内でバルンが膨らみ、引っかかって固定されているかを確認。
(外見上は抜けていなくても、中でバルンが破損して、経管栄養中に抜けてしまう可能性もあるため)
注入前の指示確認
医師の指示によっては、「残渣何ml以下の場合は戻す・破棄、何ml以上ならドクターコール」「注入は1時間以上かけて」「○○ml/hの速度で注入」などと患者それぞれに指示が出ていることが多いため、その指示に従う。
注入開始
経鼻、胃瘻の場合
経管栄養のラインと接続部が緩まないようしっかりと繋げる。クランプを外し、指示速度で注入開始。最低でも30分以上はかける。
経腸・腸瘻の場合
腸への経管栄養はゆっくり行うのが鉄則。速度が速すぎるとダンピング症候群の危険があるため、ポンプを使用するか手動でも100ml/h以下の速度で開始する。
ポンプのセットをしたら、クランプを外し、注入開始。
最初の数分は状態に変化がないか観察
むせこみや嘔吐があった場合にはすぐに中止。
体勢によって流れが悪くなるときがあるので、注入の落ちが悪い場合は姿勢を直す。
指示量の注入が終わったら、白湯でフラッシュ。
チューブをクランプし、蓋を閉める。
注入直後~30分ほどはベッドアップのままで運動(リハビリなど)は控えるようにする。
経管栄養管理で多いトラブル
チューブ抜去トラブル
注入中以外で抜けた場合
経鼻・経腸の場合には緊急性は高くないが、ドクターへ報告し、再挿入の指示を受ける。胃瘻・腸瘻の場合には増設して間もないと穴がふさがってしまう可能性もあるので、速やかにドクターへ報告する。
注入中に抜けた場合
特に経鼻からの場合に抜けると気管に注入液が流れ込む危険があり、誤嚥リスクが極めて高いため、速やかに注入中止し、ドクターへ報告。胃瘻・腸瘻は、注入中以外の抜去時と同様。
チューブがつまった、流れが悪い
残渣を引くときなどにチューブ内に残渣物が残ってしまい、つまり・流れが悪くなることも。
その場合には白湯でフラッシュして押したり引いたりして流す。
または、シリンジで空気を入れる方法もある。
それでも改善されない場合は、ドクターへ診察依頼。
皮膚トラブル
経鼻の場合には、テープかぶれやチューブが小鼻に当たって赤くなっていることもある。
胃瘻や腸瘻はチューブが挿入されている部分からの染み出し、出血がないか、ガーゼなどでチューブや皮膚を保護するなどの対応がある。
長期間同じ個所に圧迫がかかると潰瘍、肉芽の原因になる。