一般の保育園の看護師としての仕事は以前お話ししましたが、障害児の保育園もあるのはご存じですか?
一般の保育園に比べて、障害児の保育園は、看護師としての役割も多く、遅いながらも子供たちの成長も見られ、とてもやりがいのある仕事です。
目次
保育園と病児保育、障害児保育園の違い
子どもがいる看護師でないと保育園という場所の情報はほとんど入ってこないと思います。
私も保育園で働く看護師がいるということを初めて知ったのは、ほんの数年前でした。
それから保育園だけではなく病院やクリニックに併設された病児保育という施設があること、そして最近になって障害児保育園という施設で働く看護師という存在を知りました。
果たして、保育園と病児保育、障害児保育園の違いとはなんでしょう?
保育園
保育園には、認可保育園や認可外保育園などがあります。
最近では働くママさんも多いので、街中を歩いていると様々な場所に保育園があるのを見かけます。
いわゆる0歳児から就学前までの子どもが入れる保育園です。
しかし、この保育園に入るためにはいろいろな条件があり、定員オーバーというだけではなく、入れない子どももいるのです。
それは、医療的ケアが必要な子どもや先天性の障害などがある場合です。
ほとんど普通の子どもと変わりない場合であっても、療育の必要があると判断されることが多いようです。
そのため、お母さんは仕事に復帰することができずにいるのです。
私が小児科で働いていたときに、入院してくる子のお母さんは、「仕事を諦めている」と言っていました。
障害を持ったお母さんの仕事復帰率はとても低いようです。
小学校や中学校では特別支援学校という養護施設があり、通うことができますが、それまでの年齢の子どもを預けるところがないということには驚きでした。
また、保育園の場合「37.5度以上」の熱があるときは登園不可、内服薬の投与不可としているところも多いです。
看護師がいるところであっても、メインに保育をするのは保育士であり、医療者ではないので、子どもの安全を考慮したものだと思われます。
そのため、ちょっと熱っぽい、風邪っぽいだけであっても帰されてしまうケースが多いのです。
働いているお母さんにとっては、子どもの体調不良で仕事を休まなくてはいけないのは心苦しいですよね。
そんなお母さんの気持ちを汲んで、需要を形にしたのが以下の保育施設です。
病児保育
小児科がある病院やクリニックに併設されていることの多い病児保育園。
1日の定員が4~5人ほどと少数ではありますが、ちょっとした風邪を引いてしまったときや治りかけのときなどに利用することができます。
内服薬を飲ませてくれ、子どもの体調に合わせて保育をしてくれるところです。
こういった病児保育は最近とても増えてきて、これからも保育園の需要と共に増えてくると思います。
障害児保育園
今まで保育園を断られてしまっていた、医療的ケアが必要な子どもや障害を持った子どもが通える保育園です。
都内でもまだ少ないですが、数は増加傾向にあります。
しかし、保育にあたる看護師や保育士の数が足りないことや、技術面の問題などもあり、私がいた障害児保育園では人工呼吸器などを使用している子どもを預かることはできませんでした。
それ以外の医療的ケアが必要な子どもや障害を持った子どもを受け入れているのです。
障害児のための小児科領域の訪問看護の数もだんだんと増えてきていますが、こうして普通に外に出て保育園に通えるという喜びは母子共に計り知れないものです。
それでは私が勤めていた障害児保育園の例を元に、障害児保育園の看護師は、どのような仕事をしているかご紹介していきましょう。
障害児保育園の看護師の役割
普通の保育園にも看護師がいるところも多いですが、基本的には保育に入りながら子どもの健康管理を行うことが主な業務です。
それは障害児保育園であっても変わりありません。
普通の保育園や病児保育では看護師は1~2人であるのに対し、障害児保育園は3~5人ほどいます。(園の規模によって人数は違いますが)
そのため、保育士と合わせると、だいたい看護師や保育士1人に対し1人子どものケアに当たれるのです。
私がいたところでは人工呼吸器を使用している子どもの受け入れはしていませんでしたが、気管切開や胃瘻がある子どもがいました。
そのため、定期的に吸引をする、食事は胃瘻から行うなどの医療的ケアも行っていました。
一日の流れ
9時 登園、検温、朝の会
みんなで輪になって座り、朝の歌を歌います。
出席確認は、返事が出来る子は手を上げて返事、返事が出来ない子は丸いボタンを押したり、ボールをキャッチしたりと様々な方法で確認を取っていました。
10時 保育
大きな絵本を読んだり、音楽に合わせて手足を動かしたり、楽器を叩いたり様々な遊びをします。外に散歩に行くこともよくあります。
夏には庭にプールを張って、水浴びをすることもありました。
週に何度かリハビリスタッフ(PT・OT)が来てくれるので、リハビリのフォローもします。
11時半~12時半 食事
胃瘻からの食事の子であっても、口周りのマッサージを行い、経口で食べる訓練をします。
口から摂取できる子は介助して摂取します。
むせこみやすい子も多いので、ポジショニングなど姿勢に気をつけながら行います。
13時~15時 お昼寝
一応お昼寝の時間は決まっていますが、眠れない子は無理に寝かさず、静かに遊んだりしていました。
16時 検温、保育
午前中と同様に体を動かして遊ぶことが多いです。
時期のイベント準備をしたりすることもあります。(クリスマスの飾りつけなどで使う子どもの写真を撮るなど)
17時 お迎え
保育ノートには食事や排泄、睡眠の項目などがあり、保育園で行ったケアなどを書きます。
何か変わったことがあれば保護者に伝達します。(今日は少し痰が多めでしたとか)
基本的に1日の流れは決まっていますが、子どもそれぞれのペースに合わせて保育をします。
保育園と比べて検温などの体の状態をチェックする回数が多く、常に異変がないか気をつけています。
また、医療的ケアは看護師が行いますが、その他は普通の保育園と同じように保育に参加します。
保育士さんも障害児の疾患や対応方法などを入職時に講習を受けているので、とてもお世話が上手です。
看護師としてのやりがい
私は小児科の経験があったので、普通の保育園で働いていたこともありましたが、どうしても保育士業務が多く、看護師としての知識や技術を十分に生かす余裕がなかったことがとても心残りでした。
しかし、障害児保育園に来て、今までの小児科で経験してきた技術がとても役に立ったと感じたときは嬉しかったです。
吸引などの医療的ケアだけでなく、内服の介助、寝かしつけ、子どものあやし方なども小児科で培った経験の賜物だと思っています。
また、小児科では一時的に入院してきた期間しか関わりが持てませんでしたが、障害児保育園では子どもの成長や変化を保護者と共に見守れる喜びがあります。
入園してきたときは表情が乏しかった子も、今では登園するときには「キャッキャッ」と声を上げて笑うようになるなど、日々子どもの成長は楽しみです。
障害児保育園の看護師のまとめ
サイト管理人、看護師(涼美)から
そうした子どもの成長を間近で触れることができ、看護師として小児科経験も十分に生かせるのは、障害児保育園としての一番の醍醐味でしょう。
保育園で看護師をしてみたいけど、保育業務に不安がある人や、もう少し看護師らしく働きたいと思っている方におすすめです。
すべての子どもが保育を受けることができ、保護者が働けるよう支援できる世界で働いてみませんか?