現在、高齢化社会を迎え、病院と在宅の間になるような老人ホームなどの施設が増えています。
一言に老人ホームといっても様々な種類があるのをご存じですか?
そこでの看護師の仕事内容は、どんな仕事なんでしょうか?
今回は私が何度か単発の仕事で行ったことのある老人ホームで働いたときの日記をご紹介していきます。
老人ホームで一般的なのが、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などです。
特別養護老人ホームや有料老人ホームの場合には、比較的医療的ケアや介護度が高めの方が多いです
しかし、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅は比較的自立度の高い方が入居しています。このように高齢者福祉施設といっても、様々な条件や対象が分かれているのです。
目次
老人ホームの施設概要
サービス付き高齢者向け住宅
入居者50~60人 介護師5~6人
1Fにイベントルーム、入浴場、デイサービスが併設されていて、週に何度か通っている人がいる。
2Fは介護度2~5レベルの入居スペース、ナースステーションがある。介護度5の人は2,3人でほとんどが介護度3の軽介助レベル。
3,4Fは自立度の高い人が入居している。夫婦で入居する人も。
各部屋にコール設置、介助が必要なときや緊急時はコールボタンを押せる。
基本的に介護スタッフが2Fに3人、3,4Fをみる人が1,2人とその日の担当で分かれている。
オムツ交換や食事介助、入浴介助は介護スタッフがメインで行う。
看護師は2Fにいることが多い。
普段はパートの看護師がいるが、週に1,2日は単発の看護師が入ることがある。
認知症で徘徊するような人はいなかった。(特養やグループホームなどの場合はいると思う)
看護師の老人ホームの仕事内容は?大変ですか?
出勤
出勤したら、申し送りの前に今日の予定と看護師の申し送りノートを確認。
看護師の申し送りノートには、行ってほしい処置や注意することなどが書いてある。
今日は新しく入居予定の人がいるようで、情報シートを確認する。
入居者情報
Aさん72歳 女性 配偶者死別
日常生活は自立の人だが心筋梗塞の既往があり、抗血栓薬の内服薬を飲んでいる。
入院歴は1年前の心臓の検査入院と5年前に息苦しさを訴えての精査入院で点滴治療2週間のみ。
キーパーソンは娘さん。隣町に住んでいるが、義母と同居、小学生の子どもがいる。
特に介護が必要なわけではないが、持病もあって今後が心配なので、入居することになった。
★ポイント
既往歴やプロフィールなどの情報を、施設の担当ケースワーカーがカルテとして準備してくれているため、いつでもチェックできるようになっています。
夜勤からの申し送り
Bさんが昨日血圧が150台と高めで経過していたが、特に自覚症状などはなし。夜には130台へと下がった。今後続くようであれば来週内科受診時に相談する。
Cさんが昨日まで排便3日なし、下剤服用しているが本日まで排便なし。4日排便なければ摘便か浣腸の指示あり。
★ポイント
変わったこと、注意が必要なことなどの申し送りを受けます。
病院のようにすべての患者さんの申し送りをするわけではないので、医療ケアや処置が必要な人、薬の管理などは分かりやすいようにファイル化されています。
単発で入っても、一日の流れやマニュアルがあるので、分からないことは介護スタッフに聞けばだいたい動けます。
朝のラウンド、バイタル測定など
朝はデイサービスに行く人や入浴などの人もいるので、優先順位を決めてラウンドする。
まずは、昨日血圧が高かったBさんの部屋を先にまわり、時間で処置が必要な人の順番で部屋をまわることに。
Bさん)自立の74歳男性。
血圧は142/66とやや高めではあるが、高血圧の持病があり普段は降圧剤を内服している。
昨日も薬を飲んでいたが、なぜか血圧が高かったとのこと。原因は不明。
午後再検すること、頭痛やめまいがあったり、普段と変わった症状があればすぐに報告することを伝える。
★ポイント
ちょっとした微熱があったり、咳や鼻水が出るなどの風邪症状などは多いです。
こうしたとき注意するのは、まずは病院に受診しなくてはいけないレベルなのか、感染症の可能性はあるかです。急変などの場合、一刻も早く救急車を呼びますが、このようにすぐに受診しなくてもいいけど、経過観察したほうがいいという場合が多いです。
介護スタッフにも伝え、看護師の申し送りノートに記載して継続的にみてもらいます。
Cさん)介護度5の77歳男性。
訪室時には排便なし。直診行うが便触れず、指示通り浣腸行う。
本日入浴日であるため、排便が確認できてから入浴してほしいことを介護スタッフに伝える。
★ポイント
寝たきりの患者さんは自力で排便する力がなくなってしまうため、こうした摘便や浣腸などの排泄処置は多いです。
介護スタッフの中で排泄回数などをチェックするようにしています。
その他はゆっくりラウンドを行う。
バイタルを測定しながら、昨日今日で変わったことなどないか話しながら、世間話もする。
中には骨粗しょう症の皮下注射を打つ人や、医療用湿布を交換する人、褥瘡などの皮膚トラブルの処置などを行う。
<昼食>
配膳を手伝いながら、血糖測定、インスリン注射、食前薬の投薬を行う。
自分で名前が言えない人は介護スタッフと名前をダブルチェックする。
昼食の間で交代に休憩に入る。
★ポイント
食事介助は介護スタッフ行うことが多いが、嚥下障害が強い人などは看護師が介助に入ることもある。
<午後>
午後の2時間はデイサービスの手伝いへ。
デイサービスでは健康体操やリハビリ、創作などをしているので、体操やリハビリの見守りや介助を行う。
中には認知症でうろうろ徘徊している人もいるので、適宜声掛けをする。
★ポイント
デイサービスが併設されているところではその日によって、スタッフが配置が変わることがあります。
デイサービスにも看護師がいますが、パート勤務でいない日もあるので、そのときは平行して行うようです。
場合によてはデイサービスの方が介護が高い場合や人数が多いこともあるので、介護スタッフやデイサービスのスタッフと相談して配置を決めます。
看護師の老人ホームでの仕事内容:チェックポイント
新しい入居者の健康情報チェック
新しい入居者であるAさんと娘さんが一緒に来たので、バイタル測定を行い、既往歴や現在飲んでいる薬、定期受診の日にちなど確認する。
日常生活動作の問題点などがないかチェックする。
★ポイント
主に健康情報に変更がないかどうかチェック、事務的な手続きはケースワーカーや介護スタッフが行ってくれます。
日中最後のラウンド
夕方の申し送り前に経過観察中などの人のラウンドを行う。
Bさんの血圧測定にいくと126/70であった。
朝方が血圧高い傾向があるのは内服薬が朝1回内服するもので、効果が出始める前に血圧を測っているためだと考えられる。
次回受診までは日中血圧2回測って経過を見た方がいいと判断し、申し送りノートに記載する。
★ポイント
夜間は看護師常駐していないところもあり、日中にやり忘れがないように最後ラウンドしてチェックする。
夜勤へ申し送り
新しい入居者のAさんの健康状態についてや日常生活動作レベルについて。
また、日中血圧の高かったBさんは血圧測定を増やしていることや注意点を伝える。
Cさんは浣腸で排便が出ていること。
そのほかに日中気になった人の情報を申し送り。
★ポイント
夜間何かありそうな人は前もって、こういうところに注意してほしいことを申し送ります。
血圧の高いBさんの場合には、何か症状があればとりあえず血圧測定をして、上が160以上であれば、夜間のコール番である看護師か医師に連絡などと具体的に対処法をアドバイスすることもあります。
基本的にはマニュアルがあるので、それに沿う形にはなります。
看護師の老人ホームでの仕事内容のまとめ
以上のように、基本的には介護の仕事がメインで、医療行為は少ないです。
特にサービス付き高齢者向け住宅の場合には、自立している人が多いので、疾病予防や早期発見、日ごろの健康管理というのが大きな役割だと思います。
もし、看護師としてのブランクがあり、医療行為に自信がない人などにはおすすめです。
看護師の老人ホームでの仕事内容、Q&A
質問
単発の老人ホームでの仕事ということですが、看護師が足りないときに時々、仕事しているということですか?
また、そこの老人ホームは、何人くらいの入居者がいて、何人くらいの介護師さん、何人くらいの看護師さんがいますか?
看護師さんは常に1人は、そのホームにいるということで良いですか?いないときもあるのですか?
ナースステーションがあるということは数人の看護師さんがいるのかな?って思ったのですが。
その老人ホームの、だいたいの規模を知りたかったのでこの質問になりました。
答え
新しい施設だったからか常勤看護師がいなくて、パートの人がメインでやっていたようです。
そのため、パートさんが休みの日に入っていました。看護師は一人体制です。
デイサービスとは一応場所が違うという感じだったので、別に看護師がいたようです。
入居者さんは全部で50〜60人くらい。
各フロアに15〜20人くらいの入居者さんがいたと思います。
また介護スタッフは日勤で5.6人くらいいて、各フロアを担当してた感じでした。2、3階にメインでいる感じです。
日中は看護師が一人はいるようにしていたと思います。
ナースステーションというか、カルテとな医療処置グッズが置いてあるカウンターみたいな感じです。