秋色アジサイというものをご存知ですか?
最近とても人気で、園芸店などでも「秋色アジサイ楽しめます」とポップに書かれているのをご覧になった人もいるかもしれません。
秋色アジサイとはどんな花なのでしょう?
種類や育て方は?
そんな疑問と、秋色アジサイの楽しみかたも併せてご紹介しようと思います。
目次
秋色アジサイとは?
秋色アジサイは秋に咲くアジサイ?
秋色アジサイとは秋に咲くアジサイなの?と聞かれたことがあります。
例えば、桜なのは秋に咲く桜などもありますので、それを連想されたのでしょう。
でも、秋に咲くアジサイではありません。
「秋まで咲いているアジサイ」が秋色アジサイなのです。
そもそも、アジサイは品種と場所によりますが5月~7月が開花時期です。
園芸店では栽培農家の努力の成果として、母の日のギフトシーズンに間に合うように、4月後半から綺麗な花を咲かせた、色とりどりで、様々な品種のアジサイが店頭に並び始めています。
そこで、「秋色アジサイ楽しめる品種です」と値札のポップや品種タグに書かれているのをご覧になったことがあるかもしれません。
開花時期に花を剪定することなく、そのままにしておくと、色がくすんで変化していきます。
中には茶色に枯れてしまうアジサイの品種もありますが、枯れずに色を微妙な色合いで秋色っぽく変化させていくのです。
その、色の移り行くさまを楽しむことができるアジサイ、それが秋色アジサイです。
つまり、秋まで枯れずに咲いているアジサイを秋色アジサイというのです。
アジサイを別名「七変化」といいますが、その名の通り、色が変化する植物、それがアジサイで、その名の通り、色を七変化させるのが「秋色アジサイ」なのです。
秋色アジサイと普通のアジサイの違いは?
そもそも、アジサイはユキノシタ科(アジサイ科で分類もされる)植物で、日本の伊豆諸島に自生していたガクアジサイやその変種のアジサイがヨーロッパで鉢植えとして品種改良されて、日本に「ハイドランジア(セイヨウアジサイ)」と逆輸入されたものです。
もちろん、ガクアジサイも品種改良されて、ダンスパーティーや隅田の花火など、人気の品種が販売されています。
そして、ヤマアジサイセイヨウアジサイと交配された品種もあり根強い人気があり、花だけでなく、葉も美しく色が変わるのも魅力です。
また、アメリカ原産のアジサイ科の仲間を改良されたアナベルなどもハイドランジアに分類される人気のアジサイです。
これらのそれぞれの分類のアジサイの中に「秋色アジサイ」が楽しめる品種があるのです。
秋色アジサイは、アジサイの花(ガク片)が本来の色で開花した後にも枯れずに「色の変化を楽しめるか」で区別できます。
つまり「秋色アジサイ」という品種やカテゴリーはなく、
前述の、
ガクアジサイ
ハイドランジア(セイヨウアジサイ)
ヤマアジサイ
に分類されますが、その中の品種で「枯れずに色の変化が楽しめるもの」それが「秋色アジサイ」と総称されているのです。
「普通のアジサイ」は四季咲き品種は別として、一カ月くらいしか花を楽しめませんが、「秋色アジサイ」は3カ月くらい花を楽しむことができ、その後、切り花にして花器に生け、そしてドライフラワーにと長い期間楽しめるのも特徴です。
どうして秋色になるの?
では、秋色になるアジサイはなぜ秋色になるのでしょう?
アジサイは土性によって花の色(花のように見えるが実はガク片)が変化する植物です。
それとは別に、初夏に咲いたアジサイが気温の変化などの影響で、徐々に色を変化させていくのが秋色アジサイです。
アジサイの花びら、実は「ガク片」で葉の性質と花の性質を持ち合わせています。
葉の色(クロロフィル)と花の色(アントシアニン)を両方兼ね合わせているので、その二つの変化が微妙な色の変化となるのです。
アンティーク色、ヴィンテージ色などとも言われる「微妙な色合い」で変化する様はとても美しく豪華です。
また、ヴィンテージ色になりませんが、白系アナベルも色の変化を楽しめるので秋色アジサイとして人気です。
チューリップの品種改良で有名な園芸大国オランダでは、アジサイの品種改良も盛んで、オランダで品種改良されたものは、秋色になる品種が多く、毎年新種を発表しています。
日本においても、昔からある品種で、花が咲いて剪定せずにそのままにしておくと、花びらの色がくすんだり赤っぽくなったり、逆に青紫っぽくなったりと、変化しているのをご覧になったこともあるでしょう。
これも立派な「秋色アジサイ」なのです。
また、最近ではオランダ原産のアジサイのように、最初から色合いが変わりやすい品種に改良されたものが販売されていて、「秋色アジサイ」に特化した品種として人気があるようです。
秋色アジサイの種類
では具体的に秋色を楽しめる、秋色アジサイはどんな種類があるのでしょう?
ヤマアジサイ
葉も美しく紅葉するものがあり、花も変化する品種も多いです。
「伊予獅子手毬」が有名です。
「未来」ヤマアジサイとセイヨウアジサイを交配させは赤く縁どられた薄桃色の花がライムグリーンになり、そしてボルドー色が混じって変化するという人気の品種です。
ガクアジサイ
古くからある日本にある品種、また日本のガクアジサイとセイヨウアジサを交配させたものもあります。
「オタフク」ウズアジサイとも言われ、ぷっくりとカールした丸い装飾花が可愛らしく、色の変化を楽しめます。
「スミダノハナビ」白から、くすんだピンクに変色します。
「ダンスパーティー」はセイヨウアジサイと交配させたアジサイですが、水切れ、直射日光に注意すると、色の変化を楽しめます。
ハイドランジア(セイヨウアジサイ)
秋色アジサイが楽しめる品種がたくさんあります。
「アナベル」白系とピンク系があり、両方とても育てやすく初心者向きです。
白いアナベルは薄緑のつぼみからクリーム色の手毬咲きの花へ、そして真っ白からライムグリーンへと変化します。
「西安」秋色アジサイとしてとても人気の品種です。
花持ちがとても良いです。
「カメレオン」色をその名の通り、たくさん変化させます。
「ハイドランジア・マジカルレボルーション」オランダで品種改良され、咲き進むにつれて色が変化するように作られた品種です。マジカルシリーズとして、色の違い、花びらの形状など様々品種が出ていて、特に最近人気です。008(020用マジカルレボルーション画像)
秋色アジサイの育て方
水枯れに注意
セイヨウアジサイのハイドランジアという名前はギリシャ語で「水の器」を意味するように、水をとても好む植物です。
地植え、鉢植えともに水枯れさせないようにしましょう。
葉がしんなりと下向きになると水が足りないサインです。
地植えならたっぷりやると回復しますが、鉢植えだと株が弱って枯れてしまうかもしれませんので、注意が必要です。
直射日光に注意
アンティーク色、ヴィンテージ色に問わず、色の変化を楽しむのなら、直射日光は避けましょう。
鉢植えは薄明かりの場所に置くほうが葉焼けを防げます。
また気温の変化で色が変わるので、暑くなる場所に置くのも避けましょう。
地植えは大きな木の下などに植えるといいでしょう。
日光が直接当たると花の色の変化がイメージと違うかもしれません。
直射日光があたりそうな花の上に、新聞紙などでカバーするのも効果的です。
土性に注意
アジサイは土性に色が変化する植物です。
アナベルなどの元々白い花は薄緑から白、そしてまたライムグリーンへと変化しますが、その他の品種は酸性、アルカリ性で青色系、赤系と変わります。
品種によってはそれらの色から薄緑へ変化する品種もありますが、例えば青をベースに、だんだんくすんだ紫に・・・とイメージするのでしたら、土性を酸性にする必要があります。
逆に赤系からの変化をイメージするならアルカリ性に調整する必要があります。
最近では
「赤系アジサイの肥料」
「青系アジサイの肥料」
としてph値が調整された肥料も売っています
ので、それを利用するのも良いですが、灰を撒いたり、お菓子の乾燥剤に使われている石灰乾燥剤を土に混ぜ込んだりするとアルカリ性に調整できます。

また水と混ざると消石灰になるので高温を発します。
必ず手袋をして、皮膚、服につかないよう、目に入らない様にしましょう。
剪定に注意
アジサイは花が咲くと脇芽から翌年の花芽ができます。
花の色の変化を楽しむという事は、花をそのままにしておくので、翌年の花芽をつけるチャンスを逃してしまう可能性があります。
遅くとも7月後半までには剪定をしなければ、花芽ができないと言われていますが、地植えで上の方に花がついて良いのだったらそのまま花をつけておくことも可能です。
また、半分だけ秋色アジサイを楽しんで、残り半分を剪定して、翌年の花芽を確保する、という方法もあります。
そして、最近はマジカルシリーズや西安のように最初から色の変化を楽しめる品種もあるので、それらを選ぶのもいいでしょう。
秋色アジサイのまとめ
最近人気の秋色アジサイとは、秋まで色を変化させながら咲き続けるアジサイの総称です。
秋色アジサイになる種類を選ぶことが大切です。
また、日光や気温、土性など、秋色アジサイの育て方にも注意すると綺麗な色の変化を楽しみながら、長い期間、花を楽しめるでしょう。