庭のアクセントに実のなる木を植えたいのに「何の木がいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
そこで、実のなる木のおすすめをまとめてみました。
ベランダや狭い庭でも植えられる低木や育てやすい果樹、また庭のアクセントとなる高木もご紹介。
また、毒のある実がなる木についてもまとめてみましたので、これから実のなる木を植えてみようという方は参考になさってくださいね。
実のなる木のおすすめ~木の選び方~
葉を茂らせ、花を咲かせるだけでなく、実も楽しめる木は、趣味と実益を兼ねた木といえるでしょう。
可愛らしい花を咲かせた後は、実を収穫し、料理やお菓子に利用できるとのは嬉しいですよね。
花も実も楽しめる実のなる木、庭やベランダに植えることをイメージしてみてください。
ワクワク楽しくなることでしょう。
そこで、より楽しむ為にも、実のなる木の選び方について、まずはお話ししたいと思います。
実のなる木 目的別の選び方
おすすめの木の種類をご紹介する前に、まずは実のなる木の選び方をご紹介したいと思います。
当たり前ですが、実のなる木を選ぶ際には目的に合った木を選びましょう。
実のなる木を植えてみようと思っている方は、それぞれ目的があると思います。
花、葉、樹形など木そのものが美しいから
食用にするため
実を庭のアクセントや観賞用として取り入れたいから
これらが大きな理由でしょう。
一番目の理由だと、庭のシンボルツリーとしての役割や、花や樹形を活かしたい、そしてベランダのグリーンの一つとして取り入れようという役割が大きいと思います。
二番目以降だと、実そのものを楽しむということが主体で、食用、観賞用としての役割となるでしょう。
それぞれの目的に応じて選ぶと、庭の調和も取れますし、楽しめると思います。
実のなる木 選び方に注意
先にご紹介したように、目的に応じて実のなる木を選ぶのが最初の第一歩です。
でも、この実が欲しい!というだけで選んでは後から後悔することもあるので注意してくださいね。
木や花には特性がありますが、実そのものにも特性があるので、その特性を理解して選ぶことが必要なのです。
実ができるまでの期間に注意
「桃栗三年、柿八年」というように、木そのものが育つのはもちろん、実をつけ始めるまで時間がかかる木もあります。
すぐに、実がなると思っていても、なかなか実がならない!なんてこともあるので、実ができるまでの期間も調べてから選ぶようにしましょう。
毒のある実に注意
小さいお子さんやペットのいるご家庭では、毒のある実の木の扱いには注意が必要です。
実ならなんでも食べられる、食べてみようということで口にしてしまうかもしれません。
実そのものに毒性が強いものから、種に毒性が強いものまであるので、植えようと思う木の実の特性と植える場所にも気を付けるようにしましょう。
小さいお子さんやペットが口に入れやすい場所に植えない、もしくは、毒性のあるものは全く植えないという配慮をしておくと安心です。
植える本数や環境に注意
木の種類によっては雄雌の木があって、両方植えないと実がならないものや、他の品種を植えることで実がなりやすいものがあります。
また虫媒花のように、虫が媒介して実がなるので、虫そのものがいなくては実がならないものも。
実のなる木は土壌や日当たりはもちろんですが、植える本数や品種との組み合わせなどの植える環境にも注意が必要です。
実のなる木 環境に注意
実のなる木は樹木なので、木の特性に応じた場所に植える必要があります。
耐陰性があるので植えられても、日当たりが悪いと実ができないということもありますし、肥沃な土壌や肥料がたくさんないと実をつけないものもあります。
実をつける環境を維持する「手間」に関しても、木を選ぶ前に調べておきましょう。
実のなる木 おすすめの木は?
前章では実のなる木を楽しむ為に、木の選び方が大切とお話しさせていただきました。
それでは、いよいよ実のなる木のおすすめをご紹介したいと思います。
庭に植える場合は高木もOKなので高木、そして鉢植えでベランダに置ける低木と、高木、低木と二つに分けてご紹介しようと思います。
食べられる実のなる木~高木編~
アンズ
バラ科サクラ属の落葉高木(高さ3~5m)
耐陰性 弱い 耐寒性強い
鉢植え可
結実まで 地植え3年 鉢植え3~4年
3月下旬に、モモの次、桜よりも早い時期に桃色の可愛らしい花をたくさん咲かせます。
生食はもちろん、アプリコットジャムやドライフルーツに果実酒など、多用して楽しむことができます。
中国では種を漢方の材料として使用されてきました。
北海道北部と東部以外の地域で植樹できる耐寒性があります。
花美しく、実も美味しいおすすめの木で、樹形も美しいのでシンボルツリーとしても優れています。
雄雌異株ですが、単為結果の品種が出回っているので一本で実がつきます。
ただ、多くは自家受粉しないため、多品種を植えましょう。
同じバラ科サクラ属のウメやモモ、スモモの花粉でも人工授粉できますが、開花時期がずれるので人工授粉が間に合わない場合もあります。
多くのアンズは自家受粉をしますが、実をよくしたいなら人工授粉するといいでしょう。
我が家では一本だけで植えていますが、近所にウメやモモの木も多いためか放置していても実をつけています。ただ、数が少ないですね。
以前住んでいた家では、先人が植えたアンズがびっしりと実をつけていました。
これも放置していましたが、虫が媒介してくれたり、モモやウメが近所にあったりしたのがよかったのかもしれません。
シンボルツリーや裏庭のメインの木としても楽しみたいならアンズはオススメです。
カリン
バラ科ボケ属 落葉中高木~高木(高さ3~8m)
耐陰性なし 耐寒性 強い 耐暑性 強い
鉢植え可
結実まで3~4年
3㎝ほどの淡紅色の花を咲かせます。
近縁種のマルメロ(別名セイヨウカリン)はカリンよりも少し遅く白い花を咲かせます。
カリンはマルメロと違い一本立ちで、木肌が美しく、実も観賞用としても優れているため、庭木や盆栽としても取り入れられています。
カリン、マルメロともに大きな実はそのままだと毒性があるため、生食はできなのでご注意を。
アルコールや砂糖での加工が必須です。
原産地の中国では咳止めや鎮痛剤として古来より利用されてきました。
日本でも「和木瓜(ワモッカ)」という生薬として咳止め、抗炎症剤として使用されてきました。
カリン、マルメロとも実そのものが香しい芳香を放ちます。
室内や車内の芳香剤として利用する人もいるそうです。
カリンもマルメロともに果実酒にすると美味しいです。
咳止めとしてシロップ漬けにするご家庭も多いです。
カリンはジャムにもできませんが、マルメロはジャムにもできます。
長野県ではマルメロをカリンと呼ぶため、一般でカリンジャムとして販売されているものはマルメロをジャムにしたものになるので、間違えてカリンをジャムに加工しないようにしましょう。
土質は選びませんが、水はけ、水持ちの良い場所に植えましょう。
日光を好むので日当たりが良い場所に植えたり置いたりしましょう。
耐暑性はありますが、基本的に夏は涼しい場所を好みます。
受粉樹は不要ですが、隔年結果性が強いのでたくさん実がついた時は摘果しておきましょう。
栽培は容易なので、無農薬栽培が可能です。
ヤマモモ



山の中に入って食べられる「山の桃」という名前が由来ですが、バラ科のモモとは無縁です。
雄雌異株で雌株に実をつけます。
生食、煮物、シロップ漬け、ジャムなどに利用できます。
常緑の高木ですが成長が緩やかなので、庭木としてシンボルツリーや目隠しとしおすすめ。
街路樹(雄の木を利用)や公園などでも植樹されているので身近な果樹といえるでしょう。
潮風、乾燥、強風にも強く、葉を密生して茂らせます。
ジューンベリー(アメリカザイフリボク)



ジューンベリーはアメリカザイフリボクとも言われ、花も紅葉も実も楽しめる樹木です。
日本のザイフリボクよりも鑑賞性が高く、甘い実は生食も可能で、ジャムや果実酒にも美味しく使えます。
落葉高木の中では緩やかに成長するので、庭のアプローチに植えたり、シンボルツリーとして使ったりと万能選手、雑木風ガーデンの庭木としても人気です。
実付きが良く、病害虫にも強いく初心者にも扱いやすいので、実がなるシンボルツリーとして、一番オススメの樹木です。
ヤマボウシ


梅雨時期に花を咲かせるヤマボウシは自然に樹形が整うのでシンボルツリーとしてとても人気があります。
ハナミズキよりも小さな花を咲かせるので、ナチュラルガーデンにぴったりです。
赤い実は生食も可能、ジャムや果実酒として楽しむ人も多いです。
最近は常緑性ヤマボウシも人気で、常緑樹として植える方も多く、鉢植え栽培も可能です。
秋には風情のある紅葉も楽しめるので、庭木として植えたい人にはもちろん、ベランダをナチュラルガーデン風にしたい人にもヤマボウシはオススメの樹木です。
オリーブ
モクセイ科オリーブ属 常緑中高木(2m以上)
耐陰性 ない 耐寒性 普通 耐暑性 強い
結実まで2~3年
葉の裏が白っぽく爽やかな常緑樹なのでシンボルツリーの庭木としても、鉢植えとしても人気です。
温かく雨の少ない気候を好みますが、強健で耐寒性も強い方で、やせ地にも耐えます。
剪定を間違えると実が取れないので気を付ける必要があります。
また、自家不結実性なので違う品種のオリーブの木を植える必要があります。
洋風の庭やベランダガーデンにオススメです。
食べられる実のなる木~低木編~
次は低木で食べられる実のなる木をご紹介したいと思います。
レモン



お馴染みのレモンですが、花も愛らしく、常緑性なので庭木としても鉢植えでベランダ栽培するのにも適しています。
鉢植えであってもすぐに実がなる場合も多いので、すぐに実が楽しめる木がいい!という方には一番のオススメの低木です。
ユスラウメ
バラ科サクラ属 落葉低木(2~3m)
耐陰性 ややあり 耐寒性 強 耐暑性 普通
結実まで2~3年
春から夏にかけて白い小さな花を咲かせます。その後、紅く小さな実がびっしりと実り、観賞用としても食用としても楽しめます。
樹勢が強く、暑さや乾燥にも耐えるので庭木として扱いやすい樹木です。
何もしなくても枝分かれするので、剪定などの手間がいらず初心者にも扱いやすいでしょう。
ブルーベリー





場所も取らず育てやすく、地植えでも鉢植えでも楽しめるブルーベリーは初心者にもおすすめの木です。
小さな愛らしい花の後に付ける実は、生食でもジャムでも料理でも使えるので、観賞用だけでなく食用としても楽しめるので、人気の実のなる木といえるでしょう。
ハイブッシュ系とラビットアイ系は耐寒性や耐暑性の違いだけでなく、結実についても違いがあります。
ハイブッシュ系は一般に自家結実性があるので1本でも実をつけますが、ラビットアイ系は自家不結実性があるので、他品種を植える必要があります。
両系統を組み合わせると結実しにくいので、同系統の品種を選ぶようにしましょう。
また、土壌の性質に関しても、ハイブッシュ系は酸性土壌を好み土壌改良をしないと非常に育ちが悪くなります。
一方、ラビットアイ系は普通の土壌でも育ち、樹勢も強いです。
系統だけでなく品種も様々ありますが、ハイブッシュ系のほうが粒が大きく、果皮も柔らかいので、美味しいです。
ラズベリー
バラ科キイチゴ属 落葉低木(1~1.5m)
耐陰性 なし 耐寒性 強い 耐暑性 強い
実ができるまで2~3年(株を育ててから実をつけさせるようにする)
つんだ実を丸ごと食べられるブラックベリーはジャムにしても美味しく、しかも無農薬で育てることができる初心者向きの実のなる木です。
樹勢が強く、耐寒性、耐暑性も強いので育てやすく、地植えでもコンテナ栽培でもオススメの樹木です。
とげがありますが、近い品種のブラックベリーほどはないので扱いやすいでしょう。
ブルーベリーと同じく、株を大きくしてから実をつけさせるように剪定すると良いでしょう。
ブドウ




ツル性のブドウは落葉性で秋には微妙な色合いの美しい紅葉も楽しめることができます。
落葉が遅くないので、グリーンカーテンとして地植えでもコンテナ栽培でも利用できます。
品種がたくさんありますが、米国種のほうが欧州種よりも栽培が簡単です。
米国主の好みの味の品種を確認してから選ぶようにすると良いでしょう。
植え付け後翌年から実を収穫できるので、すぐに実を楽しいたいという方におすすめです。
実のなる木~食べられない木編~
実のなる木でも食べられない木はたくさんあります。
その多くは庭木として優秀で、観賞用としても優れています。
ナンテン



「難を転ずる」の縁起担ぎから、赤飯などの上に葉を添えて使われたり、毒消し代わりに使われたりと、昔から親しまれているナンテンは、庭に一本は植えておきたい樹木です。
冬の寒さで色づく紅葉は美しく、小さな白い花も地味ながら趣があり、紅い実が枝垂れてつく様子は風情を感じさせてくれるでしょう。
漢方で、乾燥させたナンテンの実を「南天実ナンテンジツ」という咳止めとして利用されており、それ以外にも「南天のど飴」という商品も聞いたことがあるかと思います。
南天の実は毒性があるので食用はできません。
ピラカンサ
バラ科トキワサンザシ属 常緑低木(1.5~3m)
耐陰性 なし 耐寒性 強い 耐暑性 強い
結実まで 1年
生垣から盆栽まで多種多様な植え方で楽しめるピラカンサ。
花も美しく、美しい果実がびっしりとつくので鑑賞性に優れています。
土壌を選ばずに旺盛に育つので手間いらずの初心者向きの樹木です。
刈り込みにも耐えるので生垣にも適しています。
棘があるので防犯性の高い生垣になります。
誘引や剪定でトピアリーにしたり、立体的にしたり、アーティスティックな楽しみ方もできるでしょう。
ムクドリなどの鳥がピラカンサを食べていますが、人は毒性があるので食べることはできません。
マンリョウ
ヤブコウジ科ヤブコウジ属 常緑低木(0.7~1m)
耐陰性 あり 耐寒性 普通 耐暑性 強い
結実まで 1年
冬の殺風景な時期に、美しい緑の葉に、紅い実をつけるマンリョウは、縁起物の木として正月の飾りつけに用いられるなど、昔から日本で親しまれてきました。
同じく赤い実をつけるセンリョウと同じ種類と思われがちですが、マンリョウはヤブコウジ科ヤブコウジ属の植物、センリョウはセンリョウ科センリョウ属の植物なので全く違う木となります。
日本に自生している木なので強く手間いらず。放任でもよく育ちます。
地植え、鉢植えでも冬の寒々しい風景を彩ってくれ、暗くなりがちな日陰でも育ってくれるので、おすすめの樹木です。
赤い実のものだけでなく、斑入りの葉の品種や、黄色い実の品種などもあります。
実のなる木 目的別おすすめの木と毒のある木
色々実のなる木をご紹介しましたが、前述以外にもたくさんの実のなる木があります。
全てはご紹介しきれないので、今回は初心者にも扱いやすい木や、実のなりやすいものなどを中心にご紹介しました。
では、それらの木を目的別にわけてご紹介してみようと思います。
シンボルツリーやアクセントとして
◆シンボルツリー
ヤマボウシ
オリーブ
ヤマモモ
ジューンベリー
アンズ
レモン
◆アクセント
ピラカンサ
マンリョウ
センリョウ
ユスラウメ
ナンテン
ラズベリー
ブルーベリー
ブドウ
食用に楽しむ
アンズ
ユスラウメ
ブルーベリー
ラズベリー
オリーブ
ヤマモモ
ヤマボウシ
ブドウ
カリン
レモン
アンズ(種子は有毒)
ブドウ
有毒な実のなる木
先にご紹介した木もご紹介していない木も、有毒性があるもの、猛毒性のあるものが結構あるので気を付けましょう。
さくらんぼなどの種は体内で青酸カリになるため、注意が必要です。
ピラカンサも有毒性があります。鳥が食べていても有毒な植物がかなりあるので、「鳥が美味しそうに食べているから食べられる」と判断しないようにしましょう。
ヤマボウシの実は食用でも美味しいですが、同じ種類のハナミズキの実は有毒なので食べられません。
また、中には猛毒性のあるものも少なくありません。
ヨウシュヤマゴボウは気づかないうちに庭に生えたことがあります。ブルーベリーなどの食べられる実と間違えやすいのですが、猛毒があるので気を付けましょう。
また、生垣によく用いられるイチイは、果実以外、種、葉、枝全てが有毒です。
ナンテンは漢方に使われる反面、毒性も持ち合わせているので、生食は厳禁です。
実のなる木のまとめ
実のなる木をご紹介させていただきました。
実のなる木と一口にいっても、高木から低木まで高さは様々。
そして耐陰性、耐寒性、耐暑性など、性質も変わってきます。
目的に応じた木を選ぶには、特性を考えたうえで選んで植えると良いでしょう。
低木の実のなる木はグランドカバーにもなりますし、殺風景な風景を彩らせてくれます。
庭、ベランダ問わず、実のなる木を植えることで五感を使って楽しめるでしょう。
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