吸引には鼻腔・口腔・気管カニューレや気管内挿管からの吸引があります。
それぞれ手技に違いがあり、最近増えてきている閉鎖式の吸引法は手技がやや難しいため、きちんと手順を確認するようにしましょう。
気道内 気管内吸引の種類
開放式・・・回路を開放して吸引を行うもの。一般的な鼻腔や口腔からの吸引はこちら。
閉鎖式・・・人工呼吸器装着中の患者で使用。人工呼吸器を外さずに吸引が行えるため、持続的に酸素吸入を行える。
吸引カテーテル挿入長さの目安
鼻腔からの吸引
23~28cm
経口挿管からの吸引
20~23cm
気管切開からの吸引
12~15cm
必要物品
開放式






閉鎖式







事前準備
聴診で気管内分泌物の位置を確認。パルスオキシメーターでSpO2測定。
気管内分泌物が少量でSpO2が普段を変化なければ、経過をみる。
主気管支より深い場所にある場合には、体位ドレナージなどの排痰ケアを行う。
自力での排痰が不可、気管切開や気管内挿管などの患者が吸引の適応。
意識レベルが低下、循環呼吸状態が不安定な患者の場合には医師の指示のもと、吸引を行う。
吸引カテーテルの太さを選択(痰の性状や量、気管チューブの太さによって変える)
気道内吸引の実施手順
開放式
患者へ吸引を行うことを説明。拒否する患者もいるため、きちんと吸引の目的を伝え、必要最低限にとどめるようにする。
手袋(気管切開や気管内挿管の場合、滅菌手袋は⑦の場面で)、マスク、エプロンを装着。
気管切開や気管内挿管の場合、カフ圧が正常かカフ圧計を使用して確認。(カフ圧の正常値は15~22mmHg)専用シリンジでもOK。
パルスオキシメーターを装着し、SpO2の変化を観察できるようにする。モニター装着時は不要。
アルコール綿と吸引後の洗浄水を準備しておく。
吸引カテーテルの接続部のみ袋をあけて、吸入器のチューブと接続する。
気管切開や気管内挿管の場合には利き手(吸引カテーテルを持つ方の手)に滅菌手袋を装着。吸入器のチューブは利き手ではない方の手で持つ。利き手はカテーテル以外には触れないように袋を外す。
吸入器のバルブを開き、圧を-20kPa(-150mmHg)未満に調整する。吸入器が正常に作動しているか、水を少し吸って確かめるか、吸入カテーテルを閉塞させ、圧の目盛りが作動するかで確認する。
酸素マスク管理、人工呼吸器管理中の患者は状態によって酸素全開にするか、100%フラッシュをして、高酸素化を行う。
人工呼吸器の場合は、アラームカット状態にし、接続部を外す。
陰圧がかからないようにカテーテルを挿入。必要な長さまで到達したら、カテーテルを回転させながら引き上げていく。吸引時間は10~15秒以内とする。(カテーテル先端の穴の位置により、回転が必要ないものもある)
人工呼吸器の場合には、すぐに接続を戻し、回路確認を行う。
カテーテルに付着した分泌物をアルコール綿で拭き取り、洗浄水を吸引。(その後、鼻腔や口腔内の吸引をする際には同じカテーテルを使用してOK)
気管切開や気管内挿管の場合には、カフ部上部の吸引を行う。
吸引器のバルブを閉め、使用したカテーテルを包み込むような形で手袋を外し破棄する。
手指消毒をし、聴診やSpO2、カフ圧、全身状態の確認を行う。
閉鎖式
開放式の~
までは同じ。
手袋(未滅菌のもの)を装着する。
閉鎖式吸引回路のコネクタを外し、吸引器チューブに接続する。バルブを回転させてロックを解除。
状態によって100%フラッシュで高酸素化を行う。
気管チューブを片方の手で押さえ、吸気のタイミングと合わせながらスリーブ内のカテーテルを挿入していく。スリーブが溜まらないように、スリーブを戻しながら行う。
吸引ボタンを押して痰が引ければ、さらに1~2㎝少し進めてから、カテーテルを引き上げていく。(吸引時間は10~15秒以内)
カテーテルスリーブ内の引き戻し位置の印が見えるまで、カテーテルを引き抜いていく。
カテーテル内の洗浄。必ず吸引ボタンを押しながら吸引圧をかけて、専用の注射器と洗浄水で洗浄する。(製造元によってバルブを回転させてロックするタイミングが違うので、注意!)
カフ上部の吸引を行う。
バルブを回転させてロックし、コネクタにキャップをする。
手指消毒をし、聴診やSpO2、カフ圧、全身状態の確認を行う。