現在保育園の問題が連日ニュースなどでも騒がれています。
保育園の看護師も同じように人手不足で募集を出しているところも多いようです。
では、保育園の看護師になるために必要な資格やスキルはあるのか?
実際に保育園で働いたことのある私がご紹介していきましょう。
目次
保育園看護師は看護師の資格だけでなれる!
小学校の保健室の先生は養護教諭の資格や教員免許がないとなれませんが、保育園の看護師になるための条件は特にありません。
場所によっては保健師資格や小児科経験を求められることもありますが、大抵は看護師資格だけで大丈夫です。
しかし、新卒OKのところはあまり見かけません。
最低でも臨床経験1年~3年程度の経歴は必要のようです。
それは子どもの症状や怪我の状態から瞬時に判断して対応しなくてはいけないからです。
医師の診断や指示がない中で、看護師である自分が対応しなくてはいけないのです。
そうしたスキルを発揮することは新卒では難しいでしょう。
また、「子どもの怪我とか具合悪いのを対処すればいいだけでしょ?」と思っている人も多いかもしれませんが、保育園の看護師は怪我などの対処だけが仕事ではありません。
それ以外の仕事の方が多いのです。
保育の仕事と看護の仕事は7:3の割合
実際に保育園で働くようになると、まずは0歳児クラスにいることが多いです。
数ヶ月から1歳前後の子どもがいるので、ミルクをあげたりオムツを替えたり、怪我がないよう常に目を離せない環境なので、一番人手が必要なのです。
そのため、0歳児クラスに入ると、率先して子どもの様子を観察しながらおもちゃで遊び、時にはミルクをあげ、オムツを替えることも多いです。
そして、昼ごはんの介助に寝かしつけ、そしてまた保育に参加という流れです。しかし、ずっと保育に参加しているわけではありません。
看護師としての仕事内容は健康管理、病気や怪我の予防対策
子どもの世話をしながら、常に健康管理(具合の悪そうな子はいないか、発達状況の確認など)を考え、予防にも注意しなくてはいけません。
季節の風邪(インフルエンザや胃腸炎など)がある時期には保健だよりで保護者や保育スタッフへ感染予防の伝達を行ったりします。
また、実際に具合が悪い子がいれば、そちらの対応をメインに行います。
場合によってはお迎えにきてもらい受診してもらう可能性もあるので、早めに保護者へ連絡する必要があります。
こうした中で保育園看護師をするにあたって必要なスキルが見えてくると思います。
保育園看護師に必要なスキル
コミュニケーション能力
保育園は保育士の他に主任、園長先生、サポートスタッフ(保育士の資格はないけれど、保育補助をする人)、栄養士、事務などの様々な人が保育現場では働いています。
そのため、たとえば具合の悪い子が出てしまった場合、担任の先生にまず状況報告と今後どうしたらいいかを相談します。
お迎えを呼ぶようなことがあれば、主任や園長先生に状況を報告し、事務の人に保護者への連絡をしてもらいます。
もし午前中の場合であれば、お昼の給食はいらなくなるので、栄養士にも報告にいかなければなりません。
そうした中で、チームワークを上手く発揮するためにはコミュニケーションスキルが必要になります。
どこか連絡が途絶えてしまえば、きちんとした情報共有ができなくなることはもちろん、信頼関係にも関わってきます。
また、保育園の場合には子どもとのコミュニケーション能力も必要です。
怪我をしてしまい泣いている子どもに対し、スムーズに処置が進むように声かけが必要(おもちゃで気を引かせて泣き止ませるなど)です。
さらに、その保護者への伝達や相談に乗ることも多いです。
例えば、保護者の方から「最近あせもがひどくて」などと相談された場合に、適切な対処方法を伝える必要がありますし、保育スタッフと情報を共有して、対処を考えたりすることもあります。
病院でも医師やコメディカルとのチームワークがありますが、保育園でもこうした連携がとても重要になってくるのです。
小児領域の知識
保育園の場合に多いのは発熱や頭痛、下痢、腹痛、頭部打撲、アレルギー症状や喘息症状などです。
特に怖いのは感染症による保育園内で感染が拡大することです。
小さな子どもの場合、おもちゃを口に入れてしまったり、どこでもベタベタ手で触ったりします。
そのため、大人に比べて感染症になりやすいのです。
また、学校保健安全法では登園禁止とされている感染症が法律で決められているため、頭に入れておきましょう。
そうした子ども特有の感染症は成人病棟だけの経験では身につきません。
子どもがいるお母さん看護師であれば、情報があるかもしれませんが、小児科経験がない場合は、子どもの感染症や病気などの知識は勉強しておいたほうがいいです。
そのため、小児科経験があると優遇されることが多いです。
判断力や体力
時にはとっさの判断力が重要になることもあります。
子どもの場合に多いのは熱性痙攣やアレルギーによるアナフィラキシー症状などです。
すぐに救急車を呼ばなくてはならないのか、保護者に迎えに来てもらわないとならない状態なのかを判断しなくてはいけません。
病院では医師が判断し、指示をしてくれますが、保育園での医療職は看護師だけです。周りに相談することは出来ますが、基本的には素人なのです。
さらに小さな子どもほど「痛い」などを訴えることができず、泣いているだけのこともあります。そ
うした中でもきちんと状況を判断して対応しなくてはなりません。
対応方法で絶対にこれが正解というものはありませんが、なるべく早め早めに連絡をとり、大事に至らないよう注意しなくてはなりません。
また、パワフルな子ども達と一緒に保育に参加することで走り回ったりすることもありますし、子どもをあやすのに抱っこしたりとなかなか体力を使います。
日頃から体を動かし、健康には気をつけるようにしましょう。
病児保育の場合の看護師に必要なスキル
最近は保育園だけではなく、風邪の病み上がり時などにあずけられる病児保育という施設があります。
小児科がある病院やクリニックに併設されていることが多く、そこに勤める看護師が病児保育も兼任するというケースが多いようです。
保育園に比べ、保育の仕事と看護師の仕事は3:7の割合程度で、基本的には療養が一番の目的です。
一般の保育園の場合、風邪の治りかけであっても体温が37.5度以上であれば受け入れができないところも多いため、一時的に病児保育を利用するというものです。
基本的には保育園に比べ、内服薬の投与ができ、必要があれば医師の診察を受けることが出来ます。
特に、内服薬の投与は嫌がって泣いて暴れる子も多いので、上手く飲ませられる工夫が必要です。
小児科経験があると、苦みを感じにくい舌の位置にスプーンを入れ、あやし方が上手な人が多いです。
そのため、より看護師としての仕事が多く、小児科の知識や技術が求められます。
保育園看護師は看護師資格だけでなれる!のまとめ
保育園の働き方が改善されるようになり、保育士の待遇が良くなれば、保育園の看護師として働きたい人も増えてくるでしょう。
基本的には、看護師の資格があれば保育園看護師にはなれますが、最低でも小児科領域の勉強はしておかなくてはいけません。
子どもだけではなく、保育士さんや保護者との関係作りも大切になってきますので、しっかり看護師としてのスキルを身につけましょう。
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