精神科であっても、勤め先や資格などを取得すればきちんとスキルアップすることができます。
その方法をご紹介していきましょう!
精神科の看護師というのは、他の病棟などに比べて少し特殊だと思います。
医療行為が少なく、一般病棟のようなケアは行わなかったり、看護記録の記載方法なども違うため、一般的なイメージでは精神科でのスキルアップは難しいと感じる人も多いでしょう。
目次
精神科でスキルアップするためのポイント
精神科においてスキルアップすることも考えておけば、将来的に転職する際に不利になることはなくなるでしょう。
そのためのポイントは以下の3つです。
医療行為の多い病棟で勤務する
一般的な精神科病棟では、統合失調症や強迫性障害などの精神疾患患者さんが入院しています。
急性期や慢性期、認知症病棟、内科混合型病棟などの病棟の特色はさまざまです。
中でも急性期病棟や内科混合型の病棟であれば、医療行為も多くなるため、スキルを磨くためにはおすすめです。
急性期の経験を積んでおけば、今後クリニックや訪問看護、デイサービスなどへ転職した際にも経験を生かすことができるでしょう。
勉強会や研修に積極的に参加する
現在いる病棟で医療行為の経験が積めない場合には、病院内だけではなく病院外の研修なども積極的に参加するようにしましょう。
精神科関連のより専門的な分野の研修でもいいですし、医療行為の基礎や実技練習ができる研修などがあります。
民間で行っているものだと参加費がかかりますが、看護協会主催のものであれば、病院側が負担してくれたりするため、上司に相談してみるのもいいでしょう。
精神科領域の資格を取る
今後も精神科で働き、より専門的に働きたいと考えている人には精神科関連の資格を取るのが一番のスキルアップになります。
特に認定や専門看護師の資格があれば役職がもらえたり、給与アップにも影響してくるでしょう。
精神科関連の資格は以下のようなものです。
精神科認定看護師
精神科の看護領域において、より優れた知識や技術で質の高い看護を行うものです。
日本看護協会の認定看護師とは違い、日本精神科看護協会における認定看護師の制度です。
まず、ここを間違えないようにしましょう。
資格取得の条件としては実務経験通算5年以上(うち精神科は通算3年以上)とされています。
また、資格取得に必要な単位は最短8か月コースから、遠方の方向けでは最長2年で学べるコースがあるようです。
そして、最終試験で合格すれば資格取得できるというものです。
精神看護専門看護師
精神疾患の患者さんとその家族の心のケアを行う、日本看護協会の専門看護師制度です。
認定と同じく、資格取得条件は実務経験が通算5年以上(うち精神科は通算3年以上)とされています。
しかし、認定看護師のように短期間の研修ではなく、大学院の修士課程を修了する必要があり、約2年間大学に通う必要があります。
そのため、一度退職や休職してから通う人が多いようです。
精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)
精神科だけではなく、保健所や精神保健福祉センターなどで生活や社会復帰にむけた援助を主に行う国家資格です。
看護師としての経験があっても大学での単位が必要になります。
4年生の大学を出ていれば単位の受講のみですが3年制の短大や専門学校などの場合には、相談援助実務という実務経験が必要となるため、より時間がかかることになります。
しかし、社会福祉士の資格を持っていれば、一部免除されることもあるようです。
臨床心理士
日本臨床心理士資格認定協会による資格です。
カウンセラーの中でもよりハイレベルな専門職種です。
こちらも約2年間、大学院の修士課程を学ぶ必要があります。
直接患者さんと関わり心のケアについて知識を深めたい人におすすめです。
各種カウンセラー資格
精神対話士(メンタルケア協会)
ケアストレスカウンセラー(職業機能復興会)
このほかにも、認可やNPO法人、民間などのカウンセラー資格はたくさんあり、大学へ入学する時間やお金がない人には、気軽に受けられる研修や資格が多いのが特徴です。
以上のことで注意しなければいけないことは、認定や専門の資格取得には費用がかかるため働いている病院で支援制度などがないと、実費負担することになります。
また、単位取得の研修中は病院で働くことができないため、その期間の給与もある程度サポートしてくれるところでないと、生活上厳しくなってしまいます。
まずは、勤めている病院でそのような制度があるかを確認しましょう。
もし、ない場合には、転職をして資格取得の制度がある病院を探すことになります。
資格などのスキルアップで得られるメリットとは
給与アップの可能性
看護の幅が広がる
患者さんや家族への看護に自信がつく
まず、精神科の資格を取得すれば、役職がつくか手当などで給与アップの可能性が高まります。
また、幅広い精神科領域の勉強をすることになるので、看護の幅が広がることは間違いありません。
今まで患者さんの対応で悩んでいたことなども、専門的に勉強することで、対応しやすくなることでしょう。
そして、患者さんや家族への対応にも自信を持って行えるようになることが最大のメリットだと思います。
しかし、中でも大変なのは、認定や専門の資格の場合には、5年ごとの更新制だということです。
そのため、常に勉強やスキルを磨かないといけないので、一度資格を取ったら終わりというわけではないことを覚えておきましょう。
精神科の資格が生かせる場所
精神科の資格が生かせる場所はさまざまあります。
精神科病棟
働く場所として多いのは精神科病棟ですが、認定や専門の資格があれば、主任や師長などの役職が付き、看護師を指導するリーダー的な存在になれる可能性もあります。
また、院内の臨床心理士などと協力してカウンセラー業務を中心としたものなど、活躍の場が広がります。
学校や企業の保健室
大学や企業の保健室に看護師が常駐していることもあります。
最近では、特に精神的な疾患が増えてきているため、需要が増えてきています。
また、学校や職場で多い精神的な疾患についての知識や経験があると優遇されることも多いようです。
専門外来(病棟)
より専門的にケアにあたりたいということであれば、同じ精神科の病院でも、認知症病棟やアルコール依存症などの専門外来や病棟があります。
さらに、思春期外来(病棟)のように小児の精神科領域を扱うところも出てきています。
訪問看護、訪問診療
在宅で生活される人やその家族にとっても、精神的な面で負担が増えることも多いです。
そんなときに看護師の資格だけではなく、精神科の資格があると、心のケアに対してもしっかり行うことができます。
特に、訪問看護でも精神科に特化しているところもあるため、精神科経験があって訪問看護に興味がある人にはおすすめです。
保健所、保健センターなど
保健師の資格があれば、地域看護に対しての仕事もあります。
地域では子どもからお年寄りまでの幅広い世代、持病や障害を持っている人までさまざまな人と関わることができます。
そんな地域の人々がより健康的に暮らせるように支援するためには、心のケアも重要になってきます。
訪問看護のように、地域に密着した仕事がしたいという人におすすめです。
以上のように、精神科はスキルアップしにくいとは言われていますが、さまざまな資格や働き場所があり、きちんとスキルアップできることが分かりました。
まずは、自分に合ったスキルアップの方法が見つかるといいですね!