バラ業界に革命を起こしたイングリッシュローズ。
デビッド・オースティン氏はバラに対する愛情と美学で究極のバラを誕生させました。
ロマンティックでたおやかな花とふくよかな芳香のイングリッシュローズの育て方をご紹介したいと思います。
苗の選び方や植え付け、地植えや鉢植えの育て方、肥料や剪定など、これからイングリッシュローズを育ててみようと思ってらっしゃる方の参考になる事を中心にお話しさせていただきます。
目次
イングリッシュローズの育て方、苗の選び方と植え付け
バラを育てるための7つの法則
バラは病害虫、剪定など管理が大変で、初心者には難しいと思ってらっしゃる方も多いことでしょう。
でも、実はバラは特に難しい植物ではありません。
愛情がほんの少し必要なだけ。
特にイングリッシュローズは、病気に強く強健で、花付きいいので、初心者におすすめです。
ただし、そんなイングリッシュローズでも、適切な環境でなければ綺麗に花を咲かせてくれませんし、丈夫に育つことはできません。
どんな植物もそうですが、バラは特に環境と管理が大切な植物です。
バラを育てるための法則があるので、それを知っておくと、初心者でも簡単ですし、管理も楽しいものとなるでしょう。
愛情持ってお世話をしたイングリッシュローズが香しい芳香で咲いてくれた時の喜びは代えがたいものです。
そこで、まずはイングリッシュローズを健全に育てるための法則をご紹介したいと思います。
法則その1 日当たり
バラは日光を必要とする植物なので、春~秋、5時間以上は日光が当たるようにします。
法則その2 風通し
風通しが悪いと病気になりやすいです。
半面、強い場所だと枝が痛み注意が必要です。
法則その3 水やり
植え付け後、根付くまでの水やりがとても重要です。鉢植えのバラは水切れに注意しましょう。
法則その4 肥料
バラの成長と花付きには肥料が必要不可欠です。時期やタイミング、適量がポイントです。
法則その5 剪定
剪定は株のリフレッシュと花付きに効果があります。
また病害虫を防ぐ目的もあります。
法則その6 培養土
健全な根が育つことが生育の条件です。
根を充実させるためにバラ専用の培養土を利用する。
法則その7 病害虫対策
バラは病害虫の発生のリスクを下げるためにも上記の法則を守って健全なバラを育てましょう。
苗の選び方
バラの苗には
「新苗」
「2年生苗(大苗)」
「鉢苗」
があります。
「新苗」はバラの目や枝を台木に接いでその年の春に販売されたものです。
「2年生苗(大苗)」は新苗を育てて大きくしたもので、秋に販売されます
イングリッシュローズの苗は丈夫な「2年生苗」と「鉢苗」が販売されています。
特に「2年生苗」は花や葉がついていないので、信頼のおける店で、ラベル付きを購入しましょう。
丈夫な苗の選び方
イングリッシュローズは生産者の管理が行き届いているので良好で丈夫な苗が多いです。
ただし、販売されて時間がたったものや、専門店で管理されていない場合は注意が必要です。
特に「二年生苗」は葉や花がついていないので見極めが難しいことでしょう。
枝の切り口の髄(茎の中心の柔らかな部分)が小さく周囲が堅いもの。
苗がずっしりと重いもの。
茎が鉛筆ぐらいの太さで堅くしまった枝が2~3本出ている。
台木に虫食いの跡や根に粒のあるものは避ける。
接ぎ目がわからないくらい自然で茎がしっかりしているもの。
根がよく張っているもの。
根が乾いていないもの。
株の出回り時期
「2年生苗」 10月~3月
ピートモスや水苔に巻かれてビニール入れたもの、土に仮植えして小さなポットに入れたものがあります。
入手したらすぐに、一晩たっぷりの水を吸わせましょう。
そのあとに植え付けます。
ホームセンターなどでも手に入りますが、バラ専門店では品種も豊富ですし、「良い株」「元気な株」が多く、さらにそこから自分好みの株付きを選ぶことができます。
「鉢植え」 4月~6月上旬ごろ
花やつぼみがついた状態で販売されています。根鉢を崩さなければ休眠期(12~2)でも植え付けは可能です。
鉢植えの方が価格は高く、大きな鉢程高くなります。
ラベルや文献で確かめるよりも実際の樹形や花の大きさ、芳香を確かめることができます。
ネット販売などで株を購入される場合は、実績と信頼のおける専門店がおすすめです。
苗の土づくり
イングリッシュローズは病害虫に強い品種でありますが、やはり健全に育てるためには、栽培の為の土づくりと植え床作りが大切です。
最初に良い土と植え床づくりに気を付けておくと、根張りや成長はもちろん、丈夫になるので、ここは手を抜かずに頑張りましょう。
バラの好みの土は?
保水力、保肥力、排水性、通気性に優れた土を好みます。
こんな風に聞くと「難しそう」と思ってしまうかもしれませんが、大丈夫!
地植えだと、通常の土質でしたら、掘り上げた土に牛糞や馬糞や堆肥などをすき込むだけで充分です。
でも、極端な粘土質の土壌、小石や瓦礫が混ざっているなど、植え付け場所の土壌環境が悪い場合は植え付ける部分を広め、深めに掘って土を取り換えましょう。
水はけが特に重要です。
水はけの悪い場合は植え付け前に植え床を改善しておきましょう。
私は庭の斜面に植えているので、多少の粘土質の庭でも水はけの環境を改善できています。
バラ専用培養土は安心なのでおすすめ
いちから土を作るのも大変と心配な方には、バラ専用の培養土をお使いになるのをおすすめします。
PHも調整されていますし、面倒な作業がなく、安心して使えます。
バラ専用培養土は高いので、安い花用有機培養土やリサイクル土を大きく掘った穴に戻し、根が触れる部分にバラ専用培養土を使用すると、コストダウンになります。
悪条件の改善
保水力がない(水はけが良すぎる)場合
植え穴に堆肥や乾燥牛糞などの有機物を多めに混ぜ込み保水力を高めましょう。
水やりにも注意。
排水性が悪い(水はけが良くない)場合
植穴の底に赤玉土(大粒)や軽石(大粒)、木の細枝や炭などを敷、地表よりも10㎝以上高く土を盛る、盛り土をしましょう
。バラ専用度土に堆肥や牛糞などの有機物を多めに混ぜ込み、通気性を高めましょう。
盛り土にした周囲には大きめの石やブロックで「土留め」をします。
イングリッシュローズ地植えの植え付け
2年生苗には国産苗と輸入苗があります。
2年生苗の場合は苗を入手したら極力すぐに植え付けます。
根付くまでは根を乾燥させないことがポイントです。
この根付くまでの環境が悪いと、後の生育に影響が出ますし、枯死する場合もあるので注意してくださいね。
植え付けの下準備
2年生苗の下準備
接ぎ目から25㎝ほど上の外芽の上を剪定する。
国産苗は2時間以上、輸入苗は1晩以上バケツにたっぷりの水を入れて「水上げ」する。
鉢苗の下準備
花の付いている枝元から5枚葉以上の葉を3つ以上残して切る。
地植えの植え付け
植穴(2年生苗だと深さ、幅それぞれ50~60㎝)を掘り、掘り上げた土をほぐしておく。
掘り上げた土を植穴に4分の1ほど戻し、スコップ2杯以上の堆肥など有機質を入れ混ぜ合わせ、そこに既定の量の肥料も混ぜ合わせる。
その上に掘り上げてほぐした土を埋め戻す。
これが「植え床」となります。
継ぎ目が地表から3㎝位上に出るように植え床の高さを調整し、根の先を広げて苗を置きましょう。この時、根を切ったり、根の先が上に向いたりしないように。また、肥料に根が直接触れようにしましょう。※継ぎ目のテープは翌年12~2月にはずすこと。
根が隠れるくらいまで土を周りから静かに入れ、ウォータースペースも作っておきましょう。
バケツ2杯分の水を、少しずつ時間をかけて静かに廻しかけましょう。
水が引いたら再び土を周りから入れ、継ぎ目が地表からやや出るくらいに盛り上げ、土を抑えましょう。
鉢のふちをこぶしで叩いて鉢土をゆるめて、株の根元に人差し指と中指ではさみ、鉢を逆さにしてそっと苗を抜きましょう。
接ぎ目が地表から3㎝くらい出るように植え床の高さを調整、根鉢を崩さないように穴の中の中央に置きましょう。
根鉢が隠れるまで土を入れます。ウォータースペースを作っておきましょう。
肥料と配合した土と根は直接触れないように注意しましょう。
バケツ2杯分の水を、少しずつ時間をかけて静かに廻しかけましょう。
水が引いたら再び土を周りから入れ、継ぎ目が地表から少しでるくらいに盛り上げます。
イングリッシュローズの地植えの育て方
肥料
肥料には大きく分けて二つあります。
特に元肥が重要です。
元肥(寒肥)
株の基礎体力を養うためのものです。
植え付け時、株元から40㎝ほど離れたところに円を描くようにするか、もしくは4カ所ほど穴を掘り、規定量の肥料を掘り上げた土とよく混ぜて埋め戻しましょう。
根と肥料の間には土を入れて、絶対に根が直接肥料に触れないようにしてくださいね。
追肥(お礼肥)
開花後の株の体力を回復させるためのものです。3~11月に与えます。
繰り返しよく咲くブッシュや小型のシュラブは開花ごとに追肥します。
株元から40㎝ほどのところに円を描くように軽く埋め戻します。
なるべく有機質肥料を与え、肥料切れの際以外は無機質肥料を控えましょう。
肥料が多すぎるとバラが痛み、花の形も悪くなり、枯れる原因になることも。
反対に少なすぎると、成長が遅くなったり、花つきが悪くなったりします。
水やり
地植えの水やりは夏期の強い乾燥した日が続いた時以外は必要ありません。
水やりで大切なのは植え付け後です。
植え付け後1カ月は、最低限週に2回水を与えます。
2~3カ月目は雨がない時は週に1回、4カ月目以降は土の状態を見て水やりします。
6か月目以降は地植えの場合は、よほど乾燥が続いた日以外水やりは必要ありません。
病害虫対策
イングリッシュローズは病害虫に強い品種が多いです。
とはいえ、全てのバラに病害虫が発生する可能性があるので、日ごろのチェックをこまめに行い、早めに対処することが重要です。
薬剤の予防散布は希釈倍率や散布間隔、服装などの諸事項を守り、近隣に配慮して行いましょう。
無農薬栽培も、病害虫に強いイングリッシュローズ取り入れやすく、成功しやすいでしょう。
病害虫対策は別記事にてご紹介します。
剪定
剪定には枝を切ることの総称です。
「春(冬)剪定(1月中旬~2月)」と
花後すぐに行う「花がら切り」をこまめすることがポイントです。
美しい花を次々に咲かせたいのなら、早めの花がら切りを。
花がら切りは、根元からの5枚はを最低3,4枚残し、葉の5~8㎜くらい上部を切ります。
病気の枝や枯れ枝は見つけたらすぐに切除しましょう。
植え付けの年は植え付け地の整枝と花がら切り以外の剪定は必要ありません。
樹形を整える剪定は別記事にてご紹介します。
イングリッシュローズの剪定の基本 花後の剪定 夏剪定 冬剪定
イングリッシュローズの鉢植え(コンテナ栽培)の選び方と育て方
鉢植え(コンテナ栽培)に適したイングリッシュローズ
イングリッシュローズは品種によって樹形や樹高、性質も大きく異なります。
ほとんどのイングリッシュローズが大きめの鉢(25ℓ以上)に植えることが可能だそうです。
鉢植えに適したイングリッシュローズは樹高が1m20㎝以下のタイプのものです。
アーチの両脇に大きな鉢植えを置いて、アーチに誘引できる品種もありますが、ここでは通常の鉢植えに適したイングリッシュローズをご紹介します。








など
特にジュード・ジ・オブスキュアは強い香りとティーカップ咲きの大輪が素敵でおすすめの品種です。
植え付け
鉢底穴を網などでふさいで、軽石(大)や赤玉土(大)を適量まきます。私はこの時に根腐れ防止のために、炭を砕いたものを鉢底石の代わりに使用しています。
鉢のふちをこぶしで叩いて鉢土をゆるめ、鉢を逆さにしてそっと苗を抜きます。
根鉢をくずさないように気を付けながら鉢の中央に入れ、苗の接ぎ目が地表面にくるように培養土の高さを調整します。
接ぎ目が地表より数㎝上に出るくらいまで培養土を入れます。
鉢底から水が流れ出るくらいまでたっぷり水を与え、水が引いたらもう一度水を、底から溢れるくらい与える。
管理
水やり
植え付け後にはたっぷりと、鉢底から溢れるくらい与え、強い日差しも避けましょう。
4~9月は毎朝1回、10月は乾燥したら3日に1回、11~1月は週に1回、2~3月は3日に1回が目安です。
あくまでも目安なので、生育状況によって変えましょう。
乾いたら水やりが基本。
肥料
鉢植えでは、元肥、追肥ともに、株元から離して鉢の表面に肥料を置く「置き肥」をします。
鉢土には肥料を混ぜないようにしましょう。
肥料が多すぎるとバラを傷める可能性があるので
適量、適期を守りましょう。
植え替え
おおむね、植え付け方法と同じですが、2年生苗や植え替えの際には培養土を入れた後、根を四方に広げて丁寧に苗を置きます。
この時、根を切ったり、先端が上向いたりしないように注意します。
水やりは植え付けの時と同じく、たっぷりと。
イングリッシュローズ 育て方のまとめ
病害虫に強いイングリッシュガーデンは健全に育てるための7つの法則を守ることで、美しい花を楽しむことができます。
育て方の法則を中心に土づくりや水やり、苗選び、剪定、肥料などに気を配ることで、香しい香りと美しい姿を楽しむことができるので、バラショシ者にはおすすめです。
四季咲きで花付きも良く、香りが良い品種が多いのも特徴で、十分に世話したイングリッシュローズが朝の庭を薫り高くしてくれた時の喜びは計り知れません。
そんなイングリッシュローズをぜひ、育ててみて下さいね。