イングリッシュローズは、丈夫さ、美しさ、香りからバラ愛好家はもちろん、ガーデナーにとても人気のバラです。
そのイングリッシュローズの特徴や品種、そして人気ランキングTOP5をご紹介したいと思います。
初心者にも扱いやすいものを中心に、用途も併せてご紹介しているので、はじめてバラを育ててみたいという方のご参考になるかと思います。
特性を知り、植える場所に応じて品種を選ぶと美しさはもちろん管理も楽になります。
イングリッシュローズで充実のガーデニングを楽しまれてはいかがでしょうか。
目次
イングリッシュローズの特徴
究極のバラ『イングリッシュローズ』とは?
オールドローズとモダンローズのそれぞれの優れた特徴を取り入れてつくられた究極のバラ『イングリッシュローズ』は、デビッド・CH オースチンが栽培するバラのブランドです。
デビッド・オースチン・ローゼス社が1969年に創立され、デビッドCHオースチンが作出したバラを『イングリッシュローズ』として販売しています。
バラ育種家であり、栽培家であり、著述家でもあるデビッドCHオースチンが1961年に「コンスタンス・スプライ」という品種を初めて発表以来200ものイングリッシュローズを生み出しています。
イングリッシュローズの特徴
イングリッシュローズの特徴はざっと挙げるだけでも下記の通りあります。







どんなバラにも病気や虫のリスクがありますが、イングリッシュローズは耐病性があり、虫がついても枯れにくい、丈夫なバラと言えるでしょう。
また、イングリッシュローズはシーズンの間、何度か咲くので春咲きで終わり・・・ということもありません。
花付きも良く、繰り返し咲きの特徴を持っている品種が多いです。
そして、イングリッシュローズというと香りの良さも魅力の一つです。
豊かな香りのバリエーションがあるので、お好みの香りを探すのも楽しみの一つです。
花形や色も豊富です。
大きさはもちろんですが、微妙で優しい色合いのイングリッシュローズは他の草木とも調和しやすく、ボーダーガーデンでも使いやすいでしょう。
また、イングリッシュローズは剪定と誘引で、樹形を延ばすこともできます。
生垣などに利用して防犯対策としてや、アーチやバーゴラなどに誘引して庭のフォーカルポイントとして使うなど、大役も担うことができます。
イングリッシュローズを選ぶために知っておくべきこと。
苗は鉢苗、2年生苗(大苗)で販売されるイングリッシュローズ。
苗を選ぶ際にはいくつか知っておくことがあります。
カタログやタグについている説明に品種名と共に、特徴も紹介されています。
品種ごとの特徴を知ったうえで購入すると失敗が少ないでしょう。
例えば






特に樹形は植える場所にも影響するので、必ずチェックしましょう。
花形や大きさはもちろんですが、咲き方の種類を知っておくと、他の植物に合わせやすいと思います。
イングリッシュローズの自然な風情を楽しむ、イングリッシュローズを使いこなすためにも、品種の特徴や樹形を知っておくことが必要なのです。
イングリッシュローズの花形
イングリッシュローズはふくよかなオールドローズのような花が細い花枝に支えられながら、いくつもの花を咲かす美しい姿が特徴です。
花形もたくさんあるので、きっと好みの咲き方のイングリッシュローズを見つけることができるでしょう。
イングリッシュローズの花形をご紹介します。
リカーウド咲き
花弁が外側に反り返って咲き、中心が高くなる。
シャローカップ咲き
花弁が浅く内側に向く。
ロゼット咲き
バラ咲きなどと呼ばれる代表的なオールドローズの咲き方。
クォータ―ロゼット咲き
花弁の中心が4つに分かれる。
ディープカップ咲き
花弁が内側に向き、花芯が見えない。
オープンカップ咲き
花弁が内側に向くが、花芯が見える。
シングル咲き
花弁が5枚で形成される一重咲き。
セミダブル咲き
花弁数が6~19枚ほどで花芯がのぞく。半八重咲き。
ボンボン咲き
小輪花弁がたくさんつき、房咲きとなる。
ティ咲き
剣弁が半剣弁の高芯咲き。
イングリッシュローズの香り
香りには様々な分類法がありますが、ここでは6種ご紹介したいと思います。
イングリッシュローズは微妙な個性を兼ね合わせているので、中間的な香りを持つ品種も多く、栽培状況によっても変わります。
タグなどでは「微香、中香、強香」などと記載されているものもありますが、バラ図鑑やカタログなどでは更に詳しく紹介されています。
フルーツ香
アップルやピーチ、柑橘類などフルーツの香りに近い。
ミルラ香
ミルラ(没薬)に似た香り。
オールドローズ香
ダマスク香など、一般的なオールドローズの香り。
ティ香
紅茶のような上品で優雅な甘い香り。
ムスク香
ジャコウジカから取れる動物性の香料であるムスクに似た香り。
ノワゼット香
上質な白ワインが熟成したような香り。
イングリッシュローズの香りは、香料としての「ローズ香」とは違い、甘すぎず、爽やかで魅力的な香りが多いです。
朝のイングリッシュローズの香りは、一日を素敵にスタートさせてくれる力を持っています。
爽やかな朝の空気に漂うイングリッシュローズの香りを嗅ぐと、バラを育てていて良かった・・・とつくづく実感します。
イングリッシュローズの樹高と樹形
庭にイングリッシュローズを植栽する時には、花の色や形以上に大切なのが樹高と樹形です。
他の花や草木との調和させることで、イングリッシュローズの魅力が一層引き立つことでしょう。
そのためにも、樹高と樹形等の特徴を知った上で植栽することが重要なのです。
細かく分ける分類方法もありますが、ここでは大きく4つの分類でご紹介します。
ブッシュ
いわゆる木バラ、木立性のバラです。
ハイブリッド・ティやフロリバンダのように枝が直立する性質をもつものです。
このタイプのイングリッシュローズはあまり大きくならない品種が多いので、花壇の前方やコンテナ栽培などに適しています。
開帳型シュラブ(半木立性シュラブ)
シュラブはつるバラと木バラの中間的な樹形。開帳型シュラブは枝が横張に広がるシュラブで、半木立性シュラブとも呼ばれます。
比較的自由に枝を伸ばすバラの総称です。
アーチ型
大型のシュラブになるものが多く、枝は扇形にきれいな放物線を描きます。つるバラとして扱える品種が多いのも特徴で、半つる性と紹介されることもあります。
剪定と誘引で、窓辺やオベリスクに向く品種もあります。
つる
つるバラで、多くは枝を長く伸ばす品種です。今年伸びた枝(シュート)に翌年たくさんの花をつけるので、その枝を大切にしなければなりません。
つるバラには、しなやかな枝が上に伸びるクライマータイプと、匍匐するランブラータイプがあります。
クライミングと書いてあっても、どのように伸びるかで用途が変わります。
横張り製少し立ちあがるクライミングは窓辺に、家の高さほど上に伸びるタイプは壁面に、匍匐して伸びるランブラーはフェンスや下に垂らす場所に向きます。
上記の樹形と、樹高を知っておくことで、ボーダーガーデンのどの場所に植えるか、鉢植えにするか、壁面やアーチに誘引するかなど、用途別に楽しむことができるでしょう。
イングリッシュローズの種類。人気ランキングTOP5
それでは、イングリッシュローズの種類 人気ランキングTOP5をご紹介したいと思います。
グラハムトーマス
樹形:ブッシュ半直立 樹高3.0m 幅:3.0m 樹勢:強 耐病性:普通
用途:アーチ、オベリスク、フェンス、花壇
イングリッシュローズの中で最も有名な品種のひとつ。
2000年にはジェームス・メイソン賞を受賞し、41か国加盟のバラ協会の投票で決めるバラの殿堂入りの名花です。
深みのあるピュアイエローで中輪カップ咲きで返り咲きます。
ティーローズの濃厚な香りがあります。
丈夫で大きな株になります。高温多湿な日本では、まっすぐに伸びてよく茂り、生育旺盛なのでつるバラとして使用することもできます。
ジュード・ジ・オブスキュア
花形:カップ咲き 樹形:ブッシュ半横張 樹高1.2m 幅:1.2m 樹勢:強 耐病性:普通
用途:オベリスク、鉢植え、花壇
トーマス・ハーディーの小説の主人公ジュードから名前が付けられました。
全体の色の印象はアプリコットイエローです。
非常に深いカップ咲きの大輪で、花色は外側ほど薄くベールイエロー、内側は少し茶色の混じったようなバフイエローで抜群に花付きがいい名花です。
花もちも良いので長い期間楽しめます。
強健で耐病性に優れています。
強い香りは甘いフルーツ香で、シトラス香の混ざったグアバと甘口の白ワインを思わせます。
暖かい場所ではつるバラのようにも育てられます。
個人的には第1位の、大好きなバラです。
今はカタログ落ちしてしまい、入手できなくなったアブラハムダービーの交配種です。
アブラハムダービーが本来、一番好きな品種でした。
湿気や雨が多い状況下ではまれに花が開かずに終わることがあるので、第2位としましたが、鉢植えには一番おすすめしたいイングリッシュローズです。
クレアオースチン
花形:カップ咲き 樹形:ブッシュ半横張り 樹高1.5m 幅:1.2m 樹勢:強 耐病性:強
用途:アーチ、オベリスク、フェンス、鉢植え、花壇
デビッドCHオースチンの娘、の名前がついたイングリッシュローズです。
つぼみでは淡いレモン色、咲くとアイボリーホワイトのカップ咲きで1~3輪位で、ややうつむき加減に咲きます。
その咲き方もあって下から眺めるのも美しいでしょう。
小型のつるバラとしても利用できるので、家庭用サイズのアーチなら十分利用できます。
耐病性に非常に優れており、よく返り咲くので、初心者にもおすすめの品種です。
ジェントル・ハーマイオニー
花形:カップ咲き 樹形:ブッシュ半直立 樹高1.4m 幅:1.0m 樹勢:普通 耐病性:強
用途:オベリスク、フェンス、花壇
シェークスピアの「冬物語」に登場するリオンディーズ王の献身的な妻、ハーマイオニーの名からつけられました。
典型的なオールドローズの特徴を持つ、非常に整った花形のイングリッシュローズです。
開くにつれ、シャロ―カップ咲きからクォータ―ロゼット咲きとなります。
透き通るような美しさのピンク色は雨にも強く、病気にも強いので、オールドローズの特徴のバラが良い、ピンク系のバラが良いという人には特におすすめです。
小型のつるバラとしても扱えます。
今はカタログ落ちしたシュリファアスマという淡桃色の名花があったのですが、ピンク系ではそれに次ぐ美しいバラだと思います。
ムンステッドウッド
樹形:ブッシュ半横張 樹高1.2m 幅:1.0m 樹勢:普通 耐病性:普通
用途:鉢植え、花壇
2011年財団法人日本ばら会主催の香り部門で金賞受賞、同年アメリカのポートランドで行われたシュラブ部門のベストローズ賞も受賞しています。
ベルベッド調の深みのある黒赤紫色で外側の弁はより紫色が濃くなります。
3~5輪の房咲きで、オールドローズ香であるダマスク香とフルーツ香が混ざったさわやかな香りです。
棘が多いですが、枝はしなやかで、うつむき気味に花を咲かせます。
カップ咲きからロゼット咲きに変化し、開くと黄色いめしべを覗かせます。
赤いバラは枝が充実しないものが多い中、この品種は枝の寿命が長く古株でもよく咲きます。
赤いバラが良い人、オールドローズの雰囲気が好きな人には、特におすすめのイングリッシュローズです。
ボーダーガーデンのポイントとして赤を入れると、とてもバランスが良くなります。
イングリッシュローズの人気ランキングのまとめ。
耐病性に優れ、初心者でも管理のしやすいイングリッシュローズ。
管理などの実用面だけでなく、微妙な色合い、自然でナチュラルな花付きや樹形が、バラ愛好家やガーデナーを虜にしてきました。
香りがとても良い品種が多く、樹形、樹高のバリエーションもあるので、用途別、自分好みのイングリッシュローズを見つけて、育ててみてはいかがでしょうか?
庭の風景と共に、気持ちも明るくしてくれる、そんなイングリッシュローズを楽しんで育ててみて下さいね。